家庭菜園初心者が最初に悩むのが「プランター」。さまざまな種類や大きさのプランターがあり、どれを買えばいいのか迷ってしまうもの。しかし、野菜選びと同じくらい、プランターは重要なんです。そこで、家庭菜園用のプランター選びのコツを解説します。
プランターの違いとは?
まずは、プランターの種類や特徴についてどんなものがあるのか確認していきましょう。
1.容量や形状
鉢は「8号」「12号」など、大きさを「号」という単位で表します。プランターの場合は、横幅の長さが容量の目安。家庭菜園で用いられる一般的なサイズは「横幅20~40cm」「横幅60~65cm」「横幅80cm以上」「横幅・深さ35cm以上」の4種類。横幅によって育てるのに最適な植物が変わってきます。
・横幅20~40cm(小型): 土量は6~10ℓ。枝が長く伸びない野菜や、小さいスペースで家庭菜園を楽しみたい場合におすすめ。ラディッシュ・レタスミックス・ハーブ類を育てるのに向いています。
・横幅60~65cm(標準): 土量は12~20ℓ。種や苗を植えてから収穫までの期間が短い野菜向けのプランター。ほうれん草・コマツナなどの葉物野菜ほか、さやいんげん・シソ・ニラなどもおすすめ。
・横幅80cm以上(大型): 土量30~40ℓの大型プランターは、栽培から収穫までの期間が長い野菜や実をつける野菜向き。ナス・ピーマン・さやいんげんなどを育てたい方におすすめです。
・横幅、深さ35cm以上(深型): 深型プランターの土量は20ℓ以上。土の中で実が生長する野菜や大型野菜の栽培に適しています。また、高さのある支柱を設置する場合にもおすすめです。オクラ・ミニトマト・キュウリ・ジャガイモなどを育てたい方は、深型を選んでくださいね。
2.排水性
野菜を育てる上で大切になるのが「水やり」。プランターによって、排水性や水を長時間貯蓄する潅水(かんすい)性が異なります。こまめに水やりができない方は、できるだけ潅水機能の備わったプランターを選びましょう。湿気に弱い野菜は、排水性の優れたプランターが最適です。排水性を確認したいときはプランター底部分にある底穴の大きさや、穴のあき方をチェックしてください。
家庭菜園初心者には、スリットプランターがおすすめです。底の側面部分にスリットと呼ばれる排水穴が付けられているため、適度な排水性と生長促進効果があります。
3.素材
プランターの素材も家庭菜園の成功を左右する重要なポイント。プランターを選ぶ際は、各素材の長所と短所を把握しておきましょう。
・素焼きタイプ:「テラコッタ」とも呼ばれる素焼きタイプは、粘土を焼いて作られています。空気や水分を通しやすい長所がある一方、割れやすく移動しにくいという短所も……。しかし、通気性や排水性が優れているため、初心者でも扱いやすいプランターのひとつです。
・プラスチック:軽くて運びやすいプラスチックプランター。水やり後の根腐れには注意しましょう。また、耐久性が劣るため、翌年以降も継続して使用したい場合にはあまり向いていません。
・陶器:デザイン性の高い陶器プランター。原材料に「釉薬(ゆうやく)」と呼ばれる液体がかかっているため、排水性や通気性は非常に低いのがデメリット。また、重量があって衝撃にも弱いので、初心者にはあまりおすすめできません。
・木:通気性や排水性の高さが長所です。しかし、木製のため、プランター自体が腐ってしまう可能性も。プランターに防腐剤を塗布したくない方や、雨季の使用には向いていません。
・簡易キット(袋):袋ひとつで植物を栽培する簡易キットは、袋の中に土・肥料・種がすべてセットされています。プランターと違って手軽に使用できますが、継続利用はできないので要注意。「忙しいけど、家庭菜園の感覚を味わいたい」「本格的な家庭菜園を始める前の練習に」という方にはおすすめです。
育てる野菜別・プランターの選び方
1.ミニトマト
実が小さいため、小さなプランターでも十分に思えるミニトマト。しかし、枝や花茎が伸びると支柱を立てなければならないため、深さ35cm以上の深型プランターを用意する必要があります。
また、収穫時期が近付くと土を追加する「まし土」を行います。植え付け時よりも土が増えることを想定して、深さもあって安定性の高いプランターを選んでくださいね。
2.オクラ
ぐんぐんと背が高くなるオクラは、枝ごと倒れてしまうこともしばしば。枝が倒れてしまうと、そこから腐ってしまうことも多いので、深さ35cm以上の深型プランターを用意して倒れないように工夫しましょう。
サヤ(オクラの実)がなるまでは乾燥気味に育てますが、サヤがついてからは水やりを頻繁に行います。適度な排水機能を備えたプランターを用意してくださいね。
3.ナス
ナスは収穫時に10~13cmの実が複数なるため、大型のプランターを用意しましょう。横幅が80cm以上のタイプであれば安心。深型でなくてもよいですが、生長に応じて支柱を設置するため、支柱を挿し込める程度の深さは必要です。
また、ナスはプランターの底から溢れるほどたっぷりの水を注ぎます。根腐りを防ぐためにも、排水性の高いプランターを選びましょう。
4.バジル
上手に育てると、何度も葉をつけるバジル。長期間の収穫を楽しむためにも最適なプランターで栽培しましょう。バジルの葉はそれほど大きくないので、横幅60cm前後の標準プランターでOKです。しかし、株と株の間は最低10cmの間隔をあける必要があります。植え付けたい苗の数に応じて、プランターの大きさを計算しましょう。 また、バジルは直射日光の当たらない半日陰の場所を好みます。木や素焼きタイプの風通しの良いプランターがおすすめです。
5.レタスミックス
収穫シーズン中は何度も収穫を楽しめるレタスミックスは、生長に合わせて複数回間引きを行います。間引きによって全体量の1/4程度しか残らないため、横幅20~40cmの小型プランターで十分です。
また、レタスミックスは種から栽培するので、こまめにたっぷりの水やりが必須。通気性と排水性の高い、スリットプランターがおすすめです。
必要があれば買い足そう!家庭菜園に必要な追加アイテム
1.支柱
大きさや重みのある実をつける野菜や、つるや枝が伸びる野菜には支柱が必要になります。支柱と枝を糸で結ぶことで、生長の促進や枝折れを予防します。野菜の生長に応じたスタイルで支柱を立てていきましょう。
・1本立て:主軸となる1本の枝のみを育てるための立て方です。プランターの底までしっかりとまっすぐ差し込みましょう。ミニトマトやさやいんげんなどを育てるときに行います。
・X(エックス)立て:枝やつる自体は長くないものの、複数の実や枝を付ける野菜に使用する立て方です。支柱2本をクロスするようにX型にして紐で結びます。ナスやピーマンの栽培時に最適です。
・あんどん立て:限られたスペースで効率的につるを生長させたい場合に行います。1つの株を囲うように3~4本の支柱を等間隔に設置し、外周につるを沿わせて生長させます。キュウリやミニカボチャの栽培時に行う立て方です。
2.園芸用のハサミ
優れた枝や実のみを残す剪定(せんてい)作業時に使用するハサミは、専用の園芸ハサミを用意しましょう。工作用ハサミを使用した場合、枝の損傷に繋がる恐れがあるので注意してください。
3.ネット
病害虫や直射日光による乾燥を防ぐために使用します。色や素材も豊富なので、育てる野菜の特性に合うものを購入しましょう。
まとめ
プランター選びは意外と重要なもの。「立地の日当たりが悪い」「直射日光が長時間当たってしまう」など、少しの欠点であればプランターの機能によって解消できる場合も多いのです。育てる野菜や環境にぴったり合うプランターを選んで、初めての家庭菜園も楽しくスタートさせましょう。
(最終更新日:2019.10.05)