共働き世帯数が専業主婦世帯数を逆転してから約20年。いまや、共働き世帯数は専業主婦世帯の2倍近くになりました。そんな中、注目を集めているのが “パワーカップル”。その定義にはいろいろありますが、一説には、夫婦ともに高収入の新富裕層のことで「それぞれの年収が700万円以上、世帯年収1,400万円以上」ともいわれています。
一人で“年収1,400万円”を実現するのは難しくても、夫婦の収入の合計となれば達成できるかも!?という訳で、「共働き夫婦ってどのくらい貯金しているの?」「稼ぎが多くなるぶん、使いすぎたりしないのかな…」など、いろいろ知りたい人も多いはず。
そこで今回は、20~70代の男女110人へのアンケート調査を基に、共働き夫婦のお財布事情に迫ります。
共働き夫婦ってホントにお金を持っているの?
世帯年収は共働きの方が多い! 貯蓄額は?
民間の事業所に勤める給与所得者の平均給与は432万円(2017年分 国税庁調査)、男性は532万円といわれています。この平均年収を目安に、アンケート調査では年収500万円以下の世帯がどのくらいあるのかを見ると、共働きが27.3%に対して、片働きは50.0%というように、ダブルインカムかどうかで大きな差がありました。また、1,500万円以上の世帯は、共働きは9.1%、片働きなら1.5%という結果に。高収入世帯を目指すには夫婦それぞれが収入を得ることが近道といえそうです。
そんな共働き世帯なら、「貯金もしっかりあるのでは?」と思い、貯蓄額についても聞いてみました。確かに、貯蓄額が1,000万円以上あるリッチな世帯は、共働きの方が6ポイント多くなっています。一方で、貯蓄額が500万円を下回る世帯は共働き・片働きに関わらず約半数と、さほど変わらず、ダブルインカムだからといって十分な蓄えがあるわけではない現実が垣間見えてきました。
そもそも、お互いの貯蓄額を知っている?
共働きの回答者に、相手のお財布事情を知っているのかを尋ねたところ、収入額と貯蓄額の両方を把握している人は約半数にとどまりました。収入額だけは知っている人が約2割、収入額も貯蓄額も知らない人はなんと3割も!
夫婦といえども、収入額や貯蓄額はお互いに踏み込めない聖域なのかもしれません。また、夫婦のお財布が別々の場合は「相手が貯めてくれているはず!」と思って、ついついお金を使ってしまったり、共働きだからこそ出費がかさんだりすることも多いのだとか。これはますます共働き夫婦のお金の使い方がどうなっているのか気になりますね。
共働き夫婦のお金の使い道を調査!
忙しい共働き夫婦は、家事をお金で解決!?
掃除や買い物、料理などの家事を代行サービスに頼んだことがあるか聞いたところ、共働き・片働きのどちらも利用者は約半数と変わりませんでした。
次に、家事が楽になる家電(時短家電)の利用状況についても聞きました。
どちらも8割弱の人が利用しており、特に共働きの方が複数の時短家電を活用していることがわかりました。片働きに比べて共働きの方が活用している比率の高い家電は、ロボット掃除機、調理家電、食器洗浄乾燥機でした。日々の家事に代行サービスを利用するほどではないけれど、時短家電にはお金をかけて、少しでも家事の負担を軽減できるように効率化を図っていると考えられます。
“共働きだと出費がかさむ!”と思うのはどんなこと?
次に、共働きだからこそ増えてしまう出費について尋ねると、最も多かったのは「総菜や外食の利用が増える」56.8%でした。食費は毎日のことなので、積み重なると結構大きな出費になるといえそうです。
ほかには、「(留守番のごほうび代わりに)子どもについつい高額なものを買ってしまう」「託児代わりの習い事が増える」といった、子育て世代ならではの出費も見られました。具体的には、水泳やピアノ、そろばんなどの習い事をさせているという声があり、託児代わりに習い事を増やすと教育費がかさんでしまう可能性がありますね。
自分への“ご褒美”のハードルが低くなりがち!?
仕事をしているかどうかにかかわらず、何かをがんばってきて一区切りがついた時は、自分へのご褒美に食事や買い物をしたくなることがあるもの。働いていれば自由に使えるお金もあるし、なおのこと、と考える人も多いでしょう。ところが、「ご褒美はしていない」と答えた人の割合は、共働きも片働きもほぼ変わりませんでした。
ご褒美の内容をみると、片働き世帯は「おいしいものを食べる」人が多く、共働き世帯は「趣味を楽しむ」「エステやマッサージに行く」といった日頃の疲れを癒すことや、自分への投資にお金をかけているようです。
ご褒美の1回当たりの予算は共働きの方が高い傾向があり、3万円以上かける人は片働きでは4.2%なのに対して、共働きでは16.1%も! 「趣味を楽しむ」「エステ・マッサージに行く」といった費用が高額になりやすいご褒美が多いためと考えられます。一方で、5,000円以下という人の割合は、片働き世帯とあまり変わらず、ご褒美については“堅実派”という人も多いようです。
共働きは“稼いでいる”と錯覚しがち!?
ここまで、共働き夫婦のお金の使い方について見てきましたが、共働き夫婦の金銭感覚や仕事観も気になります。そこで、「稼いでいる」という実感があるかどうかを聞いたところ、共働き世帯の約25%。は「稼いでいる」と感じていました。「お互いに自由にお金を使える」「貯蓄ができる」という点で実感があるようです。
ただ、残りの75%は「稼いでいる」とは実感できていない状況も見えました。「稼いでいない」と感じている人からは、「共働きは思っていた以上に出費が多く、貯蓄があまりできない」「保育園や学童保育の費用がかかる」「収入が増えると税金が高くなる」「子どもの学費で苦しい日々が続いている」といった声があり、出費がかさんで思うように貯蓄できない現実があるようです。
そこで、共働きを続けている理由についても調べてみました。
最も多かった理由は「生活費」59.1%、次に「仕事のやりがい・充実感」40.9%という結果でした。日々の生活費ではなく、老後の資金や住宅ローン、教育ローンなど長期的な費用のために働いている人も多いことがわかりました。仕事を通して得られる充実感やキャリアも大切な要素ですが、毎日の暮らしや将来のために、夫婦で堅実に働いている様子が見えてきましたね。
まとめ
今回のアンケート調査では、共働き夫婦ならではのお財布事情を見てきました。ドラマに登場するような、新商品をいち早くキャッチして購買意欲が高く、リッチな旅行を楽しむパワーカップルはごく一部。実際には、ほとんどの共働き夫婦は堅実な生活を送っているようです。
【アンケート実施概要】
アンケートサイトinfoQ(GMOリサーチ運営)にて2019年5月22日~27日に実施。
回答数:110人(20代~70代、男性72人・女性38人)