毎年、夏場になると悩まされることが多い蚊やハエなどの害虫。どんなに気を付けていてもいつの間にか家の中に入ってきて、不快な思いをすることもありますよね。ここでは、蚊の種類や代表的な感染症とその症状、発生を防ぐ対策、コバエへの対処法などを紹介します。
昼間でも刺す「ヤブ蚊」と夜に刺す「イエ蚊」
アカイエカやチカイエカなどのイエ蚊類は、家の回りに発生して夜になると人を刺し、ヒトスジシマカなどのヤブ蚊類は庭や薮、草むらに生息して昼間から刺します。蚊は水中に卵を産み、ヒトスジシマカの場合は約12日で成虫になり、薮や草むらで30~40日生息します。
2014年には、海外に行っていないのに、蚊が媒介する感染症「デング熱」に感染した人が東京都内で確認されました。デング熱やジカウィルスを媒介するのは、ヒトスジシマカです。デング熱は、刺されてから2〜15日(多くは3〜7日)の潜伏期間を経て、38~40度の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、発しんなどの症状が現れ、ほとんどの場合1週程度で回復します。
「ジカウイルス感染症」は、2~12日(多くは2~7日)の潜伏期間の後、発熱し(ほとんどは38.5度以下)、頭痛や関節痛、結膜炎などが起きます。一般的にデング熱よりも軽症といわれています。
なお、東京都感染症情報センターのホームページでは、デング熱やジカウィルス感染症の患者情報などにもとづいて、ウィルスを持つ蚊がいる可能性のある場所「蚊媒介感染症ハイリスク地点」を知ることができます。2019年5月27日現在、都内に蚊媒介感染症ハイリスク地点はありませんが、気になる人は東京都のホームページを確認してみましょう。
マンション上層階でも蚊に注意
薮や草むらの近くに行くときは、肌を露出しないように気をつけましょう。また草を刈ったり、樹木を選定して日当たりと風通しを良くしたりすることで、蚊の隠れ家をなくしておくようにしましょう。
蚊は風に乗ったり、人にくっついたり、エレベーターで運ばれたりして、20階以上のフロアでも侵入してくることがあります。もしも、上層階にも関わらず毎日のように蚊が発生するのなら、ベランダなどに雨水や排水がたまっていて、ボウフラが発生している可能性もあります。
家の周りに雨水がたまるような空き缶や空き瓶、植木鉢の受け皿などがあれば、水を捨てて片付けましょう。雨どいや側溝、雨水マスなどを定期的に点検して清掃し、水がつまらないようにすることも大切です。
窓には網戸を取り付け、破れていたら補修しましょう。日本では網戸というと樹脂製のものが中心ですが、破れやすいのが難点です。アルミ製やステンレス製で丈夫な金属製の網もあるので、補修する際に金属製に交換しておくのも一案です。
いつの間にか発生するコバエにも注意
日本には約3,000種類のハエがいて、体長が2~3ミリの比較的小型のハエをコバエと呼ぶことがあります。ハエも病原性微生物を媒介し、食品や生ゴミに卵を産むなどの問題があります。
ハエ対策としては、やはり網戸を使って屋外からの侵入を防ぐこと、そしてハエが発生しやすい生ゴミや腐敗物を取り除くことです。ハエが発生しにくい環境を作ることが大切です。
殺虫剤を使用するより、物理的な対処を
殺虫剤は、昆虫の中枢神経系の正常な働きを妨げるものですが、人間と昆虫の神経系のメカニズムは基本的に変わらないといわれています。1回あたりに使われる殺虫剤の量はごくわずかでも、繰り返し利用することで、何らかの悪影響を受ける可能性もあります。特に化学物質の影響を受けやすい乳幼児や子ども、妊娠中の女性がいる場所では、使用する際に注意が必要です。
文部科学省が発表した「健康的な学習環境を維持管理するために -学校における化学物質による健康障害に関する参考資料-」でも、樹木を選定して害虫の発生を防いだり、防虫網や粘着トラップなど物理的な方法を利用したり、子どもたちの健康や周辺環境に影響が出ない方法で駆除するよう求めています。
札幌市では、薬剤を使う際は、必要に応じてマスクやゴム手袋、帽子などを着用すること、説明書を読んで正しく使うこと、薬剤が付着しないよう風上から散布すること、殺虫剤を使った後は部屋を換気し、手や顔を石鹸で洗うことを勧めています。薬剤が手についた場合はすぐに洗い、体調不良が起きたら医師に相談してください。
体のことを考えると、殺虫剤よりも、ハエ叩きや虫取り網などを使って対処したほうがよさそうです。金属ネットにハエや蚊が触れると、電気が流れて仕留めることができる電気式のハエ叩きもあります。
また、よくわからない病害虫を見つけて心配な場合は、保健所などに相談を。適切な対処法をアドバイスしてもらえるでしょう。
(最終更新日:2019.10.05)