マンションを購入したいと思っていても、価格が高くてなかなか手が出ないという人は多いのではないでしょうか。しかし、購入価格を抑えるための対策を行えば、マンションの購入は十分可能です。この記事では、マンションの価格が高騰している理由や、高額なマンションの特徴、価格を考慮したマンション購入のポイントについて紹介します。
新築マンションは価格が高騰している?
2019年4月時点では、首都圏を中心に新築マンションの価格が高騰しています。不動産経済研究所の「2019年2月度 首都圏のマンション市場動向」によると、この3年間で800万円ほど価格が上昇しているのです。新築マンションの価格がこれほどまでに高騰している原因としては、建築費用の高騰や地価の上昇による影響が考えられます。
2011年に起こった東日本大震災の復興需要や2020年の東京オリンピックに向けての各施設の建築などのため、建築業界では人手不足が発生しています。加えて建築材料の価格も高騰し、これまでに比べて建築費用が高くなっているのです。また、地価が上昇している原因も東京オリンピックが関係しています。インフラやオリンピック用の施設の整備により土地が減少していることに加え、競技会場近くは宿泊業や商業に有利、交通網も整うので住みやすさも向上します。これらの原因により、都心を中心に地価も高騰している状況です。
これだけ新築マンションの価格が高騰しているため、不動産経済研究所のマンション市場調査によれば2019年4月時点における首都圏の新築マンションの販売戸数は、バブルが崩壊した1992年以来の低い水準になっています。それに対して好調なのが中古マンションです。東日本不動産流通機構は、中古マンションの成約件数は2019年1月・2月・3月と3カ月連続で前年同月を上回っていると報告しています。
上層階の価格が高いのはなぜ?
マンションには、階層によって価格が異なるという特徴があります。一般的には、同じ広さの部屋でも上の階のほうが価格は高くなる傾向です。上層階は遮るものが少なく眺望に優れているため、人気が高いことがその大きな理由です。建物の影になりにくいので日当たりも確保しやすいでしょう。また、周囲からの視線を気にしなくても済むことや、車の音や人の話し声が気になりにくいというメリットもあります。特に最上階であれば、上の階の住人がいないので足音や物音がなく、ほかの階の部屋に比べて静かです。また、上層階に上がってくる人は限られているため、セキュリティ面でも安心できます。
階層による価格の差が特に大きいのが都市部です。ビルやマンションが多く建ち並ぶ都市部では、下層階だと隣の建物の影になってしまったり、建物同士の距離が近かったりして、日当たりや通気性の確保が難しい場合があります。そのため、都市部のほうが階層による価格の差が大きくなりがちなのです。
新築マンションに住むメリット・デメリット
マンションの購入時に悩むのが、新築を選ぶか中古を選ぶかということです。この2つの違いは値段だけではなく、それぞれメリットとデメリットがあります。まずは、新築マンションのメリットとデメリットです。
新築マンションのメリットとしては、なによりも新しい家に住めるプレミアム感が挙げられるでしょう。クリーニングされていても、中古マンションでは前の人が住んでいた形跡が感じられてしまうものです。完成したばかりのきれいな部屋で暮らせるというのは、新築マンション最大のメリットです。
また、10年間は補修などのサービスを受けられること、防火・防災・耐久性などの点において、最新の基準に沿って家が建てられているので、安全性や快適性が高いことなどもメリットです。
一方のデメリットとしては、未使用の状態のため、管理状態の確認ができないことが挙げられます。また、未完成で販売されている場合、日当たりや眺望の確認ができません。
さらに、未完成のマンションを購入するときには、引き渡しまでに長い時間がかかる場合があり、それがデメリットになる可能性があります。なぜ時間がかかる点に注意が必要なのかというと、住宅ローンの金利は申し込み時に確定するわけではないからです。
新築マンションの場合、早ければ着工直後から販売が始まります。しかし、金利は引き渡し前に行われる住宅ローン融資日のものが適用されます。申し込みから融資日までの期間が長く、そのあいだに金利が上昇していた場合、予定していた金額を借りられなくなることがあるのです。
すでに売主が退去した中古マンションや、完成済みの新築マンションではこれらの心配はありません。売主が居住している中古マンションの場合でも金利が変わる可能性はありますが、一般的に中古マンションの引き渡し期間は3カ月以内となっています。引き渡しまでの期間が長いほど金利が上がるリスクが高くなるので、未完成の新築マンションを購入する際にはより注意が必要です。もちろん、必ず金利が変化すると決まっているわけではありませんが、可能性の1つとして覚えておきましょう。
中古マンションに住むメリット・デメリット
中古マンションにも、メリットとデメリットがあります。中古マンションの大きなメリットは、内見で実際の状態を確認できることです。エントランスや廊下がきれいに掃除されているか、蛍光灯が切れたままになっていないかなど、内見時に管理状態の確認ができます。また、新築物件よりも安く購入できることもメリットです。
一方のデメリットとしては、中古マンションにはアフターサービスがないことや、汚れや傷があることです。内見時に気づかなかった傷や汚れを後から見つけた場合、売主を責めたくなることもあるでしょう。確かに売主には瑕疵担保責任というものがあり、物件に隠れた瑕疵があった場合は売主が責任を負わなくてはならないと決められています。しかしこれは雨漏りなどが対象で、部屋の汚れや傷、経年劣化による付帯設備の故障は「隠れた瑕疵」とは言えず、瑕疵担保責任の対象外になります。
購入時にこれらに気づかなかったからといって売主に損害賠償を請求することはできません。完成したばかりで劣化や傷などがほとんどない新築マンションとは違い、中古マンションの購入時は内覧でしっかり部屋の状態をチェックするようにしましょう。
住宅の購入価格を抑えるための対策
価格が高騰している新築マンション。購入価格を抑えたいなら、低層階のマンションを検討してみてはいかがでしょうか。日当たりや風通し、騒音の面ではデメリットの多い低層階ですが、エントランスに近いことから外出しやすい、大荷物を持っていても行き来しやすいというメリットもあります。また、1階であれば階下になるフロアがないので足音に気を使わずにすみます。小さな子どもがいる家族でも安心です。通勤時間帯でもエレベーターを待つ必要がありません。
このほか、新築ではなく中古マンションを検討するのも購入価格を抑えるために有効です。中古であってもきちんと管理されていれば、新築に引けをとらないきれいなマンションはあります。金銭面に不安のある人は中古マンションも含めて幅広く検討してみましょう。
どうしても新築・築浅にこだわりたいなら、マンションではなく、より安い一戸建てを検討するという方法もあります。さらに、新築時の価格だけではなく、その後の価格を比べてみてもマンションと一戸建てには違いが見られます。マンションの価格は築年数が経過するにつれて急激に低下し、築21~25年になると新築時の3分の1近い価格になります。それに比べて一戸建ては、価格の下がり方が緩やかで、築21~25年経っても新築時の7割ほどの価格です。
高いからといって諦めるのは早い!
新築マンションの価格が高いのは事実です。しかし、低層階を選べば価格を抑えることができるので、新築に手が届く可能性があります。また、費用がかさまないように不要なオプションを付けない、土地が安い少し郊外のマンションを探すなどの対策を行えば、さらに価格を抑えることができるでしょう。場合によっては、不要な家具を処分してコンパクトな暮らしにしたり、働き方を変えたりと、生活自体を見直すことも必要になります。どうしても新築マンションが欲しいが価格が高いと感じる人は、これらの対策を実践してみてはいかがでしょうか。
(最終更新日:2019.10.05)