普段は気にしない人も多い風水ですが、家を建てたり借りたりする際には、風水や家相を気にする人も少なくありません。特に多くの人が気にするのが「鬼門」です。風水に関する知識がなくても、言葉自体は聞いたことのある人が多いのでしょうか。この記事では、鬼門とはそもそも何を指すのかをはじめとして、鬼門を避ける間取りについて解説します。
鬼門とはいったい何?
鬼門というのは、風水や家相において不吉とされる方角のことです。名前の通り、鬼門の方角からは鬼(邪気)が出入りすると考えられて恐れられてきました。
鬼門には「表鬼門」と「裏鬼門」があり、具体的な方角としては、それぞれ北東と南西を指しています。表鬼門と裏鬼門は対になる不吉な方角として、家づくりにおいても古くから避けられてきました。
日本では、京都の都づくりの際にも鬼門を避けることが重視されていました。実は、有名なお寺である比叡山の延暦寺は、京の都を鬼から守るため、あえて鬼門に建てられているのです。
間取りにおける鬼門とは?
家相においては、古くから「三所に三備を設けず」という言い伝えがあります。三所というのは、「鬼門」「裏鬼門」「建物の中心」のことです。
また、三備というのは、「トイレ」「キッチン」「玄関」のことを指しています。つまり、トイレ、キッチン、玄関を鬼門の位置に配置しないようにするのが、吉相(家相の良い家)として古くから好まれているのです。
ただし、家づくりにおいて気にする人の多い家相ですが、実は現代の住宅事情では、家相として理想的な間取りをつくることは難しいのが現状です。たとえば、人気の南向き住宅を例に挙げてみましょう。南向き住宅では、南側にリビングや主要な部屋などを配置して、日当たりを良くしています。
そのため、水まわりが必然的に北側に配置されるケースも珍しくありません。
南向きという条件を優先した場合、すべてではないにしろ、いずれかは鬼門の方角にかかってしまう可能性が高いです。しかしながら、鬼門の考え方は、もとを辿れば古代中国の情勢や地形、生活の知恵などから生まれたものであるため、時代も条件も異なる現代の日本にすべて当てはまるのかといえば、必ずしもそうではありません。とはいえ、何か不幸なことがあったときや運気が悪いと感じたとき、「家相が悪いからでは」と真剣に悩む人がいるのも事実です。
家の間取りにおいて鬼門をどこまで気にするかは、個人個人の考え方によるところも大きいでもの。どうしても鬼門を避けることができず気になる場合は、「鬼門除け・鬼門封じ」をすることで鬼門対策ができると考えられています。具体的には、日頃から鬼門を清潔に保ったり、お清めの効果が期待できる盛り塩をしたりといった方法が挙げられます。
また、なかには鬼門除けのお札を扱っているお寺や神社もあるため、表鬼門、裏鬼門に1枚ずつ飾るのもいいでしょう。その場合は、目線よりも高い位置に飾るのが一般的とされています。アロエやサボテンなどのトゲのある植物も、手軽でありながら魔除けの効果が期待できます。
最初に決めるのは玄関の位置
普段は家相や風水を気にしない人であっても、これから生活する家の家相が悪いといわれると、なんとなく気になってしまう人は多いものです。
家相においては、良い運気も悪い運気も玄関から入ってくると考えられています。そのため、悪い運気(邪気)の通り道である鬼門と裏鬼門のライン上に玄関を配置することは、もっとも良くないとされています。これから新しい家の間取りを考える場合、家相を少しでも良くしたいのであれば、鬼門から外れた位置に玄関を配置することで、もっとも良くないとされている家相だけは回避することができます。
キッチンの位置は西を外す
風水上では、西に水を置くことが良くないとされています。キッチンのコンロやシンクは水を使う場所なので、風水を気にするのであれば西には配置しないほうがいいといえます。
また、家づくりにおける風水・家相では、「不浄」という考え方も重要です。不浄とは、すなわち「穢れ」のことで、主に水まわりのことを指しています。不浄物は運気を下げると考えられているため、配置する場所には注意が必要です。また、「正中線」と「四隅線」の上にキッチンを置くのも良くないとされています。ちなみに、正中線というのは南北と東西を結ぶ線で、四隅線は北東と南西、北西と南東を結ぶ線のことです。家相を重視するのであれば、目安として、図面上に正中線と四隅線を引いて考えるといいでしょう。
トイレは家の中心に置かない
トイレもキッチンと同様、三所だけでなく正中線上や四隅線上にも配置しないほうがいいとされています。トイレも水まわりの1つなので、不浄のものとみなされるのです。家相にこだわらない場合でも、トイレの位置は気にする人が多い傾向にあります。
トイレの配置として、もっとも悪いとされるのは「宅心」です。宅心というのは、家の中心を意味する言葉です。実は、宅心を避けるべきという裏には、れっきとした理由があります。現代のトイレは洗浄式が一般的ですが、昔は汲み取り式のトイレが主流でした。いわゆる、「ボットン便所」と呼ばれるタイプのトイレです。
こうしたタイプは排泄物が地下にある便槽タンクに溜まる仕組みになっていたため、家の中心に置いてしまうと十分に換気ができず、臭いがこもる原因になってしまうのです。そうした背景から、トイレは宅心に配置するべきではないという考え方が定着したのでした。
完璧を目指しすぎないことが大事
家相は、あくまでも昔の家のつくりを基準に考えられたものです。そのため、現代の家にはそぐわない点もあることを知っておきましょう。土地の形や法律の制限などもあるため、100%の吉相を目指すことには無理があります。また、吉相の家が住みやすい家とは限りません。気持ちよく生活するためには、鬼門の位置から少しずらすなどの柔軟な対応も必要です。
(最終更新日:2020.07.09)