電力会社を後悔なく選べる3つの要素。電気料金の仕組みや地域差を知る

電力自由化から3年が経ったものの、今でも大手電力会社と新電力、どちらがいいか分からない、電力自由化といっても別に変えてないけど…といった方も多いと思います。ここで改めて、電気料金設定の仕組みや料金の地域差、電力会社の選び方などについて学んでいきましょう。

電気料金の仕組みとは

電気料金の算出方法を簡単に表すと、以下のようになります。

電気料金=基本料金+電力量料金+再エネ賦課金
(経済産業省資源エネルギー庁のサイトより)

各項目について、細かく見ていきましょう。

基本料金

基本的には、契約A(アンペア)数によって決まり、電気を使わなくても支払わなくてはならない料金のこと。アンペア数はユーザーの自宅で一度に使う消費電力の大きさに基づき、10A~60Aの範囲でユーザーの申し出により決定します。

※アンペア(電流)を確認する計算方法は「電力(W)÷電圧(V)」で求められるので、「電気消費量=同時に使用する電化製品の消費電力(W)の合計÷100(V)」で計算すると、必要なアンペア数が分かります。

※関西や沖縄などアンペアでの契約がない電力会社もあります。その場合、使用量のみによって決まる「最低料金制」を取っています。

電力量料金

使った電力の量に応じてかかる従量料金のこと。

※計算方法…電力量料金単価×1ヶ月の使用電力量(kWh)+(燃料費調整単価×1ヶ月の使用電力量)

※燃料調整単価は、電気を作るのに必要な燃料の変動価格に合わせて毎月変わります。ただ、基準の燃料費より安かった場合その分差し引かれることもあります。

再エネ賦課金

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略称。再生可能エネルギーによる発電促進のため、電気利用者全員が負担しなければならない費用のこと。再生可能エネルギーの買い取りに要する費用を全国一律の単価により、電気の使用量に応じた賦課金として電気利用者に請求されます。

再生可能エネルギー発電の促進によりエネルギー自給率が上がり、化石燃料への依存度が下がると、燃料価格の乱高下に伴う電気料金の変動を抑えることができ、電気利用者全員にメリットがあるといえるため、課金されています。

このほか、電気料金には電気を発電するために必要な原材料コスト、発電施設の維持費、送電コスト、人件費など様々な経費が含まれています。電力会社がどのような発電施設をどれだけ所持しているかはそれぞれ異なるため、地域差が生じるのです。

電力自由化で広がる選択肢

前述のような料金の仕組みや地域差がある中で実施された電力自由化は、2000年3月に「特別高圧」区分とされる大規模工場やデパートなどから始まりました。その後、電力自由化の対象が「高圧」区分の中小規模工場に広がり、2016年4月以降は「低圧」区分の家庭や商店においても、電力会社が自由に選べるようになりました。

つまり、電力自由化の波は大企業から消費者へと行き渡り、消費者自身が自分に合った電力会社やプランを選べるようになったのです。これまでよりも電気料金の安いプランや、割引やクーポンなどの付加価値があるプランを選んだり、環境配慮や地域貢献という観点で電力会社を選択したりするなど、幅広い観点で検討する人が増えています。

例えば、再生可能エネルギーを中心とした電気を供給する事業者から電気を買ったり、都会に住んでいてもふるさとの電気を買うことができたり、反対に電気の地産地消として近くの自治体が運営する事業者から電気を買うといったこともできます。

電力自由化と大手電力会社の取り組みは?

電力自由化は、2020年の大手電力会社の「発送電分離」によって完結する予定となっています。発送電分離とは、電気の発電部門と送電部門を分離し、すべての電力会社が平等に利用できるように制度を整えることです。それまでは、自由化によって起こりうる混乱を防ぐため、経過措置として大手電力会社も従来の料金規制のプランを維持することが求められています。

さらに大手電力会社はこれまでのノウハウを生かし、ユーザーの流出を防ぐために様々なプランを出すなど利便性を向上させる努力をしています。例えば、電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引やポイントサービスを行うなど、他業種との提携によるセットプランでサービスを拡大していることが挙げられます。また、より良いプランへの変更手続きがこれまで同様にカスタマーサービスへの連絡で完了できることはメリットといえるでしょう。

電力会社選びの3つのポイント

従来の地域で決められた電力会社ではなく、消費者が自分にとってメリットのある電力会社を自由に選べることこそが、電力自由化の意義であるといえます。では、新電力、大手電力会社ともに様々な取り組み、プランを展開する中で、何を基準に選べばいいのでしょうか。

ここでは、「電気料金」「エコ・地域貢献」「顧客対応」という3つの要素についてチェックポイントを挙げます。

電気料金

・低価格か
・他サービスとのセット、ポイント付与などの付加価値があるか

エコ・地域貢献

・再生可能エネルギー比率が高い(電源構成やCO₂排出係数を参考に)
・発電によるCO₂排出量が少ないか
・地域の電力会社に加入し、電気の地産地消で地域の活性化を応援しているか

顧客対応

・コールセンターの対応、申し込み方法の充実、支払い方法の充実など

以上のような視点から、自分のニーズや価値観に合う電力会社を選ぶといいでしょう。

まとめ

電力自由化、新電力の誕生で、私たちの生活に欠かせない「電気」を“選ぶ”のが当たり前の時代となっています。電気の使用量や予算、価値観(環境を重視するかなど)などを、自分の生活と照らし合わせた上で、自分にとって最大限メリットのある電力会社を探してはいかがでしょうか。

<取材協力>
SBIホールディングス株式会社 インズウェブ事業部
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(最終更新日:2019.10.05)
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