大規模停電でも安心、”家庭用蓄電池”の価格・メリット・補助金について

災害の多い日本。いざという時のために非常食や水を備蓄している人も多いと思います。しかし、それだけでは不十分かもしれません。例えば電気はどうでしょうか。乾電池の買い置きはできても、電気そのものは蓄えていないし、そもそもできないと思っていませんか。実はできるのです、蓄電池さえ使えば。蓄電池は一般家庭向けのものも増えましたが、どれほど普及しているのでしょうか。その現状をレポートします。

2018年に北海道胆振東部地震で起きた国内初の大規模停電「ブラックアウト」が発生したのは記憶に新しいと思います。我々日本人は耐震に対する意識は高いですが、インフラ対策、中でも電気に対する問題意識は低いと、さまざまな調査機関により指摘されています。2019年6月の政府発表によると、近年の災害被災地である北海道、東京、大阪、岡山、広島、愛媛の6都道府県に所在する企業計1,322社を対象に調査を実施。回答した576社のうち、近隣企業などと連携して対策を実施していたり、協力体制をつくったりしている企業は55社。ほとんどの企業でブラックアウト対策が行われていないことが分かりました。もちろん企業だけでなく、我々一般家庭でも、対策は必要です。そこで活躍するのが家庭用蓄電池です。

家庭用蓄電池とは

家庭用蓄電池とは、その名の通り、発電や買電した電気を蓄えることができる一般家庭用システムのこと。蓄えておけば好きな時に必要な分だけ、繰り返し使えることから、「二次電池」とも呼ばれます。これまでは工場や商業施設などで、業務用・産業用として導入されてきました。ただし高価でサイズも大型なものがほとんどでした。しかし近年、小型化や低価格化が進み、リチウムイオン電池の技術が進化してきたことにより、一般家庭でも使用可能な性能、大きさの商品が実用化され、徐々に普及し始めています。

パナソニック 太陽光発電と連携する『【住宅用】創蓄連携システム「パワーステーションS」』希望小売価格1,690,000円(税抜・工事費別)

写真左:「リチウムイオン蓄電池ユニット(5.6kWh)」屋内設置に適したコンパクトサイズ。外形寸法(W480mm×H610mm×D230mm)
写真中央:「パワーステーションS(5.5kW)」太陽光で創った電気や蓄えた電気を家庭用に変える変換機
外形寸法(W549mm×H776mm×D195mm)
写真右:設置イメージ 壁掛け型のため、基礎工事が必要なく短時間での設置が可能

家庭用蓄電池の利点

家庭用蓄電池を導入するメリットの1つは、「節電効果」です。特に太陽光発電と組み合わせた時に蓄電池は力を発揮します。通常、太陽光発電システムでは、昼間に発電し、夜間は電気をつくり出せません。したがって、夜は太陽光発電システムでつくり出した電気を使うことはできません。しかし、蓄電池と組み合わせれば、昼間に発電して蓄えておいた電気を、夜間にも使うことができます。昼間在宅しておらず、あまり電気を使用しないという家庭には、まさにうってつけのシステムなのです。

蓄電システムの仕組みと蓄電方法

蓄電池が普及してきたもう1つの理由は、停電時の電源として使用できることです。災害によって電力会社からの給電が止まった時でも、蓄電池に貯まっている電力の活用で最低限のライフラインを確保することができます。情報収集するためには、テレビやラジオ等が必要ですし、もちろん携帯電話やスマートフォンの充電をすることが可能で連絡手段の確保もできます。また、照明を点けたり、温かい食事を用意することも可能なので、災害時でもかなりの安心感が得られます。

家庭用蓄電池の価格と補助金

これまで説明した通り、あると便利で災害時も安心な家庭用蓄電池。しかし、価格は数十万円から、家庭の電気をある程度賄える容量を備えた定置型の蓄電池では100万円以上するものがほとんどです。技術開発が進み低価格の製品が発表され始めていますが、現状ではまだまだ高額なのは事実です。

各家庭に蓄電池を設置することで、電力の供給源を分散し、災害時に各家庭の電源を確保できる環境を構築することを目的として自治体から補助金が出ることをご存じでしょうか。例えば東京都、2016年より2020年が締め切りの蓄電池の補助金をスタートさせました。もともとの補助金は1kWhあたり4万円(上限24万円)でしたが、2019年4月1日より予算を40億円に増額。補助金額に反映させ、1kWhあたり10万円(上限60万円)とし、なんと2.5倍になりました。実際、都の窓口である東京都地球温暖化防止活動推進センターに問い合せてみましたが、現在申請が殺到していて、今の段階では予算残額は答えられないとのことでしたので、決断は早めの方がいいのかもしれませんね。

補助金制度は、自治体ごとに異なり、適用するためにはさまざまな条件があります。場合によっては制度がない、または交付期間が終了していることもあるので、詳しくは各地方自治体の窓口に問い合わせて確認する必要があります。

家庭用蓄電池の設置費用は高額ですし、導入している家庭もまだまだ少ないのが現状です。しかし、今回の取材で分かったことは、賢く補助金を利用すればある程度の減額は期待できますし、今後需要が増すにつれて価格が下がっていくことも予想されます。電気を備蓄して、災害時の対策ができるなど、メリットが盛りだくさんの家庭用蓄電池、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(最終更新日:2019.10.23)
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