首都圏の新築マンション発売が43年ぶりの低水準となっています。不動産経済研究所が8月19日(月)に発表した、2019年7月度の首都圏のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は1,932戸。1年前と比べ35.3%減り、7ヶ月連続の減少傾向となっています。7月としてはロッキード事件が発覚した1976年以来43年ぶりの低さとなりました。
消費増税・オリンピック後の影響予測が要因か
公認会計士で住宅事情に詳しい千日太郎さんによると、
「7月は米中貿易摩擦に米政策金利の引き下げに加え、10月には消費増税を控えており、購買や投資に対してマイナス要因しかなかった。不動産価格の面では、オリンピック後の下落が見込まれる中で、市場では高値の物件が滞留しており、なかなか販売が進んでいないことが要因だろう」
と、分析しています。
平均価格なども下落が続く
地域別でみると、すべての地域で軒並み減少しています。
詳しい地域別では、東京都区部は922戸で前年同月比35.8%減と前月に続き減少。都下は187戸で同55.3%減、神奈川県は361戸で同37.1%減となっています。埼玉県は268戸で同7.3%減、千葉県は194戸で同267.6%減。東京都のシェアは57.4%でした。
新規発売戸数に対する契約戸数は1,311戸で、月間契約率は67.9%。前月の65.9%に比べて2.0ポイントアップ、前年同月の67.8%に比べて0.1ポイントアップとなっています。
1戸当り平均価格は5,676万円、1平方メートル当りの単価は86.0万円。2019年6月は5,964万円、91.9万円だったので、前月比総額では288万円(4.5%)のダウン、1平方メートルあたりの単価は5.9万円(1.0%)ダウンしています。
即日完売はなく、フラット35登録物件戸数は1,880戸(同97.3%)でした。
マンションの2019年/2020年問題
マンションに限らず不動産の市場動向に付きまとっているのが「2019年問題」「2020年問題」と呼ばれているものです。
「2019年問題」とは、住宅の需要と年間90万戸ほど建てられる住宅の供給が逆転する現象が起こるとされる問題のことで、この逆転現象は2019年から始まるとされています。
住宅供給数と総世帯数の逆転が起きれば、供給が増え需要は少なくなるわけですから、新しくマンションを建設しても買い手がつきにくくなり、マンション全体の価格が下落するという仕組みです。
一方で、「2020年問題」とは、2020年になるとマンションの市場価値自体が大きく下がるのではないかと言われている問題のことを指します。
2020年の東京オリンピック開催に向けて、再開発や外国人による投資など、さまざまな要因が合わさって建設ラッシュが起こり、不動産の価格が開催地である東京の都心部を中心に高騰しています。これは一種の不動産バブルであるという見方もあり、2020年のオリンピックが終わったらマンション価格が一気に下落すると考える人もいるのです。(参考:マンションを購入する前に! 知っておくべき2020年問題とは?)
(最終更新日:2019.10.05)