マンションは値引きできる? 交渉はタイミングと伝え方が重要!

マンション購入は高額な買い物となるため、できるだけお得な金額で購入したいものです。実際にマンションを購入する際に値引き交渉することは可能ですが、交渉の方法やタイミングには工夫が必要です。この記事では、マンションの値引き交渉をできるだけ成功させるために注意するべきポイントを解説していきます。

マンションを購入する際の値引きは可能なのか

すべてのマンションで売主が交渉に応じてくれるわけではないものの、状況次第ではマンションの購入価格を値引きしてもらえるケースがあります。値引き可能なケースとしては、まず中古マンションの場合に「近隣のほぼ同条件の物件と大幅な価格の差がある」ときが考えられます。マンションの価格は地価や周辺の取引相場と密接な関係があります。売却価格が近隣の相場からかけ離れている物件があるなら、交渉できる余地があると言えるでしょう。また、新築マンションの場合でも「売れ残っているマンション」は値引き交渉できる可能性が高まります。すでにマンションが完成しているのに、なかなか買い手がつかないと売主としては早く売ってしまいたいと売り急ぐ傾向があるからです。

一方、建物の完成前にすでに完売している人気のマンションでは、値引きする前に売れていますので、値引き交渉する機会はありません。さらに、マンションの価格は景気動向によっても左右されます。マンションの売買取引が売り手市場になっている時期だと、売主は値引き交渉に応じる可能性は下がります。まったく同じ物件でも、ある時期には値引きができたにもかかわらず、時期が違えば値引き交渉ができないということも珍しくないのです。

値引き交渉にはタイミングが重要

新築マンションや中古マンションの再販売など不動産会社が販売するマンションで値引き交渉する場合は、値引き交渉するタイミングを意識しましょう。タイミングが合わなければ、不動産会社は最初から値引き交渉に応じることはありません。しかし、タイミング次第では多少無理のある条件でも交渉に応じてもらえることがあります。

理想的なタイミングとしては、まず販売する売主である不動産会社の「決算時期」が挙げられるでしょう。ほかの企業と同じく、不動産会社もできる限り売り上げを上げておきたいため、決算前には1件でも多く契約や引き渡しをしたいという心理になります。したがって、現在交渉している相手と「早く取引をまとめたい」と考えやすいのです。もちろん売主が呑める条件であればですが、多少の値引きは受け入れてもらいやすくなります。

さらに、新築マンションなら、「マンションの販売戸数が残り少なくなったタイミング」も狙い時です。不動産会社はそれぞれマンションを完売しておきたいと考えており、ある程度の時期までに完売しないと、その会社の年間の事業スケジュールが狂ってしまいます。そこで、多少の値引きでスケジュールどおりに売却が進むならと、値引き交渉に応じてでも残りのマンションを売り切ってしまおうと判断することもあります。たとえ表立って値引きを謳っていなくても、不動産会社が残りのマンションを処分したいと考えていれば、買主のほうから値引きを持ちかけてみると、応じてくれる可能性が高いのです。

とくに、すでに建物が完成し、1年近く売れ残っている新築マンションの場合には、値引き交渉が非常にしやすくなります。なぜならマンションを「新築マンション」として販売できるのは、建物完成後1年以内だからです。完成後1年を経過してしまうと、新築という表記ができなくなってしまいます。したがって、新築であるうちに売ってしまいたいという心理が働き、多少の値引きであれば応じてもらいやすくなるのです。

値引き交渉前にローンの事前相談をしておくと有利!

買主が値引き交渉の成功率を上げるためには「ローンの事前相談」を行っておくことが効果的です。マンションの購入では、高額になるためほとんどの買主がローンを利用することになります。ローンの利用には審査があり、金融機関が定める規定より収入が少ない人や過去にローンの滞納があるなど信用の低い人は融資が認められません。逆をいえばローンが通りやすい人は、売主にとっては安心して物件を売れる相手ということになります。値引き交渉においても、すでに金融機関に相談してある程度融資の見込みが立っている人なら、売主に安心感を与え、値引き交渉においても有利に話を進めやすくなるでしょう。

売主が不動産会社である場合、買主のローン審査が通りやすいかどうかをより重要視しています。どんなに「必ずローンは支払える」といっていても、金融機関からお墨付きがなければ、不動産会社は本当に購入できる人として扱ってくれません。購入できるかわからない状態で値引き交渉をしても、「値引き交渉に応じる価値がない」と一蹴されてしまいます。事前に金融間にローンの相談をしてある程度ローンが通るという話があれば、不動産会社の営業マンに買い手の購買力をアピールできます。そして、こうした事前相談を行っている時点で「本気で購入しようとしている」との印象を与え、値引き交渉を受け入れてもらいやすくなります。

いくらまで値引きできる? 期待される値引き金額

うまくタイミングが合えば、売主は値引きに応じてくれる可能性が高くなります。ただし過大な期待は禁物です。売主もマンション売却によってある程度利益を出したいと考えていますので、極端な値引きはほぼ実現しないといっていいでしょう。値引き交渉では、物件価格の数パーセントでの話し合いとなるケースがほとんどです。たとえば、「4,080万円」が販売価格であれば、「端数の80万円を値引きしてほしい」といった風に交渉を行います。この場合、およそ2%の値引きになります。状況によっては、「3,980万円」と100万円の値引きに応じてもらえるかもしれません。この場合2.45%の値引きです。このように物件価格に対して数パーセントが価格交渉において期待される範囲になります。

例外的に、大幅な値引きが可能な物件もあります。近隣の同スペックのマンションと比べ、明らかに価格が高いときには売主に近隣のマンションを引き合いに出して交渉してみましょう。売主がこのままの状態では買い手がつかないと判断すれば、近隣のマンション価格に近い価格まで値を下げてくれることがあります。気に入った物件があるのに価格が高いと感じたなら、近隣のマンションの価格相場を調べて妥当な範囲で値引き交渉にチャレンジしてみましょう。

中古マンションの値引きはどのように?

新築マンションよりも中古マンションのほうが、値引き交渉に応じてもらいやすい傾向があるといえます。なぜなら中古マンションは個人が売主である物件が多く、売主の個人的な事情によって価格が変わりやすい物件だからです。たとえば、すでに次のマンションを購入することが決まっているような場合などは、新たな住宅の住宅ローンを借りるうえで今の住宅ローンを完済する必要があるため、多少売値が下がってもマンションを処分したいと考えています。

また、売主の買主に対する個人的な印象次第で、売値を下げてくれることもあります。新築マンションへのこだわりがないなら、中古マンションの方が価格交渉を前提にする場合には狙い目です。

ただし注意したいのは、中古マンションだからといって絶対に値引きができるというわけではない、という点です。マンション売却を急ぐ理由が特になく「いい買い手が見つかれば売ってもいい」という考えの売主なら、そもそも値引き交渉に応じません。買主が値引き交渉を当然のように持ちかけると、取引そのものが決裂する可能性も出てきます。売主の事情を考えた交渉を心がけましょう。そのためには、まず仲介として間に入る不動産会社の営業マンに、値引きの交渉ができそうな物件か相談、確認することがポイントになります。

交渉は相手があって成り立つ! 伝え方には気をつけよう

マンションの値引き交渉では、売主の気持ちも考えることが大切です。買主が売主に敬遠されてしまうと、値引きどころかそもそも購入することができません。 値引き交渉の前提として、まず「買いたい」という意思を明確に示すようにしましょう。ほかのマンションと比べているといったことは口に出してもいいですが、伝え方には気をつけましょう。たとえば、ほかの物件と比較してはいるものの、価格さえ折り合えばこの物件がいいと伝え、「値引きさえしてもらえれば必ず購入する」と売主に信じてもらえるようにしましょう。

また、その物件の悪口は言わないようにしましょう。物件の良くないところを並べて、「価格に見合う価値がない」と値引き迫るような交渉の仕方は売主を不快にさせるだけです。自分が売主の立場で自分の物件をそう言われたらどう思うでしょう。まず間違いなく売主は不愉快になりますし、「ならば買わなければいい」と一蹴され、取引自体が決裂します。「非常に気に入った物件なので、ぜひ購入したいが予算の都合で多少交渉に応じてほしい」という方向で伝えましょう。

そして、仲介業者が間に入るときには、仲介手数料についての値引き交渉は行わないようにします。仲介業者にとって、仲介手数料は大切な収入源です。それを支払ってもらえないような買主は敬遠され、「この人に物件を紹介したくない」と思われてしまう可能性があります。そもそも、値引き交渉によって物件価格が下がれば、仲介手数料もそれに応じて下がることになります。仲介業者との取引上の関係性を考えて、仲介手数料については規定のまま支払うようにしましょう。

ポイントをおさえて値引き交渉をしよう!

ここまでお伝えしたとおり、値引き交渉をするなら中古マンションのほうが有利です。ただ、新築マンションでも値引き交渉の余地がないわけではなく、タイミングと買主の交渉術にかかっています。売主の事情やタイミングなどをある程度見極めて、値引き交渉を持ちかけてみましょう。また、売主の気持ちを害さないことも大切です。売主が所有するマンションを「もっと安くして当然」といった態度で値引き交渉すると、交渉どころか取引自体を打ち切られかねません。値引き交渉では、売主の気持ちにも配慮しつつ「値引きしてくれれば必ず購入する」という意思を示すことが肝心です。

(最終更新日:2021.03.04)
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