配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除…、年末調整のため、毎年書類に記入したり証明書を提出したりしているけれど、「所得控除」とは何かよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。今回は、所得税・住民税が安くなる「所得控除」について確認してみましょう。
所得控除とは
会社員であれば、毎年秋になると年末調整の手続きのため、配偶者の収入を確認したり、保険料控除の証明書を提出したりしたことがあるでしょう。
これは、所得税・住民税の申告の際に「所得控除」を受けるための手続きです。「所得控除」は、納税者の実情に合わせた課税をするために設けられている、税負担を軽くする制度です。たとえば、養う家族が多ければ生活費がかさみ、事故や病気で病院にかかれば医療費負担で生活が厳しくなり、税金負担が重くなります。そういった事態を考慮して、配偶者控除や扶養控除などの人的控除、医療費控除などの物的控除が設けられているわけです。
所得税の計算は、おおまかにいえば、「収入」から必要経費等を差し引いて「所得」を求め、そこからさらに「所得控除」を差し引き、税率を掛けて税額を求めます。所得控除が受けられると、税率が掛けられる「課税所得金額」が小さくなるので、かけ算の計算結果である税額が小さくなります。
税負担を減らす控除制度には、住宅ローン控除などの「税額控除」もありますが、これは、税額を計算した後に、控除額を差し引く仕組みになっています。
収入の高い人ほど、所得控除の効果は高い
所得控除は、収入の高いひとほど税金を減らす効果が高くなります。所得税の税率は、表2のように、収入(所得)の高い人ほど高いものになっているからです。
表2 所得税の速算表
たとえば、仮に課税所得金額が300万円であったAさんと、1,000万円のBさんがいたとしましょう。
なにも所得控除を受けない場合と、50万円の所得控除を受けた場合で税額をそれぞれ計算してみます。
表3 所得控除の効果
計算の結果、AさんとBさんとでは、税額も税金の削減額も3倍以上の差が出ることがわかります。
つまり収入に比例して所得控除も多くなるわけです。
所得控除は14種類
このように、所得控除を受けることができれば課税所得金額を減らすことにより税金の負担を減らすことができ、収入が多くて適用される税率が高いほど効果は高くなります。
所得控除は、表4のように14種類もあります。早めに今年のできごとを振り返り、さらに受けられる所得控除がないか、検討されてはいかがでしょうか。
表4 所得控除の種類
(最終更新日:2019.10.05)