「今年の夏もエアコンを使いすぎてしまって電気代が心配…」という方も多いのではないでしょうか。一般家庭での消費電力のうち、エアコンが占める割合は夏場が6割弱、冬場でも3割と、すべての電化製品の中で最も高い割合を占めています。
エアコンの消費電力を抑え、電気代を下げる方法は2通り。1つは使い方を工夫すること、そしてもう1つは消費電力の低いエアコンを選ぶことです。
そこで、エアコンの製造時期ごとの消費電力を比較し、買換時や電気代を安くするための選び方について説明します。
エアコンの製造時期ごとの電力消費量の比較
資源エネルギー庁が発行する「省エネ性能カタログ(2017年冬版)」によりますと、2010年以降、エアコンの省エネ性能は向上し、電力消費量は冷房、暖房とも低減しています。
それでは、古いエアコンと最新のエアコンの電力消費量と電気代を比較してみましょう。2000年、2005年、2010年、2015年、そして最新のエアコンを、環境省が運営する省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」を使用して比較してみました。
年間電力消費量、年間の電気代とも概算であり、使用する地域や使い方により数値は変わってきますが、約20年前のエアコンと最新のエアコンとでは年間の電気代が4,180円もの差があることが分かります。
エアコンの買い替え時
上記の表によりますと、約15年前(2005年)のエアコンと最新のエアコンの年間の電気代の差は2,370円です。したがって、15年以上前のエアコンを使っている場合は、買換により電気代を節約することができそうです。
ただし、主なエアコンメーカーの多くは、補修用性能部品の保有期間(製品が故障した場合、修理するための部品を家電メーカーが保有している期間)を、製造打ち切り後10年と設定しています。10年以上使用しているエアコンが故障した場合は、修理用の部品がない可能性が高いことも頭に入れておく必要があるでしょう。
電気代以外の視点から、エアコンを買換するタイミングとしては、冷暖房が設定温度になるまでに時間がかかる、運転音が大きくなった、などが挙げられます。
電気代を安くするためのエアコンの選び方
次に、電気代を安くするためのエアコンの選び方を説明します。適切なタイミングで買い替えたとしても、エアコン選びを誤ってしまうと電気代の節約にはつながりません。
部屋の広さに合わせる
エアコンの電気代を安くするためには、設置する部屋の大きさに適した機種を選ぶことが大切です。
エアコンには必ず「畳数の目安」が記載されていますので、参考にしましょう。
畳数の目安は冷房と暖房、木造と鉄筋住宅で異なります。例えば、畳数の目安として「冷房:8~12畳」と記載されている機種は、冷房を使用する場合、木造住宅(戸建てやアパートなど)なら8畳、鉄筋住宅(マンションや団地など)なら12畳の部屋向けということになります。8畳から12畳までの部屋に対応しているという意味ではありませんのでご注意ください。
スペックは、部屋に対して適切なものを選ぶ必要があります。部屋に対して性能の高いエアコンをつけた場合、フルパワー時の消費電力が大きくなり、無駄な電力を使用することがあります。逆に、性能の低いエアコンを取り付けた場合は、部屋が適温になるまで時間がかかってしまいます。どちらのケースも、結果として電気代が高くなります。
暖房を使用するかを決める
エアコンの暖房を使用するかによっても、エアコンの選び方は変わってきます。例えば鉄筋住宅で8畳の部屋にエアコンを設置するとき、暖房を使用しない場合は「おもに6畳用」と記載されているエアコンでスペック的には足りますが、暖房を使用する場合は「主に6畳用」ではなく「おもに8畳用」のエアコンを選ぶ必要があります。
「おもに6畳用」「おもに8畳用」それぞれの畳数の目安
このように、暖房の使用の有無で必要な性能が変わってきますので、エアコンの買い替えで電気代の節約を見込むのであれば、エアコンで暖房するかどうかは購入時に決めておくことをおすすめします。
統一省エネルギーラベルを参考にする
その上で、省エネ性能の優れた機種を選びましょう。製品個々の省エネ性能を表す「統一省エネルギーラベル」(※)がエアコン、電気冷蔵庫など一部電化製品に表示されています。
「統一省エネルギーラベル」には年間の消費電力量と電気料金の目安などが記載されていますので、お使いのエアコンの消費電力量ならびに電気料金と、比較するとよいでしょう。
その他、お住まいの地域や部屋の向き、構造といったさまざまな条件に合わせてエアコンを選びましょう。もちろん、以上の条件を満たしたエアコンを購入したからといって、雑な使い方をすれば電気代の節約にはつながりません。使用時の設定温度に注意したり、フィルターや室外機を清掃したりと、使用方法にも注意すれば、より電気代が節約できます。
まとめ
エアコンの電力消費量は年々低減していますが、省エネの性能はやや頭打ちともいえるでしょう。
ただ、15年以上前のエアコンを使用しているということであれば、電気代の節約にもなりますので買換を検討するタイミングです。
部屋の大きさに合わせて、省エネ性能の優れた機種を使うことで、電気代を節約することができますので、参考にしてみてくださいね。
(最終更新日:2021.02.04)