怪我や事故、犯罪など、普段の生活の中で子どもが傷ついてしまう可能性は多分にあります。親であれば、普段の生活に潜む危険を知り、対策を取りたいと思う人も多いはず。そこで今回は、子どもを取り巻くリスクとその対策について、セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループの舟生岳夫さんに伺いました。
子育て世帯が感じる子どもを取り巻くリスクとは?
子どもを取り巻くリスクは、それぞれの生活スタイルや子どもの年齢、性格によって大きく異なります。当社にも、リスクを不安に感じている世帯からさまざまな声が届いています。
小さな子どもをもつ親の場合は、少し目を離した隙に起こる誤飲などの『事故』や、急な『体調不良』など、室内で起こり得るトラブルを心配する人が目立ちます。さらに、子どもが歩ける年齢になると、『転倒』などの怪我を心配する声も増えてきます。
特に、高い場所に登ったり走り回ったりするのを好む活発な子どもの場合は、室内でも怪我をする不安が強いようです。また、マンションなどの高層階で生活をしている家庭の場合は、ベランダからの『転落』を心配する人も少なくありません。転落による死亡事故はニュースなどでも取り上げられているため、より不安を感じる親が多いようです。
一方、子どもが少し成長して小学生になると、一人で外出したり、留守番をしたりすることが増え、『防犯』に関する不安が出てきます。特に、友達と遊ぶ際、外出先での事件や事故を心配する親は多いようです。また、子どもが一人で留守番をする機会の多い家庭では、「鍵の管理方法」や「知らない人が家に来た時の対処法」などを不安視する声が聞かれます。さらに、「刃物やガス(火)などの扱い方」に対する心配もあるようです。
リスクを軽減するにはどんな対策が必要?
子どもを取り巻くリスクを軽減するためには、どのような対策をとっておけば良いのでしょうか。今回は、「転落事故」と「留守番」の対策法についてご紹介します。
(ケース1)転落の危険がある
転落事故は、親が目を離した隙に発生してしまうものです。一番の事故防止策は、子どもを一人にしないよう、親が近くにいることでしょう。1歳や2歳の小さな子どもでも、窓やベランダから転落してしまう事故は発生しています。「少しの間ならこの部屋から出ることはないだろう」「もう少し寝ているはず」などと決めつけず、定期的に子どもの様子を確認することが大切です。
しかし、家事をするために離れたり、止むを得ず留守番をさせたりしなければならない事情が出てくる可能性もあります。そんな時にはしっかりと窓を施錠しておくことが大切です。また、窓やベランダにつながる「足場」となるような台や箱、おもちゃ、植木鉢なども片付けておきましょう。最近では、子どもが手の届かない位置へ設置する補助鍵なども販売されており、そのような安全グッズの活用も効果があります。
その他、子どもが遊ぶ場所をしっかりと選ぶことも大切です。戸建て住宅であれば、2階ではなく1階で遊ぶ習慣をつけていれば転落の可能性が減ります。マンションなどの高層階で暮らす場合、子どもが小さいうちはベランダへ出すのを控え、なるべく室内で遊ばせる方が良いでしょう。あまり小さい頃から高い場所に慣れてしまうと、危険や恐怖を感じにくくなることがあるようです。しっかりと「危ない」ことを認識できるように、普段から遊ぶ場所を選んであげてください。
(ケース2)一人で留守番することが多い
子どもに留守番をさせる際には、留守中の約束を決めておくことが大切です。子どもの年齢にもよりますが、まずは「来客があってもドアは開けない」「決まった電話以外には出ない」「玄関や窓の鍵を開けない」「火や刃物を使わない」「何かあったら親に連絡する」「親が不在なことを他人に教えない」といった基本的なルールを理解させることから始めなくてはいけません。
また、留守番中の子どもの安全を親が確保しておくことも重要です。「家中を施錠する」「火器や刃物など、危険物に対する安全対策を行う」「家への電話は親の携帯に転送されるように設定しておく」「子どもからの電話にいつでも出られるようにしておく」「なるべく早めに帰宅する」など、事前に子どもが安心して留守番できる環境を整えておきましょう。
もしも、「仕事の終わるのが遅くて子どもの留守番時間が長くなってしまいがち」「仕事中に子どもからの連絡に出られないことがあるかもしれない」「家と職場が離れていて、緊急時でも帰宅するのに時間がかかる」など、不安な点がある場合は、セキュリティサービスを利用する方法もあります。
セコムが提供する、在宅時の子どもを見守るサービスとして、万一の非常時にセコムの緊急対処員がご自宅へ駆け付けるサービスがあり、必要に応じて保護者の方へ連絡も行います。
日ごろの心がけも大切! 子どもたちと積極的に話をしよう
子どもの性格によって、起こり得る危険は異なります。また、年齢によってできることとできないことの差もあるはずです。そんな子どもに対する不安や悩みを解消するためには、我が子を理解しておくことが重要です。
例えば、外で遊ぶのが好きな子どもに対しては、危険な場所や、帰宅時間などについてしっかりと教えておく必要があります。また、普段から料理を手伝っていて包丁などの扱いがしっかりとできる子どもであれば、留守番中に簡単な調理や、おやつの切り分けなどを許すこともできるでしょう。
このように、子どもに合ったアドバイスをするためには、子どもたちが何に興味を持ち、今どんなことができるのかをしっかりと把握しておく必要があるのです。
また、ルールや危険を教える時には、子ども自身に考えさせることも大切です。親が一方的に「危険なもの」や「危険な場所」「留守番中にしてはいけないこと」を教えても、興味がなければ子どもには覚えられません。言われた時には「うん」と返事をしても、すぐに忘れてしまう可能性が高いのです。
しっかりと記憶に残すためには、「どこが危ないと思う?」「なんで危ないと思う?」という様に質問し、子どもに答えてもらうのが効果的です。自ら考えたことは忘れにくく、応用も利きます。また、その様な会話をすることによって、親も我が子が興味を持つものや、危機感を感じているもの、危険を認識していないものなどを知ることができます。
まとめ
舟生さんのお話から、子どもの年齢や性格、生活環境によって、子どもを取り巻くリスクは異なることがわかりました。まずは、子どもとのコミュニケーションをしっかりととり、子どもたちが普段の生活で何を感じ、どのような危険に遭遇する可能性があるのかを把握しましょう。
今回ご紹介したケースに該当する人は、対策方法も参考にしてみてください。子どもの留守番時など、自分たちだけで対応するのが難しい場合は、セキュリティサービスの導入なども検討してみると良いかもしれません。
【取材協力】セコム株式会社
セコム株式会社/IS研究所リスクマネジメントグループ
舟生岳夫さま
IS研究所リスクマネジメントグループ
セコムIS研究所は、同社の技術研究所として設立以降、画像処理技術やサイバーセキュリティーなどの先端技術を研究している。その中で、家庭生活や企業運営に関わるリスクについての情報を収集・分析しているのが、リスクマネジメントグループ。分析した情報を新しいサービスの創出に生かすとともに、同社のホームページやブログなどを通じて積極的に発信することによって、より「安全・安心」な社会づくりを目指している。
参考情報:子どもの安全ブログ