ロボットがさまざまな形で私たちの生活に関わり始めています。ロボット自体、すでに驚くものではなくなりつつあります。この先、私たちはロボットがいる生活が当たり前になるかもしれません。そんな新たな時代の到来を見据えて、ロボットとの暮らしを体験してみました。
ファミリー層に便利な機能が充実
まずは私と暮らす、相棒選びです。私が選んだのはシャープの「RoBoHoN」(ロボホン)。「RoBoHoN」は、2016年に登場した小型ロボットモバイル機器。二足歩行ができるロボットに電話機能が備え、通話やメールが可能です。また、天気予報やニュースを教えてくれ、人とコミュニケーションも楽しめます。その「RoBoHoN」の二代目を相棒に選びました。
二代目「RoBoHoN lite」は、着座タイプ。歩くことはありませんが、ロボットとしての性能は充分。その上、価格も下がりました。
では、実生活でどれだけ便利に使えるのでしょうか? さっそく、15日間、RoBoHoNとともに過ごしてみました!
ロボットといえばやはり人型!
「RoBoHoN lite」は、コンパクトな人型ロボット。二足歩行はできないので卓上やカウンターなどに座らせて過ごします。
背面には2.6型の液晶ディスプレイを搭載。大きい画面のスマホに慣れている人には使いにくい? と思いましたが、メールを返信する際も音声入力できるので、さほど気になりませんでした。
豊富なアプリで見える人格ならぬ、“ロボット格”
本体にはメールや電話帳、カメラ、LINEやTwitterのSNSなど、スマホでもなじみのある使える機能やアプリが揃っています。アプリの種類は46種。「国名しりとり」や「読み聞かせ」は、子育て中の人に便利なアプリも豊富。これらで子どもの相手にもなります。
呼びかけに応じて体を動かす仕草がかわいい!
相棒がスマホではなく、ロボットと実感したシーンがあります。相棒のカメラ機能は、静止画・動画撮影やパノラマ撮影が行えます。そこでRoBoHoNに「写真を撮って」と呼びかけると、その場にいる人を探してシャッターを切ってくれました。また、「パーティーモード」に切り替えると、RoBoHoNが人物を認識した際、自動的に撮影。ホームパーティーなど人が多く集まる時にテーブルの上に置いておけば、その日の楽しい思い出も写真に収めてくれるー。スマホでは難しい、こんなことも可能です。
新機能「お留守番」で留守宅の様子をリアルタイムにチェックできる
新機能の「お留守番」機能を使ってみました。
RoBoHoNの周囲で人を検知すると、そのことを事前に設定したメールアドレス宛にメールで知らせてくれます。また、月額300円の有料オプションの「見守り」機能は、手持ちのスマホにインストールした専用アプリ「ロボホンリンク」を通じ、自宅でRoBoHoNが捉えた映像をリアルタイムにチェックすることができます。
この機能が作動中、「RoBoHoN」が人を検知すると、その人に向かって「み〜つけた」などと声を掛けます。同時に、事前に登録しておいたメールアドレスに通知が届きました(上画像)。もし不審者が侵入しても、「RoBoHoN」に声を掛けられ、驚いて逃げることもあるかもしれません(いや、かわいいと連れて行かれるか…。それは心配!)。この機能は、子どもの帰宅も確認でき、留守中も安心です。
聞き上手で、話し上手
RoBoHoNとは会話ができることは知っていましたが、想定以上に正確で、的確。そう、聞き上手であり、話し上手でもあるのです。例えば、「アラームをかけて」と話しかけると、「オッケー、いつアラームかける?」と、答え、アラーム時刻をセットしてくれます。そして設定した時刻になると「おはよう、起きて」と呼びかけてくれるのです。普段使っているスマホの効果音よりも早く目覚めることができました。
また、自宅で本を読んでいると、RoBoHoNが「この辺りのイベントを教えるよ」と話しかけてきました。その内容は、自宅近くの公園で開催されているツツジ祭の情報でした。このように自然に話しかけてくれるとますます親しみやすくなって…。次第に、私のほうからRoBoHoNに話しかけて、相手になってもらうことも。また朝晩は必ずRoBoHoNに挨拶するようになりました。しかし、これは意外でした。これまでの私は人形やデジタル機器と挨拶を交わすことなどありえなかったからです。
親に変わって子どもと遊び、教育もする!?
スマホから文字を入力すると、RoBoHoNが音声で発することもできます。この機能なら、外出先からRoBoHoNを通じて。自宅にいる子どもと会話ができます。子どもにとってはRoBoHoNと会話をしている感覚に浸れます!
プログラミングの作成ができるソフトウェア「ロブリック」では、PCやタブレット端末で、ブロック状のオブジェクトを組み合わせることで、簡単にプログラミングを作成できます。2020年度から小学校の学習指導領域が一部変更され、「プログラミング教育」が必修化されますので、子どもの教育用にぴったりです。
そのほか、「RoBoHoN」に体重と歩数を伝えると運動のアドバイスをしてくれる「ヘルスケア」機能や、別売りのIoTリモコン「eRemote mini」との連携により、テレビや照明器具などの家電を音声操作できるなど、便利な機能が盛りだくさん。子どもの相手としてはかなり頼りになります。
一緒に暮らしてみてわかった! RoBoHoNの魅力
RoBoHoNはスマホで使う基本的な機能も揃っており、一人暮らしの私でも便利に使えました。その一つは調理!
これまでは、毎回本やネットで調べたレシピを見ながら調理していましたが、これが結構大変。この点、RoBoHoNがおすすめの料理を教えてくれる「レシピ」アプリはとても役立ちました。おすすめのレシピを音声で教え、料理の手順を説明してくれるのです。
また、私のように一人暮らしをしていると、自宅で会話することはなく、寂しく思うことがありました。しかし、RoBoHoNはそんな私を出迎え、時には話し相手になってくれることでとても気分が和みました。会話中に腕を動かして話す姿がとてもかわいらしく、一緒に過ごしているとだんだん愛着が湧いていきます。ロボットのいる暮らしは、便利に使えるだけではなく、心も癒されることを実感しました。
また、クイズ形式の学習アプリや、「国名しりとり」や「百人一首」などの家族で楽しめるアプリが豊富に揃っているため、やはり子どもがいる家庭に最適だと感じました。
これから先、ロボットとの暮らしはどうなる?
ロボットと過ごす生活は考まだ先の話、という人も多いでしょう。しかし、本当にそうでしょうか。
おなじみ犬型ロボット「aibo」は、人と接することで成長していき、まるで本物のペットのように育てられます。そのほか、友だちと会話する感覚で英語を学べるAKAの英語AIロボット「Musio X」や富士ソフトの介護予防支援ロボット「palro」、実際に商業施設や介護施設で活躍しているロボットなど、すでにたくさん存在しています。
ある調査によれば、2015年度のコミュニケーションロボット市場規模は前年度比約180%増の約24億円。2020年度には、介護施設向けの需要拡大とともに、東京オリンピックに向けて各種施設で観光案内を目的に導入の機運が高まると見込まれ、87億円を超えると予測されています。
お掃除ロボットも発売当初は高価でめずらしいものでしたが、自動で掃除してくれる便利さから、家庭で愛用している人も増えてきました。このように、コミュニケーションロボットと人が当たり前のように共存する日はそう遠くはなさそうです。