一般的に、マンションで人気が高いのは「南向き」というイメージがあります。しかし、実際には北向きの物件しか残っていなかったり、周辺環境との兼ね合いで北向きに建てられたりしているマンションも少なくありません。北向きの物件の住み心地がどうなのか、気になる人も多いでしょう。そこで、この記事では北向きマンションのメリット・デメリットについて具体的に紹介していきます。
北向きのマンションに住むメリット
せっかく購入するマンションであれば、暖かく明るく、洗濯物も早く乾く「南向き」の物件がよいと考える人も多いでしょう。敬遠されることも多い北向きのマンションですが、実はデメリットばかりとは限りません。
メリット1:物件価格が安い
たとえば、人気が低いため「物件価格が安い」というメリットもあるのです。間取りや立地などが同じマンションの場合、南向きと北向きがあれば多くの人が南向きを選びます。このため、北向きのマンションは少しでも買い手を増やそうと、南向きのマンションと比べて物件価格を下げて勝負しようとするケースが多いのです。物件価格が安ければ、資金面に不安があってマンション購入をあきらめていた人でも購入できる可能性があります。
メリット2:南向きのマンションより涼しい
また、「南向きのマンションよりも涼しい」という点も魅力のひとつです。南向きの部屋は、窓から日光が入ってくるだけでなく、外壁にも日光が当たる時間が長いため熱がこもりがちです。特に夏場は暑くなり、エアコンの効きが悪くなることもあるでしょう。この点、北向きのマンションは日光が直接当たりにくいため、夏でも涼しく過ごしやすいのです。猛暑が年々ひどくなる現代において、これは大きなメリットではないでしょうか。
メリット3:部屋の明るさを一定に保ちやすい
さらに、「部屋の明るさを一定に保ちやすい」というメリットもあります。日光が当たりにくいということは、部屋の明るさが常に一定に保たれていることを意味するため、ストレスもかかりにくいです。曇ったり晴れたりを繰り返す天気の場合、南向きのマンションだと部屋の明るさもしょっちゅう変わるため、何度も照明をON・OFFしなければなりません。北向きなら、そういった余計な手間も避けられます。
メリット4:家具やカーテンが日焼けしにくい
このほか、「家具やカーテンが日焼けしにくい」点も大きなメリットです。直射日光が当たりやすい南向きマンションは、窓際に置いてある家具やカーテンがすぐに日焼けして色あせてしまうことも。見栄えが悪く、何度も買い替えて結局お金がかかってしまうことにもなりかねません。北向きマンションであれば日焼けの心配も少ないため、お気に入りの家具やカーテンを長く愛用できるでしょう。
北向きのマンションに住むデメリット
意外とメリットの多い北向きのマンションですが、やはりデメリットもあるので注意が必要です。
デメリット1:日当たりが良くない
まず、代表的ともいえるのが「日当たりが良くない」というデメリットです。北向きのマンションは、部屋によっては一日中ほとんど日光が当たらないこともめずしくありません。日光が当たらないと、当然ながらベランダに干した洗濯物も乾きにくくなります。朝一番に干した洗濯物が夕方になっても乾かず、ストレスをためてしまうこともあるでしょう。家族が多く1日に何度も洗濯する家庭では、梅雨の時期は特に苦労する可能性が高いので、注意が必要です。
デメリット2:照明の使用が増える
また、日光が当たらないため部屋が常に薄暗く、朝から照明を使わなければならないこともあります。照明の消耗が早まったり、電気代が高くなったりする可能性もあるでしょう。
デメリット3:湿気がこもりがち
さらに、日光によって水分が蒸発しにくいため、湿気がこもりがちという点もデメリットのひとつです。夏は涼しいのでよいのですが、暖房を使う冬になるととくに部屋の内外で寒暖差が大きくなり、窓や壁が結露してしまいます。結露が窓のパッキンやカーテンなどに付くと、湿気が高いためになかなか乾かず、カビを生やしてしまうこともあるのです。カビは空気中に胞子を飛ばすタイプもあるため、それを人間が吸い込んでしまうと健康被害が起きる恐れもあります。それを防ぐためにも、北向きマンションでは常に湿気対策に気を使わなければなりません。
北向きのマンションに向いているのはどんな人?
北向きのマンションのメリット・デメリットを理解したところで、どんな人なら北向きのマンションで快適に生活できるのかも知っておきましょう。
向いている人1:暑さが苦手な人
北向きのマンションがおすすめなのは、まず「暑さが苦手な人」です。日光が直接当たらないため室内の気温が上がりにくく、夏の暑い時期でも過ごしやすいでしょう。寒さは着こめば我慢できるけれど暑さは苦手、だけどエアコンは使いたくないという希望にも応えてくれるのが、北向きのマンションなのです。
向いている人2:仕事を自宅で行う人
また、北向きのマンションは「仕事を自宅で行う人」にもぴったりです。日光が当たりにくいため室内の照明を使うことにより、1日中安定した明るさを維持できます。自宅で仕事をする人の場合、作業に集中するためにも安定した明るさで落ち着ける環境を作ることは欠かせません。これが南向きのマンションだと、太陽の移動や天気によって室内の明るさがチラチラと変わり、集中しにくくなるでしょう。
向いている人3:インテリアにこだわりのある人
さらに、「インテリアにこだわりのある人」にもおすすめです。窓から直射日光が入らないため家具が日焼けせず、こだわりのインテリアを損なう心配もありません。
北向きのマンション選びのポイント
北向きのマンションを購入したい場合、いくつか選び方のポイントがあるので覚えておきましょう。一つ目は、気密性・断熱性の高いマンションを選ぶことです。日光が当たらない北向きのマンションは室内の温度も上がりにくいため、冬場はとくに寒くなりがちです。気密性・断熱性を高めることで、暖房などで暖まった空気を外に漏らさず、快適な空間を維持しやすくなります。ただし、気密性が高いと湿気もこもりがちになるため、24時間換気システムが備わっている物件を選ぶことが大切です。
また、マンションならではのメリットを生かすためにも、眺望のよいところを選び、近隣に影となるような建物がない場所を選ぶことも大切です。北向きのマンションは間接光を取りこむことで室内の光を確保するため、それを邪魔する背の高い建物が近くにないか確認しなければなりません。周囲に建物がある場合、その影響を受けないようにある程度高い階数の物件を選んだほうがよいでしょう。タワーマンションでは、北向き物件が好まれるケースも多くみられます。
このほか、湿気がこもりがちなデメリットを軽減するために、北向き以外にも風通しを確保できる開口部があるかという点も重要です。
北向きの部屋で快適に住むための工夫
北向きのマンションは、夏以外の季節は室内の気温が上がらず、寒い思いをしてしまうことも多いです。このため、少しでも快適に過ごすために足元を暖めるなどの工夫をするとよいでしょう。冷えは足元から伝わってくるため、ルームシューズやホットカーペットなどを使って寒さ対策をすると安心です。マンションによっては床暖房を備えているところもあるので、寒さが心配な場合は探してみましょう。
また、薄暗くなりがちな室内を明るい雰囲気にするために、鏡を複数設置したり、華やかなインテリアにするのも効果的です。鏡は光を反射するため、少ない採光でも室内の光量をアップさせることもできます。乾燥機を活用して洗濯物を早く乾かしたり、除湿器や結露対策グッズなどを使って湿気対策をしたりするのもおすすめです。
工夫次第で北向きでも快適に住める!
好みやライフスタイルなどによって向き・不向きはあるものの、北向きのマンションでも工夫次第で快適に住むことは可能です。安い・涼しい・日焼けの心配がないなど、北向きならではのメリットもあるため、最初から「北向きは良くない」と候補から外してしまうのはもったいないといえます。どうしても南向きがよいなど、方角に強いこだわりがないのであれば、北向きのマンションの購入を検討する価値は十分にあります。デメリットを把握したうえで、北向きのマンションも探してみるとよいでしょう。
(最終更新日:2019.10.05)