【総復習】知らなきゃ損かも? 「キャッシュレス・ポイント還元事業」

2019年10月1日から消費税が10%に引き上げられました。“9月中に必要なものはしっかり買いだめしておけばよかった!”と、思っている方も多いのではないでしょうか? でも、ちょっとお待ちください! 実は支払い方法によっては、10月以降に買い物をしたほうが今買うよりもお得になる仕組みがあるんです。それが、国が行う「キャッシュレス・ポイント還元事業」です。

「キャッシュレス・ポイント還元事業」とは

消費者の負担軽減や事業者の作業効率向上、人件費の削減などを目的に期間限定で実施される補助金事業のこと。2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヶ月間、クレジットカードや電子マネーなどの現金以外の方法で支払えば購入代金の5%(もしくは2%)の還元が受けられます。またキャッシュレス加盟店に登録した事業者には、決済端末の無料設置や決済手数料の3分の1負担などの措置があり、消費者、事業者双方にとってメリットがある内容となっています。

ポイント還元の仕組み

「キャッシュレス・ポイント還元事業」によって、消費税アップ後も一定期間はお金が戻ってくると理解できたものの、その場での現金値引きになるのか、車や家電などの高額商品でも対象になるのかなど、詳細が気になるところ。ここからは消費者の立場で、対象となる支払い方法や、還元の方法などについて、より具体的に紹介していきます。

対象となる加盟店

まず注意しなければならないのは、全国各地のすべての店舗が還元対象店ではないということ。この事業の目的のひとつが、中・小規模の事業主支援なので、全国展開しているような大規模店は対象外となります。また、還元を受けるには“加盟店”で、キャッシュレス決済をしなければなりません。基本的には、商店街にあるような小売店や飲食店が対象になるとイメージしておけば間違いないでしょう。ただし、楽天やヤフーショッピング、AmazonなどのECサイトに出店している各ショップやコンビニエンスストア(一部例外あり)は還元対象となっています。

ひと目で分かるように、加盟店にはロゴマークのポスターやステッカーが掲示されています(出典:キャッシュレス・消費者還元事業)

対象となる支払い方法

・クレジットカード
・電子マネー
・デビットカード
・QRコード(スマートフォン決済)

上記のいずれかのキャッシュレス手段を使って支払うことが還元の条件です。現金で支払った場合は還元を受けることができません。現在お持ちのクレジットカードや電子マネーが還元対象カードかどうかは、以下の「キャッシュレス・ポイント還元事業」の公式ホームページから確認することができます。

ただ、上記の資料はかなりのページ数です。対象外となるのはごく一部で、ほとんどのクレジットカード、電子マネー、デビットカード、QRコード(スマートフォン決済)が対象になっていると思って問題ないでしょう。

還元金額の上限

「還元があるなら、車の購入はこの期間にしよう!」と思った方もいるかもしれませんが、残念ながら還元額には上限が設けられています。
上限額はカード発行元によってそれぞれ異なりますが、クレジットカードやデビットカードの場合は、1枚のカードにつき、月額30万円までの利用が対象。還元される額は15,000円までとなります。
一方、電子マネー、QRコードの場合は複雑です。発行元によって実にまちまち。例えば、イオングループが発行している「WAON」は、クレジットカード各社と同様、月額15,000円の還元を上限としていますが、「楽天Edy」の場合、上限は月額ではなく、1回の支払いに付き2,500円が上限とされています。QRコードはというと、「PayPay」や「楽天ペイ」は、1回の支払いにつき25,000円の還元が上限となっており、高額なものを購入する場合に利用しやすいといえます。
それぞれの上限額については、各社の公式ホームページ等で公開されているので、確認しておくとよいでしょう。

還元方法

還元時期は発行元や購入場所によって異なり、即時から3ヶ月後まで幅があります。また、還元方法についても以下の4つのタイプがあります。

・ポイント付与:ポイントとして還元される
・引き落とし相殺:請求合計から還元相当額を相殺した額で口座から引き落とされる
・即時還元:購入時に還元相当額を差し引かれる、実質値引き
・口座充当:口座に還元相当額が返金される(主にデビットカード)

ただし、大手コンビニチェーンでは例外的に、どのキャッシュレス決済であっても即時還元(実質値引き)となります。また、ショッピングサイト「Amazon」も即時還元を公表しています。

はじめよう! “キャッシュレスポイ活”

この事業の還元率は2種類。中小店舗では5%、コンビニをはじめとするフランチャイズチェーン店では2%が基本の還元率となっています。ですが、これらの還元に加えてさらにポイントを獲得できるケースもあるんです。

キャッシュレス決済事業者も独自キャンペーン展開中/PIXTA

キャッシュレス決済事業者が独自に打ち出している、この時期ならではのサービスは見逃せません。なかでも、比較的歴史の浅いQRコード(スマートフォン決済)各社は、初めての登録で1,000円分のポイント還元や、お友達紹介で1,000ポイント還元など、多彩なキャンペーンを展開しています。

キャッシュレス決済の魅力と注意点

なにかとお得なキャッシュレス決済。これまで利用していなかった方でも、この機会に検討されているのではないでしょうか? そこで、改めてメリットとデメリットを簡単にまとめてみました。

メリット

・ポイントが還元される
・ATMを使う頻度が減る(時間外、休日手数料が不要)
・世界各国で利用できる(両替手数料不要)
・高齢者、認知症の方の買い物に便利(電子マネーなら紛失してもチャージ額だけの損失ですむ)
・財布を持ち歩く必要がなく身軽

デメリット

・使い過ぎる
・利用できない店舗もある
・セキュリティ面での心配がある
・紛失、悪用のリスクがある

まとめ

還元方法から還元のタイミング、還元税率までかなりのバラツキ感がある「キャッシュレス・ポイント還元事業」。なんだかとてもややこしい印象を受けますが、消費者にとっては、利用しなければ絶対に損であることは間違いなさそう。それぞれに上限は設けられていますが、複数をうまく使い分けたり、独自のキャンペーンを利用したりすればかなりの還元を受けることもできそうです。賢く活用してお得な消費生活を送りましょう。

【取材協力】
株式会社岡山ファイナンシャルプランナーズ 
代表取締役 濱尾 壽一さん

(最終更新日:2019.11.19)
~こんな記事も読まれています~