50代と言えば、子育ての目途がつき、収入も安定して家計にゆとりが出てくる時期。「住宅ローンを組むなら今がラストチャンス!」と考えている人も「老後に向けて、準備を始めなければ」と感じている人もいるでしょう。 国土交通省が発表した「平成30年度住宅市場動向調査」によると、初めて住宅を購入した世帯主は、物件種別を問わず30代が中心。一方、2回以上住宅を購入した世帯主は、60歳以上が多く、建売住宅に関しては40代が多いという結果が出ています。50代の住宅購入者は、どのような家を、どんな目的で購入しているのでしょうか。50代の住宅購入事情をまとめました。 参照:「平成30年度住宅市場動向調査」https://www.mlit.go.jp/common/001287761.pdf
先々を見据えてマイホームを買い替え
若い頃にマイホームを購入。快適に暮らしてきたものの、時間の経過とともにライフスタイルや環境が変わり、思い描いていた生活の継続が難しくなってしまうケースもあります。そうした状況下、住み替えによって住環境をととのえた人たちがいます。
5匹の愛犬とともに暮らすために買い替え
築浅の分譲マンションにお住まいだったIさんは、愛犬が子どもを生み、犬5匹の大所帯となりました。鳴き声などの問題により、マンションで暮らし続けることは限界に。ローンの残債と同額程度で売却し、50代前半で建売住宅に買い替えることに。畑や駐車場に面し、周囲に迷惑をかけずに暮らせそうな環境が決め手となりました。
貯蓄が少なかったことや収入が不安定な職業、50代という年齢から、住宅ローン審査は難航したそうですが、最終的には頭金0円で借り入れ。現在は愛犬との暮らしを満喫しているそうです。
・参照元「分譲マンションを売却し、5匹の愛犬のために建売を購入したIさん」:住宅購入者ストーリー
より良い住環境を求めて買い替え
JR大崎駅から徒歩圏内のマンションを購入し、17年近く暮らし続けたKさん。当初は快適に過ごしていたそうですが、周辺の再開発事業が進むにつれて景観が損なわれ、アサヒが遮られてしまったそう。また、近年は住宅ローン金利が低い傾向にあることから、今のうちにマンションを買い替えたいと考えました。50代後半で購入したのは、渋谷・松濤エリアの中古マンション。角部屋で日当たりが良く、内装も設備も自分好みにリフォームして、理想の空間が完成しました。
・ 参照元「渋谷区の中古マンションに買い替え。静かな住環境と眺望を手に入れたKさん」:住宅購入者ストーリー
慣れ親しんだ住まいを買い取り
賃貸住宅で不自由なく暮らし続けてきたものの「生涯、賃貸暮らしでいいの?」と自問自答している人は少なくありません。「住宅ローンの返済を考えると、50代がラストチャンス」と考える人も多いようです。住み慣れた賃貸住宅を買い取ることで、より快適な暮らしを手に入れた人たちがいます。
分譲マンションを買い取ってリノベ
お子様の独立を機に、お住まいの分譲賃貸マンションを買い取ったSさん。購入した背景には「女性の一人暮らしでこれから歳を取れば、今後は賃貸物件を貸してもらえないかもしれない」という想いがあったそうです。お一人で快適に暮らせるように、大手ハウスメーカーでリフォームを実施。3DKから2LDKに間取りを変更し、設備も一新しました。同じ家ですが、リフォームによりさらに居心地の良い空間となり、家事効率も向上。ストレスのない暮らしを送っているそうです。
・ 参照元「長年暮らしてきた分譲賃貸を購入~リノベ。自分好みの住まいに一新した大田区Sさん」:住宅購入者ストーリー
9年間暮らした貸家を買い取り、より快適な暮らしに
不動産業に従事しているKさんは、仕事で懇意にしている大家さんから築5年の注文住宅を借りることに。敷金ゼロ、手頃な家賃で借りていたそうです。当初、大家さんからは「今後買い取って貰えるなら、これまで支払って貰った家賃を引いた額で譲ります」と言われていたとのこと。9年の時が経って購入を打診されたとき、ペットを飼いたいと考えていたこともあり、買い取りを決意。当時の言葉通りに割安で譲ってもらうことができたそうです。現在は猫を飼ったり、オール電化にしたり、太陽光パネルを搭載したり、マイホームだからできる暮らしを満喫しています。
・参照元「住み慣れた貸家を買取り。子育ても愛猫との生活も楽しむKさん」:住宅購入者ストーリー
セカンドライフに向けて、夢の住まいを実現
子育てや仕事が一段落し、第2の人生を考え始めたタイミング。これまで漠然と描いていた夢を「実現するなら今しかない!」と感じる人もいるようです。
「洋館に住みたい」という夢を実現
長年、県営住宅で暮らしてきたMさんは、子育てを終えてセカンドライフを考えたとき、以前から憧れていたという洋館で暮らすという夢の実現に向けて動き出しました。情報収集をする中、ヨーロッパの古城を思わせる住まいを提案するハウスメーカーの実例に一目惚れしたMさんですが、当時は個人事業主だったため、収入が不安定で住宅ローン審査に不安があったそう。そこで、マイホームを購入するために転職を決意。正社員となって働き、2年半かけて頭金も貯めて、夢の洋館を建てました。54歳にして、夢の洋館暮らしを実現。現在は自身の給料に加え、息子さんたちにも収入に応じた「家賃」を払ってもらい、住宅ローンを返済中。今後は繰り上げ返済も予定しているそうです。
・参照元「桜色の洋館を建設し、セカンドライフを満喫中のMさん」:住宅購入者ストーリー
「湘南で戸建て暮らし」の夢が現実に
仕事の都合で暮らしていた宮崎県から、長年暮らしていた湘南エリアに戻って家を建てる決心をしたIさん。仮住まいをしながら土地を探し、工務店に依頼してこだわりの注文住宅を建てました。室内はできるだけ自然素材を使用し、風通しにも配慮。屋外にはゆったりとしたデッキを設け、庭を見ながら食事を楽しめるように。これが4軒目の住宅購入だそうですが、50歳にして長年の夢を実現させました。
・参照元「湘南エリアに念願の新築戸建てを購入。日々の暮らしを満喫するIさん」:住宅購入者ストーリー
リタイア後を見据えて、趣味を満喫できる家づくり
「定年後は趣味を生きがいに暮らしたい」と夢見ている人は、多いのではないでしょうか。定年までのカウントダウンが始まる50代、趣味に合わせた家づくりをするには絶好な時期かもしれません。
転勤で官舎や賃貸物件を転々としてきたKさん。定年まであと数年というタイミングで、腰を据えて暮らせる場所を考えるようになったそうです。趣味で約40台のバイクと2台の自動車を所有するKさんにとって、それらとともに暮らす毎日は念願でした。建築家に依頼し、全てのバイクが収まる広大なガレージを備えた夢の住まいを完成。心置きなくバイクを眺め、メンテナンスができるようになりました。
・ 参照元「兵庫県で建築家と家づくり。40台のバイクに囲まれた暮らしを実現したKさん」:住宅購入者ストーリー
二世帯住宅を建てて、子世帯と同居
お子様が独立し、「老後は夫婦でどのように暮らそうか」と考えを巡らせ始める50代。そんな時、お子様から同居の誘いを受けるかもしれません。もし、そんな時に自宅の老朽化が進んでいたら、これを機に二世帯住宅へ建て替えるという選択も、アリかもしれません。
ご自宅の老朽化が進み、建て替えるか、リフォームをするか迷っていたというYさん。そんな時、近隣で暮らす息子さん夫婦が同居を申し出たことから、二世帯住宅への建て替えが決まりました。55歳の時に、1階が親世帯、2階が子世帯の二世帯住宅を新築。現在はフロアごとに各々の生活を送りつつ、平日は1階のダイニングで二世帯がそろって食事をするなど、良好な関係を築いているそうです。
・参照元「こだわりの二世帯住宅。笑顔があふれる至福の住まいを手に入れたYさん」:住宅購入者ストーリー
まとめ
20~30代で住宅を購入した人と比べて、50代の住宅購入は収入が安定しているため。頭金を貯めやすいなどのメリットがあります。その反面、リタイア前に住宅ローンを完済するのは大変です。リタイア後のマネープランも考えたうえで住宅を購入しなければ、住宅ローン返済が難しくなってしまうかもしれません。50代の家探しについては、過去記事「50代で家を買う際の住宅ローン選びと資金計画」も参考にしながら、公開の無い選択をしてくださいね。
(最終更新日:2019.10.05)