令和元年は10月に消費税増税も控え、住宅の新築や購入に伴う補助金制度が充実しています。しかし、「自分が購入する時に使える補助金」という目線に立つと、いったいどんな補助金が使えるのか、またもれなく使うためにはどこに相談し、どのような手続きをすればよいのか、一般の方には非常にわかりにくいものです。
そこで今回は、補助金を使うための注意点について、申請する人の目線からチェックしてみたいと思います。
まずは令和元年に利用可能な、新築住宅建築、新築住宅購入で使える補助金についてまとめておきます。次世代住宅ポイント制度、すまい給付金、地域型住宅グリーン化事業、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業、エネファーム設置補助の5つを取り上げます。
次世代住宅ポイント制度
原則として2019年4月~2020年3月に新築住宅の請負契約・着工をしたもので、消費税10%となってから引き渡しとなる人が対象です。エコ住宅や認定優良住宅、ZEHなど高性能の住宅はもちろんですが、ビルトイン食洗機や掃除しやすいトイレなど家事負担を軽減した製品を導入する場合にもポイントが付与されます。
付与されたポイントは様々な商品と交換することができます。ただし、ポイントが付与される製品はメーカーや型番まで決まっています。建築請負契約や売買契約を結ぶ前に建築事業者や不動産事業者にポイントの対象製品を使っている物件かどうかを確認しましょう。
すまい給付金
消費税が5%から8%へと増税される時に、所得が少なく住宅ローン減税を全額控除できない低所得者向けに創設されました。現在は収入の目安が510万円以下の人が対象で給付額も30万円が上限ですが、消費税増税10%で購入する人は年収775万円まで収入に応じて最大50万円の給付金を受け取れます。50歳以上で収入額の目安が650万円以下の人が住宅を購入する場合はローンを組まなくても給付金の対象となります。
地域型住宅グリーン化事業
地域の中小工務店や木材、建材業者が提供する住宅の信頼性の向上や省エネ、耐久性に優れた木造建築の普及と三世代同居の支援のために創設された補助金です。110万円プラスアルファと高額な補助金ですが、地域でグループを組んで事業に公募し採択された事業者が、一定の要件に当てはまる住宅を建てた場合とかなり限定されます。興味がある方は必ず家探しの時点で対象の事業者かどうかを確認しておきましょう。
参考:地域型住宅グリーン化事業(評価)
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)
断熱性、省エネ性のアップと太陽光発電等による創電で年間のエネルギーの収支ゼロを目指す住宅です。こちらは性能により補助金の額が異なりますが、20%以上の一次エネルギー消費量削減で70万円、蓄電システムで3万円/1kwhの追加補助金を受け取れます。ただし、この補助金は環境共創イニシアチブ(SII)に登録されたZEHビルダー/プランナーによる設計、建築、改修、販売が要件となります。
エネファーム
家庭用燃料電池のことで水素と酸素から電気を作りその時に発生する熱を給湯などに利用するシステムです。燃料電池のタイプが固体酸化物形燃料電池(SOFC)で価格が一定基準額以下で購入し、6年以上使用することが補助金の要件となっています。
補助金の要件に当てはまるかを確認
補助金制度は期間や対象製品がかなり限られています。まずは自分が家を建てたい時期、購入したい時期が受けたい補助金の対象時期と重なっているのかどうかを確認しておきましょう。
たとえば、次世代住宅ポイントであれば申請期間は2019年6月3日(予定)から遅くとも2020年3月31日までです。さらに対象となる住宅は、原則2019年4月1日から2020年3月31日までに建築請負契約か着工をした注文住宅か、2018年12月21日から2020年3月31日までに請負契約、着工、売買契約をした建売住宅など、契約や着工の期間も限定されています。
ZEHの補助金も公募期間や事業期間が細かく設定されています。現在環境共創イニシアチブ(SII)で公表されているのは、ZEH支援事業が6月3日から一時公募申請が始まり公募期間は5日程度、7月24日に交付決定でその後に着工し、事業完了は12月13日までと、完了報告まで含めるとかなり細かにスケジュールが決まっています。現時点で決定している三次公募は8月5日からとなっていますので、今年度補助金を受けたい場合は7月中には建築請負契約を結んでおかなくてはなりません。予算があればその後も制度を使える可能性もありますが、使う人が多ければ予定した公募前に補助金が終了してしまう可能性もあります。
補助金の制度は年度が始まってから概要が発表されて、夏までには公募が終わってしまうこともしばしばです。来年以降住宅購入を考えている方で補助金を有効に使いたい方は、5月から7月ごろまでには建築請負契約が結べるように準備しておくと安心です。ただ、買いたい土地、買いたい家は補助金に合わせてやってくるわけではありません。補助金は運が良ければおまけとして使う、とでも思っておいたほうがよさそうです。
補助金に精通した事業者に相談を
補助金の制度は毎年国の施策や予算によって変わります。今年は消費税増税もあって補助金が充実した年ともいえるでしょう。しかし、たくさんの補助金があっても、公募や手続きのスケジュールが短期間に限られている、提出する書類が見慣れない書類で何のことかわからない、事業者の力を借りないと自分では準備できない書類がある、対象製品の品番が細かに決まっている、など手続きが煩雑です。もし、申請できたとしても調べたり、資料を集めたりすることに時間がかかり、家の建築や購入でただでさえ忙しい時期に、負担がかかりすぎて本来の自分の仕事に影響が出てしまったら意味がありません。
補助金、助成金を考えたら補助金を受けた実績がある事業者等に先ずは相談しておくのが早道でしょう。
補助金ごとに対象事業者や対象商品が検索できるサイトをご紹介しておきます。
1.次世代エコポイント対象製品の検索
2.2019年地域型住宅グリーン化事業 補助実績工務店検索
3.ZEH支援事業 ZEHビルダー/プランナー 一覧検索
4.エネファーム 補助対象システム
まとめ
補助金は魅力的ですが、対象期間、製品が大変限定されていて、申請から完了手続きまでたくさんの書類を準備が必要なことなど手続きが煩雑です。複数の補助金制度から自分に当てはまる補助金を選んで受け取るためには、情報が少ない一般の人が個人で申請するのは至難の業です。家を探しはじめた時に建築業者や不動産事業者の担当に補助金について話を聞いてみましょう。補助金の得手不得手もわかるのではないかと思います。
また、ご紹介した補助金以外にも一定の要件に当てはまる住宅については、自治体の補助金や、住宅ローン減税をはじめとする各種減税、住宅ローン金利の優遇、火災保険等の割引が受けられる場合があります。さらに、新築住宅以外にも中古住宅の購入や耐震や省エネ、多世代住宅のためのリフォームに使える補助金もあります。
住まいを考えたら一度は補助金、減税、優遇制度について調べておいてはいかがでしょう。そのうえで自分が希望する住宅に当てはまるものがあれば、もれなく積極的に利用してみましょう。
参考サイト:住宅の補助金・減税・優遇制度オールガイド2019
(最終更新日:2019.10.05)