新築の分譲マンションはすべて完売するというわけではなく、なかには売れ残る物件もあります。こうした物件は販売会社も何とか売りたいと思うため、値引き交渉が成功する確率が高いので狙い目です。そこで今回は売れ残り新築マンションの魅力や、どのように値引き交渉をすればお得に購入できる可能性が高まるのかを紹介していきます。
新築マンションが売れ残ってしまう理由
築浅の物件が好まれる風潮があるにもかかわらず、なぜ新築マンションが売れ残るのかというと、その原因の一つに立地条件が挙げられます。マンションには間取りや設備、築年数といった建物に備わる魅力のほかに、駅や公共施設に近いかどうかなど周辺の環境の良し悪しをチェックする必要があります。新築であったとしても、ほかの条件に難があれば売れ残るのは何ら不思議ではないのです。
また、価格が高すぎるのも新築マンションが売れ残ってしまう原因です。どんなに理想的な物件であったとしても、手が出せる価格でなかった場合は買い手がつきません。
マンションの多くは基本的に利便性の高い立地に建てられることが多く、それがかえって価格を引き上げる要因になることがあります。さらに、デベロッパーの知名度が低いことでも売れ残る恐れが出ます。多少値段が高くても大手の販売会社のほうが安心できるという心理が働き、良い物件であったとしても買い手がつかないこともめずらしくないのです。このようなケースは業者の知名度に難があるだけで物件自体は問題ないこともあるので、むしろ狙い目ともいえるでしょう。
売れ残りのマンションが狙い目といわれる3つの理由
売れ残り新築マンションに警戒感を抱く人がいるかもしれませんが、実はこういったものを積極的に狙ったほうがお得だというケースが多くあります。
1、事前に近隣住人を把握できる
マンションが完成していてすでにほかの入居者が住んでいる状態であれば、事前にどのような人が住んでいるかを確認できます。マンションを購入した場合、終の住処になる可能性もあるため、事前に近隣住人を把握できるのには大きなメリットです。
2、マンションの管理状態を確認できる
完成前から購入していた場合、完成後に想像と現実のギャップに落胆することもありえます。すでに稼働しているマンションには判断材料がたくさんあることが、狙い目といわれるゆえんです。
3、住宅ローン金利が確定し、返済計画が立てやすい
さらに注目したいのが、住宅ローンの金利が確定する点です。完成にまだ1年以上かかるマンションの場合、金利が確定するのも1年以上先です。その間に金利が上昇するリスクがないとはいえません。売れ残り物件なら現在の金利が適用されるので、将来的な返済計画も立てやすいのです。
売れ残りのマンションは値引きできるのか
売れ残りマンションは、基本的に交渉次第では値引きに応じてくれるケースが少なくないでしょう。ただし、値引きされない価格で契約した入居者もいるため、大々的に値引きをうたうことはありません。そのため、購入者が自ら値引きに対して言及する必要があります。
また、建物内モデルルームや家具付き、即入居可能といった物件など通常とは違う条件が付いている場合は、お得にマンションを購入できる可能性が上がります。
加えて、売れ残りの期間が長引くほど値引きの可能性は高まります。これは、売れ残りマンションは購入者にとって心理的に新古品という感覚があり、また業者にとっては売り切りたいという心理が働くからです。
大手の分譲会社の場合は、売れ残りの物件を中小の不動産会社に販売委託することがあります。中小の業者のほうが値引き交渉に応じやすい傾向にあり、大きな値下げ幅が期待できます。
新築マンションが値引きされやすい時期
売れ残っている新築マンションが値引きされやすい時期には、ある程度の偏りがあります。
1、販売会社の決算期(主に2~3月)
この時期はマンションのセール期に当たるため、業者が積極的に値引き交渉に応じることが予想されます。ただし、3月に決算をする会社の場合、3月末に値引き交渉を行っても渋る可能性があるでしょう。購入側のローン審査手続きもあるため、2月末ぐらいまでが値引きに適した時期といえます。
2、残戸数が2~3戸になったタイミング
残戸数が少なくなったときも交渉時期には適しています。残戸数が2〜3戸であった場合、販売業者は早く完売したいと急ぎ出すことがあります。たった2〜3戸の販売ために内見やら広告やらの販売体制を残しておくと、業者にとっては不利益になるからです。そのような事情から、大きく値下げをしても構わないというビジネス上の戦術を展開するケースが散見されます。狙っているマンションがあれば、しばしばホームページやチラシを見て、残戸数がいくつかをチェックするのをおすすめします。
値引き交渉前に住宅ローンの事前審査をする
住宅ローンの事前審査が通っていることは、値引き交渉時の大きな武器になります。 販売会社としては、マンションを購入できるかどうかわからない人に対して、本腰を入れて値引きをしたいとは思わないものです。住宅ローンの審査には事前審査と本審査があり、前者はインターネットから申し込みできるところも多くあります。事前審査に通れば正式に申し込んで本審査へと進むのが普通なので、事前審査に申し込むだけなら比較的気軽に行えるでしょう。
売れ残りのマンションはメリットだらけ?
売れ残っているマンションの購入はメリットが多いものの、リスクが隠れている可能性もあるので確認しておきましょう。新築売れ残り物件のなかには、諸経費なしで販売している場合があります。これは一見してお得なようにも見えますが、諸経費には火災保険など重要なものも含まれています。どの諸経費が値引きされているのか自分の目で確かめることが大切です。
また、マンションの日当たりなどの諸条件が悪い部屋も、場合によっては値引きされることもあります。このように値引きされる売れ残りマンションには、値段のお得感から一見購入者にメリットが多いと思われることもありますが、売れ残っている事実がある以上は、何かしらのデメリットもあると考えたほうがよいでしょう。
売れ残りの理由を考慮して購入の検討を
新築マンションで売れ残っている場合は、値引きされた価格で購入できる可能性があります。ただし、マンションが売れ残るには何らかの理由があることは念頭に置いておきましょう。デベロッパーが無名というだけで売れないケースもあれば、日当たりが悪いから敬遠されるという場合もあります。前者は大変お得な物件といえそうですが、後者はこれから長期間住み続けるのにはあまり好ましくない条件とされることが多いです。
このように、売れ残っている原因をしっかり確認しないと、思わぬ落とし穴にはまってしまう恐れがあるので注意しましょう。住環境は生活の満足度に直結する重要なものです。価格だけで決めるのではなく、最終的には自分や家族が安心して日常生活を営める場所を選ぶことが何よりのポイントです。自分たちに最適なマンションを見つけて、これまで以上に楽しい毎日を送っていきましょう。