「世界にひとつだけのキッチン」 憧れのオーダーキッチンとは?

せっかく家を建てるなら、出来る限り理想を叶えたいもの。例えば料理が好きな人なら、キッチンへのこだわりは強いでしょう。各メーカーにはさまざまなシステムキッチンが用意されていますが、こだわりをすべて叶えてくれる“世界にひとつだけのキッチン”は憧れの的。そこで、オーダーキッチンの魅力や、実際にオーダーキッチンを取り入れる際のメリット・デメリットについて、自然素材を使った注文住宅やリノベーション、店舗まで幅広く手掛ける樹工舎の代表取締役・矢野智大さんにお話を伺いました。

素材からサイズ、機能などあらゆるこだわりが実現可能

オーダーキッチンの魅力といえば、まずデザインの自由度の高さが挙げられます。一般的な住宅設備メーカーのキッチンと違い、オーダーキッチンならば好きな色、素材、形、などすべてが自分のお好みに。例えば“カフェ風のデザインにしたい”、“インテリアと調和するよう生活感のない凝ったデザインにしたい”といった要望も可能です。またリビングとダイニングが一つになった間取りの場合でも、リビングの床材と壁面や収納扉、天板のテイストを合わせインテリアの一部のような演出も可能です。

デザインだけでなく設備や機能なども自由に選択できます。例えば「シンクはタイプの違ったものが2つ欲しい」「好きな水栓金具や照明を付けたい」「ビルトインタイプの食器洗い乾燥機、オーブンの有無」なども自由自在。天板の高さや幅も思いのままなので、家族でキッチンに立つことが多ければ作業スペースを広くするなど既製品では叶わない自由度の高い設計が可能です。

インテリアの一部のようなデザイン性の高さを求めるならオーダーキッチンが正解

自分の使い勝手に合ったこだわりの収納も

オーダーキッチンでは、キッチン食器や調理器具など使うものに合わせて棚や引き出しといった収納スペースも自由に設計できます。ここで大切なのはキッチンに収納したいものをあらかじめピックアップし、具体的に“何を”“どこに”収納したいのかを決めておくこと。食器やカトラリーの数はもちろんですが、調味料も収納したいのであれば実際にどのくらいの種類と数を収めたいのか決めておくと打ち合わせもスムーズです。

また、お気に入りの鍋やフライパンなど調理器具があればそのサイズも測っておくと良いでしょう。調理家電の場合も同じです。特に“見せない収納”にしたいのであれば目分量やだいたいのサイズで作ってしまい、いざ完成したら入らない! などと慌てることがないよう、サイズは正しく測るようにしましょう。

今だけでなく将来を見据えた設計に

収納スペースはあればあるほど便利と思う方もいるでしょう。けれども子どもの成長は早く、それに合わせて食器や調理器具の種類や量は変化します。家族が多いとそれに見合う食器も必要ですが、子どもが巣立つと同時に収納するものも減り、スペースに余裕が出る場合も。現状だけに目が行きがちですが収納や設備など、10年後、20年後を見据えて考えることも大切です。

デメリットや注意したい点もチェック

既製品は、ショールームなどで実物を見ることができ、実際の使い心地を体感することができます。またオプション等も含めて用意されたカタログなどから選ぶので打ち合わせも比較的スムーズです。一方、オーダーキッチンの場合、デザインから素材、設備に至るまで選択肢が多い分、決めるのに時間も必要です。打ち合わせにかなりの時間をとられる場合も少なくありません。発注してから納品するまで時間がかかる場合もあります。

打ち合わせの際にはイメージに違い写真や画像などを用意しておくとスムーズ

気を付けたいのがアフターメンテナンス。一般的な住宅設備メーカーなら、故障や不具合が生じた場合には、アフターサービス窓口に連絡すれば、すぐに対応してもらえます。オーダーキッチンの場合、メーカーによっては近くに営業所がない場合もあり、修理までに時間がかかることもあります。不具合があった場合にはどのような対応をしてもらえるのか、あらかじめ施工店に確認しておく必要があります。

デザイン性・細部までこだわりたいならオーダーキッチン

オーダーキッチンは工業製品である既製品とは違い、キッチンをインテリアの一部として、見ても楽しめるという魅力があります。何かを我慢する必要はなく、自分が思い描いた通りのデザインや機能で作り上げるオーダーメイドです。それだけに既製品と比べ費用が高額になります。また大量生産でコストが抑えられる既製品と同じような合理的で便利な機能をプラスすることは難しい場合もあります。オーダーキッチンとシステムキッチン、それぞれのメリット・デメリットを知って、理想のキッチン作りをスタートさせましょう。

<取材協力>
矢野智大(やのともひろ)
株式会社樹工舎代表取締役社長。1977年香川県出身。
外構、土木工事の経験を経て22歳で大工の棟梁に弟子入り。大手ハウスメーカーの工事など様々な現場を通じて経験を積む。10年前に独立。2016年12月に株式会社樹工舎を設立。現場での経験を活かしながら新築住宅、リフォームをはじめ、古民家を結婚式場にリノベーションし注目を集めるなど、住宅だけでなく商業施設の物件も数多く手掛けている。
http://kikousha.jp/

(最終更新日:2019.10.05)
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