引っ越しの際の手続きの一つに「印鑑登録の変更」があります。めったに行うことのない手続きですので、正直よくわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、印鑑登録の手続きをスムーズに行うため、印鑑登録できる印鑑とできない印鑑、そして転居時の印鑑登録の手続きについて説明します。
登録できる印鑑
まず、印鑑登録できる印鑑についてチェックしていきましょう。自治体によって若干異なりますので、必ず事前に確認してください。なお、登録できる印鑑は一人につき一つです。
形状
印影の大きさが8ミリメートル以上25ミリメートル以下の正方形に収まるもの
内容
住民基本台帳に記録されている氏名
氏のみ、名のみ、氏名の一部を組み合わせたものいずれも可です。
独身女性で名のみを彫刻された印鑑を登録される方もいますが、姓名とも彫刻されている印鑑でないと登録できない自治体もありますので事前に確認を。
なお、結婚により姓が変わった場合、旧姓が彫刻された印鑑での印鑑登録は失効となり、新たに印鑑登録を行う必要があります。
一般に同字として使用する文字で表示したもの
氏名が常用漢字または人名漢字で表されていない場合でも印鑑登録が可能です。この場合、対応する常用漢字または人名漢字、あるいは一般に同字として使用する文字で表す必要があります。
- (例)
一と壱、峰と峯、島と嶋
渡辺と渡邊、斉藤と齊藤
印鑑登録できない印鑑
続いて、印鑑登録できない印鑑について説明します。こちらも自治体により異なりますので、必ず事前に確認をお願いします。
形状
印影の大きさが一辺の長さ8ミリメートルの正方形に収まるもの。または、一辺の長さ25ミリメートルの正方形に収まらないもの
内容
- ● 上記「印鑑登録できる印鑑」の条件を満たしていないもの
● 他の人によってすでに登録されている印鑑
● 世帯内の者と同じ、または印影のよく似た印章
● 職業、資格、その他戸籍上の氏名以外(ペンネームや芸名)の事項を表しているもの
● 氏名にフリガナをそえたもの
● 印影が不鮮明なもの
● ふちが模様になっているもの
● 文字を崩しすぎたりして氏名との照合が困難なもの
● ゴム印など材質・形状が変形しやすいもの
● 字やふちが破損、摩滅しているもの
● 印面が丸みをおびているもの
● 逆さ彫り(白い文字が浮き出る)のもの
● 朱肉を必要としないスタンプ式のもの
引っ越しするときの印鑑登録の手続き
ここからは転居時の印鑑登録の手続きについて説明していきます。現住所と異なる市区町村へ転出する場合は、まず今まで住んでいた市区町村の役所・役場で印鑑登録の廃止手続きを行い、その後引っ越し先の市区町村で新たに印鑑登録手続きを行います。以下、一般的な転居時の印鑑登録の廃止・登録の方法を紹介します(自治体により異なる可能性がありますので、各自治体のホームページなどで事前に確認を)。
印鑑登録の廃止
まずは今まで住んでいた市区町村の担当窓口で、印鑑登録の廃止手続きを行います。
必要なものは以下の4点です。
- ● 印鑑登録廃止申請書
● 登録している印章
● 印鑑登録証(カード型のもの)
● 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど顔写真が掲載されているもの)
なお、印鑑登録廃止は代理人による申請も可能です。
ただし、上記4点に加え、代理人選任届(本人記入のもの)、代理人の認印、代理人の本人確認書類が必要となり、手続きに手間と時間がかかります。
印鑑登録廃止の手続きを行わなかった場合、住民票を移した時点で前の印鑑登録が無効となる自治体もあります。このほか、転居以外に印鑑登録を廃止しなければならない主なケースも参考までに紹介します。
- 転居以外に印鑑登録を廃止するケース
・ 婚姻で姓が変わったとき
・ 登録している実印が破損または紛失したとき
・ 印鑑登録証を紛失したとき
新規印鑑登録
続いて、引っ越し先の市区町村の担当窓口で新たな印鑑登録の手続きを行います。
必要なものは以下の3点です。
- ● 印鑑登録申請書
● 登録しようとしている印章
● 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど顔写真が掲載されているもの)
なお、新規印鑑登録は印鑑登録廃止と同様に代理人による申請も可能です。こちらも代理人選任届(本人記入のもの)、代理人の認印、代理人の本人確認書類が必要となり、手続きに手間と時間がかかります。
自治体の中での転居の場合
同じ市町村内で引っ越しをする場合は、印鑑登録の手続き(廃止、新規登録)の必要はありません。
市区町村の役所、役場で転居届を提出した時点で、同時に印鑑登録の住所も新しい住所に変更されます。カード型の印鑑登録証も、引き続き使用することができます。
なお、政令指定都市に住んでいる場合は、市内での転居であったとしても、区が変わる場合には改めて印鑑登録の手続きをしないといけないケースがありますので、あらかじめ確認ください。
また、引っ越し前の住所が記載されている印鑑登録証明書は無効となりますので、引っ越し後に使用する印鑑登録証明書は、転居届を提出した後に取得するようにしましょう。
まとめ
印鑑登録証明書はさまざまな契約などに使用しますので、常にスムーズに請求できるようにしておく必要があります。特に引っ越しのときは多数の手続きを行うため、印鑑証明の廃止や新規印鑑登録を忘れがちです。注意しましょう。
(最終更新日:2019.10.05)