2019年10月から消費税が10%に引き上げられると同時にスタートする幼児教育・保育の無償化。これは「社会保障と税の一体改革」の考え方のもと、消費税率の引き上げ分は全額を社会保障の充実と安定化に使うとされているからで、その具体的な使いみちが2018年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」に示されています。
幼児教育・保育の無償化とは?
対象になるお子様がいるご家庭では、すでに保護者向けの説明会等でご存じと思いますが、内容を簡単に確認してみましょう。
誰が対象になるの?
幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳児のすべての子どもたちの利用料が無償化されます。所得制限はありません。
※0歳から2歳児の子どもたちの利用料については、住民税非課税世帯を対象としています。
いくらまで無償なの?
・幼稚園…上限月額25,700円までの利用料が無償化されます。この金額が私立幼稚園のひと月の利用料の平均額といわれています。
・保育所/認定こども園…保育料すべて無償です。
・認可外保育施設…上限月額37,000円までの利用料が無償化されます。この金額が認可外保育施設における保育料の全国平均額といわれています。
無償化の対象外はあるの?
実費として徴収されている、通園にかかる費用(バス代など)、食材料費、行事費、制服代は無償の対象外です。
幼稚園の預かり保育を利用したら?
保育の必要性があると認定を受けた場合は、条件月額上限11,300円までの預かり保育料が無償化されます。
詳しくは「幼児教育・保育の無償化 特設ホームページ(内閣府)」をご参照ください。
浮いたお金を「生きたお金」として使う
では、無償化になることで、浮いたお金をどう扱っていくのがよいのでしょうか? これまで「貯め時」は小学生の間といわれてきましたが、3歳から5歳の3年間が追加されることで、さらに貯め時は長くなります。幼児のいるご家庭は、子どもの成長に伴い今後の生活費は少しずつ増えていきます。また、日々の生活費や楽しみにお金を使いつつ、教育費・住宅取得費・老後資金といった三大資金も計画的に貯めることが求められるため、この機会に「資産形成」をスタートさせるとよいでしょう。
ポイント1:教育費を確実に貯めていく
大学・短大・専門学校等への進学率は8割を超えているため、高校卒業後の教育費を確実に準備しておくことが大事です。
例えば、幼稚園に通わせる場合、毎月25,700円負担が減った分をすべて貯蓄した場合、年間約31万円、3年間で約92.5万円と、貯蓄額を大きく増やすことができます。これに、0歳から中学卒業まで支給される児童手当約200万円を加えると、約300万円の貯蓄ができることになります。(児童手当金額は所得によって変わります)
お金がないことを理由に、子どもの進学を諦めさせることほど、親にとってつらいものはありません。教育費を準備できれば、それだけ子どもの未来の選択肢は増えます。この機会に、しっかり教育費を貯めるマネープランを立てておきましょう。
また、未来の教育費だけでなく、「習い事」にお金を使う事も、子どもに対する”生きたお金の使い道”として考えておきましょう。
ポイント2:幼稚園・保育園代を払ってるつもりで先取り貯蓄
幼稚園・保育園代が浮いて生活が楽になった! と生活のレベルを上げてしまっては、手元にお金は残りません。10月から確実に貯めていくために、幼稚園に通うお子様のいらっしゃるご家庭ならば25,700円の先取り貯蓄を始めましょう。10月のお給料が出たらすぐに25,700円を先取り貯蓄し、残ったお金で生活します。これまで同様、幼稚園代を払っているつもりで貯蓄をします。
ポイント3:分散して貯める
先取り貯蓄の額を決めたら、次はどのように貯めていけばいいでしょうか。できるだけ目的に応じて分散するのが貯めるコツになります。
25,700円の分散例
・教育費⇒学資保険で月1万円ずつ
・住宅取得費⇒財形住宅貯蓄で月1万円ずつ
・老後資金⇒確定拠出型年金やiDeCoで月5,700円ずつ
例えば普通預金や定期積立でお金を貯めてしまうと、お金がいくら貯まっているか見えるうえに、引き出しやすいため、使いやすい状況を作り、結果的に貯まらないということがおきます。いざというときに必要なお金や、数年内に使うことが決まっているお金は普通預金等で貯めていきますが、教育費・住宅取得費・老後資金といった三大資金に関しては確実に必要なお金を長期にわたりコツコツと貯めていくことが求められるため、簡単には引き出せない状況を作ってお金を貯めていくことが大切になります。
今回の幼児教育・保育の無償化で浮いたお金を生活費の補填に使っていては、何も残りません。浮いたお金を子どもや家族の未来のために貯蓄したり、経験や体験に投資をするというように「生きたお金」としてどう扱っていくのか、未来を見据えてご家族でしっかり話し合っていきましょう。
(最終更新日:2019.10.09)