新築物件より、自分たちのライフスタイルに合わせて好きにリノベーション。そんなカタチの住宅購入が今、急増しています。今回は、3LDKの中古マンションをフルリノベーションしたご夫婦の部屋に潜入。リノベーションのきっかけやこだわりポイントなどについて伺いました。
物件選びはまず立地と管理体制をチェック
今回お話を伺ったのは、インスタグラマーのpomさんとponyさんご夫妻(ともに40代)。都内の駅から徒歩3分、築16年(購入当時)の中古マンションをフルリノベーションしました。社宅に長く住んでいて、退去しなければならない期限があと数年に迫ってきたため次の住まい探しをスタートしたそう。
pomさん:
将来子どもを持つ予定はなく、二人とも戸建てより駅から近いマンションを希望。新築マンションか、中古マンションか。冷やかし程度にモデルルームなども訪れました。もともと私は駅近の賃貸マンションを転々とする生活もいいかなと思っていたのですが、雑誌などでリノベーションに興味を持ち、リノベするなら購入したほうが本格的にやれるね、と妻と話して中古マンションを探し始めました。
━2、3年かけてじっくり探すはずが、社宅からすぐ近くで前から気になっていたマンションが売りに出されているのを知り、すぐ内見へ出かけたそうですね。何がポイントだったのでしょうか?
pomさん:
内見まではもちろん中に入ったことはなかったのですが、マンションの前を通るたびに「管理が行き届いているな」と感じていました。いつもきれいにしてあるし、ゴミの収集スペースもきちんと整えられていて、「次はこういうところに住みたいな」という思いが以前からありましたね。妻も同じように感じていて、内見したら「ここがいい」と猛プッシュ。実は予算をオーバーしていたし、1軒目の物件なので私は躊躇したのですが、目が利く私の父を連れてその日のうちにもう一度内見。値段交渉がうまくいったこともあり、妻の直感を信じてそれから数日で購入を決めました。今振り返ると思い切ったことをしたなと思いますが、即決して本当によかったです。いい物件はすぐに売れてしまうものですし。
━物件の契約と同時進行で、リノベーションのリサーチや設計事務所探しを始めたんですね
pomさん:
リノベーションは焦らずじっくり進めようと決めていました。幸い社宅の退去までもまだ余裕があったし、1年くらいは社宅と新居のダブル家賃になってしまってもかまわないと思って。引き渡しは購入から3カ月後だったのですが、そこからリノベーション工事に入り、結局は買うと決めてからちょうど1年でリノベが完了して入居しました。
持ちものや暮らしの動線をベースに考えるリノベ設計
雑誌やウェブサイトなどをリサーチし、資料請求は10社ほど、そして実際に足を運んだのは5社。各社の提案を見て、最終的に選んだのがハンズデザイン一級建築士事務所でした。
pomさん:
まずは二人のリノベ希望をA4用紙1枚に書き出していきました。私の大きな希望は「ルイスポールセン社の照明がつけられる、おしゃれな部屋にしたい」、妻は「家事動線が整った、ムダな動きのない部屋にしたい」でした。二人が希望するイメージに近い画像や施工事例を見て、手掛けている会社をリサーチする日々。同じように希望を伝えても、各社が出してくる間取りやこだわりはまったく違うものでした。なかでもハンズデザイン一級建築士事務所だけは、CGで間取りを見せてくれたんです。これで一気にイメージがわきました。
ponyさん:
ここの事務所が設計して実際に生活されている部屋も見に行って、生活動線を自分の目で確認できたのも大きいです。あと私たちへの質問もほかの事務所とは少し違いました。「個々で過ごす空間がほしいですか?」「お二人の就寝時間にズレはありますか?」「部屋の区切りがあったほうがいいですか?」など。デザインや間取りから入るのではなく、二人の生活に合わせたリノベを提案してくれようとしているなと感じて、お任せできると確信しました。
pomさん:
契約してからは、建築士さんが社宅の部屋まで来てくださり部屋や収納の写真をすべて撮影。「ここにあるもので新物件に持っていくものはどれですか?」「服はどれぐらいの量を収納したいですか?」「スーツケースはいくつありますか?」などと細かく質問されました。間取りや収納スペースに持ちものを合わせるのではなく、使いたいもの、手元に置いておきたいものありきでそれをうまく収納する、使いやすくなるような設計をしてくれたのだと思います。
pomさん:
設計が決まるまでの打ち合わせは月1、2回で、部屋のエリアごとに希望をまとめる宿題を持ち帰って二人で話し合っていましたね。この作業は自分たちの暮らしにおける優先順位や大事にしたいことを確認するよいきっかけになったし、断捨離までできました。予算は実は希望の1,000万円から大幅にオーバーしてしまったのですが、毎日過ごす部屋に妥協はしたくないと思い結局1,750万円に。あとはローンを返すだけです(笑)。ただ、目的ができて仕事もよりがんばれている気がします。
━リノベーションした部屋を見ると、玄関からリビングがとても近く、いわゆる廊下がない設計です
pomさん:
「ムダなスペースに感じる廊下をなくしたい」という希望も当初から伝えていました。玄関を入って左手にすぐウォークインクローゼット、そしてリビングに入ってキッチンがあり、洗面台や洗濯機がある家事室へ。家事室の奥は寝室につながっています。浴室とトイレは部屋の中央にあります。
ponyさん:
帰宅してから、あちこち行ったり来たりしなくてもすむ回遊型の間取りです。靴を脱いだらまずは上着やバッグを置き、左に向かえばリビング、キッチンへ。右に向かえば洗面台へ。朝の身支度や帰宅してからの動き、家事の流れもスムーズになっています。
特にこだわりが詰まっているのがキッチン。トップには何も置きたくない」というponyさんの希望で、ほぼすべてのアイテムが収納スペースに収まっています。
キッチンの横は家事室。洗濯機、洗面台、浴室、パントリーがここに集まっています。
ponyさん:
洗濯機を回し、浴室乾燥で干したらタオル類はすぐ横のパントリーに収納。服はハンガーのままクロゼットへ持っていくのでとてもスムーズです。マキタのコードレス掃除機、ロボット掃除機ルンバもここに収納しています。パントリーは入浴で使うものやストック類を置いていて、普段は目隠ししています。
━リノベーションに興味がある人に向けて、何かアドバイスはありますか?
pomさん:
リノベ前後で、ライフスタイルの充実度は大きく変わりましたね。窓際のテーブルはおうちカフェ、おうちレストランのようで、居心地が良すぎるせいか、それまで趣味だったカフェめぐりのハードルもかなり上がっています。即決で予算もオーバーはしましたが今の家には100%満足しています。ただひとつ、ローンはネット銀行の変動金利を25年で組んでしまったことだけが不安材料ですね。リスクを負いつつも最安値で契約できたのはよかったのですが、今後何かあったらと思うと【フラット35】にすべきだったと今は考えています。
Ponyさん:
間取りや収納などを一から設計できるのがリノベーションの大きなメリット。でも、自分たちのライフスタイルをまず見直すことが最も大事な気がします。何部屋ほしいとか、収納スペースはたくさんほしいという希望ではなく、自分たちが家でどう暮らしたいのか、どんなことをしたいのか、何を収納したいのか。暮らしの根底になる部分を話し合い、それをリノベの設計に落とし込むと、とても暮らしやすくなると思います。
まとめ
リノベーションで叶えたいライフスタイルは人それぞれです。興味を持っている人は、まずは自分の暮らしを見つめ直すことから始めてみるといいかもしれません。
(最終更新日:2021.02.04)