今日から真似できる! 料理研究家に聞いた“収納しやすいキッチン”のコツ

マイホームの新築やリフォームにあたり、女性がもっともこだわる場所といえばキッチンではないでしょうか? 毎日使い、一日の多くの時間を過ごす場所だからこそ理想を叶えた快適な空間にしたいもの。「数ある中からどんなものを選べばいいの?」「使いやすいキッチンって?」といった疑問のヒントを探りに、料理研究家、白川達子先生のキッチンにお邪魔しました。料理のプロならではのこだわりから、あなたの理想のキッチンが見えてくるかもしれません。

徹底的に無駄を省きスムーズな動線を

最近新しいキッチンスタジオをオープンしたばかりという白川先生。真新しいキッチンには先生の長年のこだわりが詰まっています。

「一番大事にしたのは何といっても動線。これは教室用でも自宅用でも変わることがありません」と白川先生。

「昔からキッチンは料理という作品を生み出す工場だと思っています」。そんな思いから、キッチンを効率よく生産性のある場所にするために無駄な動きを極力省き、スムーズな動線を描くことを意識したのだそう。

「例えば1回の調理でシンクから冷蔵庫まで5歩必要なキッチンだとしたら、食事を作るたびに何十歩も歩かなければならない。それが1日2~3回繰り返され、1年で約365倍になります。ところがシンクの真後ろに冷蔵庫があればどうでしょう? 0歩でOK。この差は大きいですよ」(白川先生)

その他に、食器棚も振り向くだけで必要な食器に手が届くようレイアウトするなど収納家具の配置にもこだわりが。ワークショップを行っていることもあり、どこにどんな食器があるのか一目で分かるようにあえて扉のない見せる収納にしたそう。

扉のない食器棚は、どこにあるのか一目瞭然。出しやすくてしまいやすい

キッチンをどんな風に使いたいのかを明確に

料理が好きで、毎日2~3食は必ずキッチンを使う、料理だけでなくお菓子やパン作りが趣味、ご主人やお子様も一緒に料理をする機会が多いなど、どんな風に使いたいのかによって使い勝手の良さは変わります。

料理が好きならコンロに加え、オーブンレンジなどを置くスペースも必要です。お菓子やパン作りが趣味なら大理石の調理台があった方が便利ですし、複数の人数でキッチンを使うならシンクは2つ必要かもしれません。またデザイン性だけでなく調理台などはお手入れしやすい素材であるかどうかも大切。

「調理台は汚れにくく、お掃除しやすいステンレス素材などを選べば、常にきれいな状態を保てるのでストレスにもなりません」と白川先生。

既製品から選ぶのであれば、カタログだけでなく、実際にショールームなどで素材や大きさを確認することもお忘れなく。高さなどをチェックする際はヒールでなく実際に台所で履いているものと同じくらいの高さの靴がおすすめです。

使いやすく収納しやすいキッチン作りのヒント

先生のキッチンを見てびっくり。なんと扉がなくすべてスライド棚になっているではありませんか!

「これは必要なモノをさっと取り出せる、また収納しやすいように考えた結果です」と白川先生。「扉があるとまず、扉を開ける、そしてしゃがむ、必要なモノを出す、と3アクションになってしまいますが、扉がない場合、引き出して取るだけでOK。そして何がどこに収納されているか一目瞭然です。鍋は極力重ねずに立てて収納すると取り出しやすさがグンと楽になりますよ」とアドバイスをいただきました。

レンジの下は調味料がスタンバイ。調味料を取りに行く歩数を省いて効率的に

また、キッチン下の収納にも法則があるのだとか。ザル、ボウルなどはシンクの下に、鍋、フライパンなどはコンロの下に収納すると動線がスムーズに。シンクで洗う時に必要なもの、コンロで調理する際に必要なモノが何かを考えると自ずと収納場所は決まってくるといいます。

ボウル、ザルなどが整然と並べられているシンク下。野菜を洗う時にサッと取り出せて便利

加えてキッチンのサイズ選びにもポイントがあるようです。実はスタジオのキッチン、ワークショップを行うキッチンにしては少々小ぶりなのです。

その理由を尋ねると「すべてキッチンに収納しようとするとどうしても大きなサイズのものが必要になり、それだけ費用もかかるしスペースも必要です。しかし食器を戸棚に収納するのであれば大きなキッチンは本当に必要でしょうか? 私は食器やカトラリーは全部食器棚に収納し、トースターやレンジ、ミキサーなどは冷蔵庫の近くに収納しているのでそれほど大きなキッチンは必要ありません」と白川先生。

大きすぎないためお手入れも苦にならず、いつも整理整頓した状態が保てるのだといいます。

キッチン周りの雑貨の収納にも一工夫。包丁は磁石でピタリとくっつく壁掛け式のユニークなナイフラックで見せる収納を。

「食器棚の下はあえて家具を置かず、キャスター付きのダストボックスや、ワゴン、お天気が良い日には天日歩干しもできる折りたたみ式のタオルハンガーなどを置くスペースにしています」と白川先生。

レストランのようなおしゃれなナイフラックで見せる収納

キッチンをどんな場所にしたいのかを把握

デザインや機能はもちろん大切ですが、まずはご自身がどのようにキッチンを使いたいのか、どんな場所にしたいのかを考えてみましょう。大好きな料理に没頭したり、家族や友達と賑やかにホームパーティを開くなど理想のキッチンの形はさまざま。思い描くキッチンでの過ごし方が快適なキッチン選びのポイントになりそうですね。

<取材協力>
白川 達子(しらかわ たつこ)
料理研究家。クッキングサロンAND104主宰。
高松と神戸で料理教室を開講して39年。簡単に作れてなおかつ身体に優しいをコンセプトに1000以上のオリジナルメニューを開発。料理教室と共にカフェ、レンタルキッチンも運営。新聞などの掲載も多数。

(最終更新日:2019.10.05)
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