住宅の購入は人生のなかでもとくに大きな買い物です。多額のお金がかかる住宅購入は、何度も経験するものではありません。そのため、実際にどのようなお金が必要となるのかわからず不安に思う人もいることでしょう。マンションの購入を検討しているのであれば、マンションの物件価格だけではなく、初期費用としてどんなお金がかかるかについてもきちんと知っておくことが大切です。そこで、マンション購入時に必要な資金と初期費用について詳しく紹介します。
マンションの購入時に準備すべきお金
いくらのマンションを購入するかによりますが、一般的にマンション購入には数千万のお金が必要となります。その場合、全額を現金で用意できれば問題ありませんが、足りない場合は住宅ローンで賄うのが一般的です。
とはいえ必要なお金をすべて借りられるとは限らず、また後々返済しなければならないことも考えると、マンション購入前にある程度のお金を準備しておくことは大切です。そのなかでも大きなものに頭金というものがあります。頭金とはマンション購入代金の内、住宅ローンで借りずに自分で用意するお金のことです。
手持ちのお金が減ることを嫌がり住宅ローンでなるべく資金調達したがる人もいますが、それは少々考えものです。というのも、住宅ローンはいわゆる借金です。金利も支払わなければなりません。住宅ローンに頼りすぎると毎月の返済額が重くなるうえに、トータルで支払うお金も増えてしまいます。したがって頭金は最低でも物件価格の1割、できれば2割は用意したいものです。余裕がある人は3、4割準備できれば、かなりゆとりをもって返済できます。
他にも、マンションを購入するには初期費用が必要となります。初期費用には不動産の仲介手数料、売買契約時と住宅ローン借入時に必要な印紙代、登記時に必要な登録免許税と司法書士の手数料、金融機関からローンを借りるときの事務手数料、ローン保証料などがかかってきます。また中古マンションを購入する場合には、その年の未経過分の「固定資産税・都市計画税」の支払いも必要です。
一般的にこれらの初期費用は、購入するマンション価格の3-5%程度が相場です。したがって、頭金と合わせて購入マンションの15%-25%の資金を準備しておく必要があります。
引っ越しの費用や新居に合った家具の購入なども考える場合は、その費用もさらに予算に入れておくとよいでしょう。
マンション購入後に必要なお金
マンション購入後に必要なお金もあります。
まず住宅ローンを借りてマンションを購入した場合、その返済を毎月しなければなりません。前述のとおり、頭金を差し引いた住宅ローンの借入額を「何年かけて返済するか」、「何%の金利で借りられるか」によって毎月の返済額が決まってきます。したがってその返済額が購入前の住宅費用と比較して乖離していないか確認し、無理のない返済計画を立てておく必要があります。
よくいわれる話ですが、「いくら借りられるか」ではなく「いくら返せるか」が住宅ローンの返済で困らないようにするための非常に重要なポイントです。長期で分割返済できる住宅ローンは便利なサービスですが、その分返済の責任を長く背負わなければいけなくなることを忘れてはいけません。金融機関によって商品の詳細内容は異なるものの、一般的には20~35年の返済期間を設定するケースが大半です。一度住宅ローンの契約を結んだら、最長35年先まで毎月返済し続けなければいけません。そのためローンの借入額は、月々の家計を見て将来も無理なく返済できる条件で設定をすることが重要なのです。
その他にマンションを購入した後で意外と大きな支出となるのが、「不動産取得税」の支払いです。不動産取得税とは土地や建物を買ったときにかかる地方税で、「課税標準額×税率」で計算されます。課税標準額は実際に売買した時価ではなく、原則として固定資産税評価額が使われます。土地の場合は時価の7割程度、建物の場合は5~6割程度が目安とされています。税率は原則4%ですが、土地と住宅については2021年3月31日の取得までは3%に引き下げられています。また宅地や宅地と同じ扱いを受ける土地については、2021年3月31日まで評価額の2分の1が課税標準額となっています。不動産取得税は契約時ではなくあとから納付書が送られてくるため、この資金もしっかりと準備しておくことが必要です。
またマンションを購入した人は、必ずマンション管理組合に加入しなければなりません。戸建てと違いマンションは一つの建物を多くの人たちと共有するため、敷地内や共用部分などの設備管理や清掃などが必要となります。そのために必要となるのが管理費です。通常はマンション管理組合が管理会社と契約をし、その費用を支払っています。各マンションの区分所有者は、その専有面積に応じて管理費を支払う必要があります。毎月だいたい1~2万円のケースが多いですが、高級マンションや専有面積の広いマンションほど管理費は高くなる傾向があります。
さらに、マンションでは維持費として修繕積立金の支払いを求められます。こちらも管理費同様、マンションの区分所有者がその専有面積に応じて月々5,000円~2万円程度を積み立てることで、将来大規模な修繕が必要となったときに備えます。築年数が古いと修繕が必要な箇所が増えていくため、修繕積立金の金額も高くなる傾向があります。また積立金額が少ない場合には、修繕時に積立金とは別に一時金の支払いを求められるケースもあります。したがって、修繕積立金が相場より少ない場合は要注意といえます。場合によっては購入してからすぐに修繕一時金を求められることもあるので、とくに中古でマンションを購入する場合は、必ず修繕積立金の残高と大規模修繕履歴は確認するようにしましょう。
初期費用を安く抑える方法は?
もともと高い物件価格にくわえてさまざまなお金が必要となるマンションの購入では、初期費用をできる限り抑えたいと誰しもが願うことでしょう。そこで初期費用を抑えることができる方法をいくつかご紹介しましょう。
まず1つ目は住宅ローンの保証料です。ローン保証料はローンの支払いができなくなったときのために保険会社に支払うものですが、借入金額が少なく保証を受ける期間が短いほど安くなります。そのため、できるだけ頭金を多く用意して借入額を少なくしたり、返済期間を短くしたりすることが安く抑えるためのポイントとなります。また、そもそも借入額を少なくすれば利息も抑えることができるため、総合的に見ても検討したい節約ポイントです。
2つ目は火災保険料を工夫する方法です。火災保険料は補償する範囲によって異なってきます。すべての災害に対応した保険に加入しておけば安心ですが、マンションの環境によってはあまり必要のない補償が含まれていることもあります。たとえば高台に建つマンションや高層階に住む場合は水災に遭う可能性は低くなります。そのようなケースでは水災の補償を外すといったことも考えてもよいかもしれません。保険会社から勧められるまま加入するのではなく、オーダーメイドタイプの保険を検討して自分で補償内容を設定すれば、長期的に節約することも可能となります。
3つ目は仲介手数料を安くする方法です。仲介手数料の金額は上限価格が定められていますが、下限価格に決まりはありません。不動産会社によって安く設定していたり、なかには無料にしていたりするところもあります。ただし、仲介手数料が無料だからといって必ずしもお得とは限りませんので注意も必要です。自社物件の場合、仲介手数料を取らないぶん、物件の販売価格を高くしている可能性もないとは言えないからです。したがって手数料の高低というよりは、まずは本当に自分のためによい物件を探してくれる不動産会社かどうかを見きわめて依頼することが先決です。そのうえで「いくらか値引きは可能でしょうか?」と聞くくらいがよいでしょう。
頭金・初期費用などを把握したうえでマンションを購入しよう!
マンションの購入で失敗しないようにするためには、しっかりとした資金計画を立てておくことが重要です。マンション購入は一生に何度もない高額の買い物です。購入総額と共に頭金、そして初期費用や購入後の費用もしっかりと把握したうえで契約しましょう。
たとえ気に入ったマンションを無事に購入することができても、ぎりぎりの予算だとその後の生活に影響を与えることになります。安心して快適な新生活を送るためにも、購入時の必要資金と購入後に必要となるお金もきちんと把握してから購入を決めるようにしましょう。
(最終更新日:2019.10.05)