身の回りにある不要なものを捨てたり、必要なもの以外を持たないことでライフスタイルを身軽に快適にする「断捨離」。しかし中には、断捨離をしたことで後悔することになってしまった人もいるようです。断捨離のどんな行動が後悔の元になったのでしょうか。断捨離によって引き起こされたトラブルの体験談を集めました。
「断捨離」とは
体験談の前に、そもそもの断捨離の考え方について。断捨離とは、単にものを捨てることではありません。その意味は、「断」=入ってくる不要なものを断つこと、「捨」=不要なものを捨てること、「離」=ものへの執着から離れること、の3つを合わせたものなのです。ただ捨てるだけではなく、自分にとって本当に必要なものを見つめ直すのが断捨離の目的。ものへの執着を捨て、必要なものを見極める目を養うことにもつながります。
一見すると、いいことばかりのように聞こえますが、実際にやってみた結果、思わぬ事態を招いた人もいるようです。
【体験談その1】必要なものも捨ててしまった
「モノのない生活に憧れて、意気揚々と始めた断捨離。最初はものが減っていくのが気持ちよくてどんどん捨てていました。そのころの季節はちょうど真夏で、薄着で過ごしていた事もあるのですが、いざ肌寒い時期になると秋冬の服がほとんど無いことに気づいて呆然! 結局新たに買い直す羽目に…。思わぬ出費をすることになりました」
断捨離したことによる後悔で最も多いのが、必要なものまで捨ててしまうケース。中には家電の大事なパーツを捨ててしまったり、高価なアクセサリーをカバンごと捨ててしまったり…という人も。手当たり次第に捨てていくのではなく、本当にもう使わないものなのか、ポケットの中に入れたままになっているものはないか、よく確認することが大切です。
【体験談その2】2度と手に入らないものまで捨ててしまった
「押し入れに入れっぱなしになっていた大量の写真を、思い切って捨てました。数年後、結婚することになり、披露宴で使用する映像を作ろうとしたら、学生時代の写真が1枚もない! かたっぱしから友人に電話して借りてなんとかなったものの、夫や家族には呆れられるし、友人にも迷惑かけるし散々でした。ただでさえ、結婚式の準備は忙しいのに、余計に時間もかかってしまったのは想定外です」
断捨離をしていると、「もし必要になったらまた買おう」という考えで、あれもこれも捨ててしまいがち。しかし、思い出の品となるとそうはいきません。一度捨ててしまったら二度と手に入らないものは注意が必要です。手放してすっきりしたい気持ちもわかりますが、写真や過去の手帳、手紙、子どもの描いた絵などを捨てる際はくれぐれも慎重に。捨てる際は、写真に撮っておいたり、スキャンしたりするなど、データで残すといいですよ。
同様に、絶版となった本やCDなども、後で手に入れようとすると高額なプレミアが付いていたりする場合があるので要注意です。
【体験談その3】断捨離が元でケンカになった
「とにかく家の中をスッキリさせたくて断捨離をしていたとき。以前から『捨てる、捨てる』といってそのままにしてあった夫の趣味のグッズを処分してしまいました。帰ってきた夫は大激怒。留守の間に勝手に捨ててしまったことがよほどショックをだったらしく、それ以来、夫婦間がギクシャクしています。捨てることには同意していたはずなのになぜ? と思う気持ちもありますが、やはり申し訳なかったと反省しています」
いくら断捨離とはいえ、自分以外の持ち物を勝手に処分するのは厳禁。ものへの思い入れは人それぞれ違います。他人から見たらなんてことないものでも、当人にとってはかけがえのない大事なもの、ということも大いにあるでしょう。特に夫婦間では価値観の違いが浮き彫りになりがち。
最悪の場合は離婚にいたったケースもあるようなので、これから断捨離する予定の方はくれぐれも気をつけてくださいね! また断捨離はひとりでやるのではなく、一緒にするといいですよ。
【体験談その4】考え方が変化した
「断捨離をして捨てることに抵抗がなくなったからか、人から旅行のおみやげやプレゼントをもらうのが苦痛になってしまいました。もらっても『どうせ捨てるのに』とか、『本当はいらないんだけどな』と思ってしまうのが、我ながら性格悪くていやだなと思います。せっかく相手が好意でくれるものくらい喜んで受け取りたいのに…」
断捨離はただ捨てるだけでなく、自分にとって必要なものと、そうでないものを見極める目を養うものでもあります。しかし一方で、ものの見方を変えることは、それまでの価値観もガラッと変えてしまう可能性もあるということ。感じ方や考え方も、少なからず影響を受けます。この方の場合は、それを知人からプレゼントをもらった際に発覚したよう。ふとしたときに感じる以前の自分との違いは、地味にショックかもしれませんね。
【体験談その5】「断捨離依存症」になってしまった
「一時期、とにかくものを捨てたくて仕方がないというか、捨てなければならないという強迫観念に襲われてしまって、やばかった時期があります。少しでもものが増えるとイライラしたり、落ち着かなかったり。捨てるとすっきりする感覚がちょっとした中毒になっていたみたいです。そのころ、仕事が忙しかったのもあって、ストレス解消のためと思ってはじめた断捨離ですが、捨てることが逆にストレスになっていました。転職して精神的にも落ち着くと、従来の“断捨離”ができるようになりました」
ものを捨てるときの快感がやみつきになったり、ものを増やすのが怖くなったり。捨てることが目的になってしまうことを、“断捨離依存症”と言います。断捨離依存症になると、何か上手くいかないことがある度に「断捨離が足りないからかもしれない」と考えてしまい、故意に生活に必要なものを捨ててしまうことも。少しでも不安になったら断捨離はいったんお休みして、休養を取るのが吉。もしかしたら、間違った断捨離に陥っているかもしれません。
まとめ
断捨離には部屋が片付いて、生活にゆとりができるといったメリットがある反面、捨てすぎる、必要なものも手放してしまうなどのデメリットもあるようです。“断捨離ハイ”になって取り返しのつかない事態になることを避けるためにも、捨てる前に最終確認をする、少し時間をおいてから捨てるものを見直すなどの心の余裕を持つようにしましょう。
(最終更新日:2021.12.21)