出先での突然の雨。雨宿りする時間も場所もなく、しぶしぶコンビニに駆け込み傘を購入…という経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。折り畳み傘を持参していない日に限って、駅から遠い訪問先へ向かう日に限って、突然の雨に見舞われるものです。そんな突然の雨に伴って起こる傘の問題を解決するサービスが注目されています。
合い傘ブームが過熱?
近年は、色々なものがシェアリングされつつありますが、傘をシェアリングするサービスがあるのをご存知でしょうか。1日70円で傘を使用できる、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が現在、注目を集めています。
「アイカサ」とは
傘を買うよりも圧倒的に安く、1日(24h)使っても税込70円。1ヶ月何回借りても税込420円。売上の1%は環境のために寄付する仕組みとなっています。
複数の傘を何度でも使える利便性が人気
アイカサは「何度でも使えて、好きな場所で返せる」というのが特徴です。傘はコンビニ、マンション、駅などに設置されています。スタート当初は、渋谷を中心とした約50カ所のアイカサスポットが設置されました。現在、設置場所はさらに増えています。
「電車に濡れた傘を持って入りたくないので駅近辺のスポットで一度返却し、次の駅に到着したら別の傘を使う」「映画を見ている間だけ、手荷物になる傘を手放す」など、雨に濡れないときは傘を持たなくて済むという合理性、利便性が注目され、ユーザーからの支持を得ているようです。
レンタル手続きはLINEで
レンタル手続きはシンプルです。アイカサでは、LINEを通じてスポットの検索や傘のレンタル、決済などを行います。LINEでアイカサのアカウントを友達に追加。トーク画面の「傘を借りる」ボタンを押し、最寄りのアイカサスポットを探すという仕組みです。※詳しくはこちら
現地に向かい、傘のダイヤルロックを解錠し、使用。傘の解錠や返却は、アプリの「QRコードスキャナー」を使います。解錠時は傘のQRコードを読み取り鍵の番号をチェックし、返却時にはスポットに設置された傘立て本体などに記載されたQRコードを読み込みます。
LINEによって、シェアの利用可能時間のほか、定休日、現在設置されている傘の本数なども管理されています。
大事にしない人が多い?ビニール傘の現状
ここで日本人のビニール傘に対する意識を数字で見てみましょう。
日本洋傘振興協議会によると日本の洋傘の年間消費量は約1億3,000万本と言われています。うち、8,000万本はコンビニなどで売られているビニール傘で、5,000万本が出荷から1年以内に廃棄されているそうです。
また、警視庁が発表した平成30年遺失物取扱状況 によると、忘れ物・落し物として届けられた物のうち傘類は第5位。343,725点 (7.6パーセント)で、その多くがビニール傘と言われています。
東京は傘所有数世界一位
民間の気象会社であるウェザーニューズは定期的に『傘調査』を実施しています。2014年の調査によると日本人の場合、傘所有の平均本数は3.3本。世界平均の2.2本を上回りました。また海外の国と比べて日本は「透明」のビニール傘が多いという特徴があるそうです。
さらに、2017年の都道府県別の傘購入数ランキングでは、1位「東京都」東京都は、傘の年間購入数・傘の所有数・ビニール傘の所有数の3項目全てでトップとなっています。
これらのことから、日本人は傘をあまり大事に思っていない人が多く、とくに、ビニール傘に関してはこの傾向が強いことがうかがえます。
今後の展開
各方面において急速に採用が進むシェアリングサービスですが、近年は法人によるアイカサ導入も目立つようになりました。
背景として考えられるのが、プラスチックごみ問題や、中国の廃プラスチック輸入禁止措置。日本国内でも環境負荷が高いビニール傘が問題視されるようになってきたこともあり、傘のシェアリングサービス導入が企業の環境価値を高めることができるとの考えから、検討を開始する企業も増えているようです。
傘をシェアするという新しい習慣を根付かせるには時間も必要そうですが、「アイカサ」をきっかけに、新しいムーブメントが始まっています。