首都圏のマンションの動向に大きなインパクトを与えそうな変化が数字としてあらわれました。
(株)不動産経済研究所(東京・新宿)が21日に4月のマンション市場動向調査を発表。首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比で約4割減となり、4月としては27年ぶりの少なさという結果になっています。
新規発売戸数の減少傾向は4ヶ月連続
(株)不動産経済研究所が発表した2019年4月度の「首都圏のマンション市場動向」をみてみると、4月の新規発売戸数は1,421戸、対前年同月(2,342戸)比39.3%減、対前月(3,337戸)比57.4%減となりました。
新規発売戸数の減少傾向は4ヶ月連続で、4月としてはバブルが崩壊した後の1992年以来27年ぶりの少なさです。物件の価格高騰が影響したとみられています。
地域別の発売戸数は、東京都区部726戸(全体比51.1%)、都下169戸(同11.9%)、神奈川県306戸(同21.5%)、埼玉県122戸(同8.6%)、千葉県98戸(同6.9%)。東京都のシェアは63.0%でした。
新規の発売戸数に対する4月の契約戸数は914戸で、消費者が購入した割合を示す月間契約率は1.3ポイント上昇の64.3%。前月は1年ぶりに好不調の目安とされる70%を上回ったものの、再び60%台に低下しています。
4月の1戸あたりの平均価格は5,895万円と前年同月から348万円(6.3%)上昇し、1平方メートル辺りの単価は93.1万円と16.4%上昇しています。
東京都区部(10.2%アップ)、神奈川県(11.6%アップ)、千葉県(18.2%アップ)となり2桁の上昇を示しています。
5月の首都圏の販売戸数は2,500戸の見通しとのことです。
よぎる、マンションの2019年/2020年問題
マンションに限らず不動産の市場動向に付きまとっているのが「2019年問題」、「2020年問題」と呼ばれているものです。
「2019年問題」とは、住宅の需要と、年間90万戸ほど建てられる住宅の供給が逆転する現象が起こるとされる問題のことで、この逆転現象は2019年からはじまるとされています。
住宅供給数と総世帯数の逆転が起きれば、供給が増え需要は少なくなるわけですから、新しくマンションを建設しても買い手がつきにくくなり、マンション全体の価格が下落するという仕組みです。
一方で、「2020年問題」とは、2020年になるとマンションの市場価値自体が大きく下がるのではないかと言われている問題のことを指します。
2020年東京オリンピック開催に向けて、再開発や外国人による投資など、さまざまな要因が合わさって建設ラッシュが起こり、不動産の価格が開催地である東京の都心部を中心に高騰しています。これは一種の不動産バブルであるという見方もあり、2020年のオリンピックが終わったらマンション価格が一気に下落すると考える人もいるのです。(参考:マンションを購入する前に! 知っておくべき2020年問題とは?)
以上のような危機感が実際の数字となって4月度の結果にあらわれているのかは、より緻密な分析が必要です。
いずれにしても物件を購入しようとしている人、また売却しようとしている人にとって、しばらくはマンションの動向に目が離せない状況が続きそうです。
(最終更新日:2019.10.08)