長い夏休みも終わり、2学期が始まりました。夏休み中、子どもたちがずっと家にいることで、お部屋がなかなか片付かなかったと悩んでおられたことはないでしょうか。
「片付けなさい!」と言ってもあまり効果がなく、子どもが散らかす度に繰り返し言うのも疲れた、という経験をお持ちの親御さんは多くおられると思います。
おもちゃで遊んだり、何かモノを出して使えば、子ども自ら片付けてほしいものです。では、どのように子どもに教えれば、進んで片付けをする子に育っていくのでしょうか。なぜ「片付けなさい」と言うのに効果がないのかも含め、子どもが進んで片付けるようになる7つの秘訣をお伝えします。
なぜ、「片付けなさい」は効果がないの?
「片付けなさい」という言葉は、命令や指図する言い方です。私たち大人もそうですが、人から命令や指図されると、やる気が失せるものです。
「〇〇しなさい!」
「今、やろうと思っていたのに、言われたから、やる気がなくなった~」
このような会話のやり取りは、小学生くらいのお子さんがおられるご家庭では、少なからず経験されたことがあるのではないでしょうか。
また、幼い子どもは、「なぜ片付けなければならないのか」その理由がまだ分かりません。「今」楽しく遊んでいることを中断させられるのですから、親から一方的に「片付けなさい」と言われれば、反発したくなるのも当然でしょう。
子どもが進んで片付ける言葉がけと環境を工夫する
子どもに片付けを教えるときは、子どもが進んで「片付けよう」と思えるような言葉がけや、片付けに取り組みやすい環境を工夫することが大切です。そして、幼児期から日常生活の中で取り入れ、習慣化していくことで身に付いていくものです。では具体的に、どのように環境を工夫し、どんな言葉をかければよいのでしょうか。
子どもが進んで片付ける環境の工夫
【工夫その1…分類ボックス、バスケットを作る】
小さなおもちゃや人形、ぬいぐるみ、乗り物、ブロックなどは、大きなボックスやバスケットに入れると片付けやすいもの。そのとき、入れるモノの名前やイラスト、また写真をボックスやバスケットの側面に貼っておくと、小さな子どもも分類しやすく、片付けにもスムーズに取り組めるでしょう。
「この箱には何を入れようか?」
「ぬいぐるみの絵を描いて、貼りましょう。そうすると分かりやすいね」など親子で話し合いながら進めていくと、片付ける意欲をより高められます。
【工夫その2…音楽や歌を上手に活用する】
片付けるときの音楽や歌を決めて、流すのも効果的です。
「お片付け、お片付け、さぁさ、みんなでお片付け」などの歌を流したり、お母さんが歌ってあげてもよいでしょう。お片付けの音楽や歌が聞こえると、自らおもちゃを片づけるようになっていくはず。
子どもが進んで片付けるようになる言葉がけ
【言葉がけ1…片付ける理由を言う】
なぜ片付けなければならないのか、その理由を話しましょう。
例えば、
「夕ご飯にするから片付けてね」
「お出かけするから、片付けましょう」のように、片付ける理由を話してあげてください。
そして、その次の場面で、さらに楽しいことが待っていることも一緒に伝えるとよいでしょう
「今日の夕ご飯は、○○ちゃんが大好きなカレーライスよ」
「これから、おばあちゃんのお家に行きましょう。○○ちゃんが来るの、楽しみに待っているわよ」
そうすれば、進んで片付けようとする気持ちが高まりますよ。
【言葉がけ2…具体的な行動を言う】
漠然と「片付けなさい」ではなく、具体的な行動の説明を加えましょう。
「このブロックはあの箱の中へ入れてね」
「絵本は本立てに置きましょう」と片付けるモノや場所を具体的に伝えることによって、子どもは行動に移しやすくなります。
少し年齢が高くなり、「時間」が分かるようになってきたら、
「7時に夕ご飯だから、6時30分までに片付けてね」
など、片付けるタイムリミットも伝えておくと、急に言われるより、納得しながら片付けられるでしょう。
【言葉がけ3…おもちゃを擬人化させる】
おもちゃを擬人化させて、子どもに語りかけるようにすると、楽しんで片付けをしようとするでしょう。
「お人形が、『お家に帰りたい』って言ってるわ」
「汽車が、『もう車庫に入る時間だ』って言ってるよ」など、おもちゃを擬人化して
「早くお家に帰してあげよう」
「もう、今日の運転は終わりね、車庫に戻しましょう」など、片付けることも遊びの一環となるようにすれば、お片付けも楽しく出来ますよ。
【言葉がけ4…最初は親も一緒に片付ける】
子どもは最初から、ひとりで上手く片付けられるわけではありません。最初は親が一緒に片付けてあげましょう。
「このクレヨンは、この箱に入れるね」
「ぬいぐるみは、そのバスケット」とひとつずつ場所を確認しながら片付けましょう。
少し慣れてくると、
「ママとどちらがお片付け早いか競争しよう!よ~いドン!」と
掛け声をして競争するのも、子どものお片付け意欲も高まって楽しいですよ。
【言葉がけ5…片付いたときの気持ちの良さを言葉にする】
キレイに片付いた後は、お部屋がスッキリした気持ちよさを言葉にして体感させましょう。
「キレイに片付いて、気持ちいいわね」
「お部屋が広くなったね」と言うことで、お部屋が片付いた気持ちよさがより一層感じ取れて、散らかっている状態になれば、自ら片付けようと気持ちが湧くでしょう。
日頃からの関わり方
片付けの習慣は、急に身に付くものではありません。日頃の行動の積み重ねで、徐々に身に付いていくものです。では、次に日常の子どもへの関わり方や親自身が気をつけたいことについてお伝えします。
「出す」「片付ける」はセットで教える
「モノは使い終われば、元の位置へ戻す」ことを日ごろから教えておきましょう。おもちゃだけでなく、普段使うものは「出す」「片付ける」をセットで行動するよう言葉がけをしておくとよいでしょう。
親はお手本になるように日ごろから整理整頓を心がける
子どもに片付けるように促しても、親が片付けていなければ、それは説得力がなく、子どもも片付けようとしないもの。子どもは親の背中を見て育ちます。親がまずお手本をみせるように、日ごろから整理整頓を心がけましょう。
「片付けないなら全部捨てるよ!」はNG
「片付けないなら、全部捨てるわよ!」と、時々言ってしまいがちな言葉ですが、これはよくありません。なぜなら、「おもちゃを捨てる」と脅すことによって、子どもを動かそうとしているからです。
子どもは「捨てられるのが嫌だから」「ママに怒鳴られるのが怖いから」と、初めは片付けるかもしれません。ですが、それは「親が居なければ片付けない」「怒鳴られなければ片付けなくてもよい」と自ら片付ける習慣へとは繋がりません。
そして子どもはいつしかその脅しの言葉にも慣れ、親の脅しや怒鳴り方はさらにエスカレートしていく恐れも。
片付けを通して高まる大切な能力
片付けることは、お部屋がスッキリして気持ちがいいだけでなく、将来、整理整頓する能力も高めます。モノが片付いていると、必要なものがサッと取り出せて、時間の無駄を省きます。また分類する力や、自分で進んで行動する積極性も養われるでしょう。
親子一緒に楽しく片付けることにより、コミュニケーションが増え、親子の絆も深まります。子どもに片付けを教えることは、良いことがいっぱいです。今回、子どもが進んで片付けるようになる親の関わり方をいくつか紹介しましたが、この中で、子どもにあった我が家流の片付けを見出し、是非今日から実践してみてくださいね。
(最終更新日:2019.10.05)