各メーカーから登場している高級家電の数々。価格だけをみると「なんでこんなに高いの!?」と思う方も多いかもしれません。なかなか手が出ない高級家電ですが、低価格モデルとは何が違うのでしょうか。その魅力に迫ります。
家事のストレスが低減し、暮らしのクオリティがグッと上がる
高級家電は、各メーカーが威信を賭けて開発するもので、フラッグシップモデルはそれぞれの部門で「顔」となる製品です。年単位で開発する家電も少なくなく、莫大なコストをかけた最先端の技術を搭載しているものがほとんど。高級家電の最大の特徴は、一見低価格モデルと大差ないように見えますが、中身は別物です。
最新技術を搭載した高級家電は、家電の操作自体はとても簡単ですが、中身は最新のテクノロジーがギュッと凝縮されており、常に高いクオリティを維持してくれます。各種センサーなどが自動で最適な状況を判断してくれるものも多く、特にユーザーが気にすることはなく、仕上がりは驚くほど満足できるものが多いのです。家電はほぼ毎日使うものですから、高価格モデルに変えたことで「家事のストレスが減った」という声もよく聞きます。
また、「自分好みに調整したい」というこだわり派のために、手動で細かく各種設定ができる点も魅力です。低価格モデルでは例えば「強」「弱」しか設定できなくても、高価格モデルはその間を細かく微調整できるものが多いのです。好みに合わせて選ぶこともできるので、飽きずに長く使えるのも嬉しいですね。
それでは、実際に“高いけれど売れている”人気の高級家電をご紹介しましょう。
洗剤・柔軟剤を計量する必要なし! 汚れ落ちが抜群で、シワになりにくい乾燥機能が大人気
【1】日立「ビッグドラム」(BD-NX120C)
「ビッグドラム」は、AIを搭載。洗濯のさまざまな状況をセンシングして、洗い方や時間を自動で判断してくれます。洗濯水の汚れが多い場合は洗濯時間を延長したり、化繊が多い場合は使用水量を抑えたり、衣類から出る水分量が少ない場合は脱水時間を短縮するなど、自動で最適な設定を選んで洗濯してくれます。大流量で洗うパワフルな「ナイアガラ洗浄」で、ガンコな汚れも落としてくれるのも嬉しいですね。
また、洗剤や柔軟剤を洗濯のたびに計量して入れる必要はありません。液体の詰め替えタイプを1本丸ごと入れられるタンクが2つ(洗剤と柔軟剤用)ありますので、そこに入れておけば毎回衣類の状況に合わせて最適な量を計量し、自動投入してくれます。液体洗剤ボトルの液だれを心配することもなく、洗剤や柔軟剤の置き場所をとらないのでサニタリールームもすっきり。
乾燥機能も優秀です。日立独自のパワフルな「風アイロン」を搭載。ドラム直径が61cmもあり、大きなドラムの中で衣類を舞い上げながら時速 約300kmの高速風を吹きかけてシワを伸ばします。ドラム式で乾燥するとシワになりやすいのですが、「シワになりにくい」と評判の乾燥機能を重視して買う方も少なくありません。
さらにアプリをスマートフォンにインストールしておけば、外からも操作ができます。離れた場所でも運転をスタートできますから、汚れた衣類を入れておけば帰宅時間に合わせて自動で洗濯が終わっているのです。運転終了や洗剤残量が少なくなると通知もしてくれるので、とても便利ですよ。ボタンひとつで洗濯から乾燥まで、衣類に合わせた運転ですべて行ってくれるドラム式洗濯機なのです。
気流の湿度や温度までコントロール、高くても”指名買い”が多いエアコン
【2】ダイキン「うるさら7」(Rシリーズ)
ダイキンは空調メーカーだけあって気流の制御が正確で、部屋全体をムラなく快適に保つ技術が優れています。
中でも最新のフラッグシップモデル「うるさら7」は特に優秀です。AIと独自の制御技術の組み合わせで、好みの温熱環境を自動で実現。室内の温度や湿度、壁からの輻射熱、リモコンの操作履歴をAIが解析し、好みの温熱環境を学習できるエアコンなのです。
夏場は天井に沿って気流をまわすサーキュレーション機能により、人に直接風があたりにくく、部屋中どこにいても快適な冷房を実現します。冬場の暖房気流では壁をつたって垂直に気流を落とし、床を温めるようにします。エアコンの冷暖房の気流が苦手という方も、快適に過ごすことができます。
もう一つ、"指名買い”されるほど人気がある、ダイキン独自の機能をご紹介しましょう。外の空気中の水分をエアコンが取り込み、無給水で加湿できる「無給水加湿」です。暖房をするとカラカラになりがちなエアコンの風ですが、加湿されているためお肌や喉をいためにくく、快適に過ごすことができます。
保存するだけでなく「冷ます」「調理する」ができる冷蔵庫
【3】パナソニック パーシャル搭載冷蔵庫(NR-F605WPX)
中段のスペースに「クーリングアシスト」機能を搭載したパナソニックの最新冷蔵庫は、ただ冷やすだけではありません。パナソニック冷蔵庫専用アプリを使えば、「冷ます」「急冷」「急凍」の3つのモードを目的に合わせて1分刻みで、中段右側のスペースを自由にカスタマイズできる冷蔵庫です。業務用レベルの急速冷凍機能を搭載しており、大風量の集中シャワー冷却で食品をすばやく冷やしたり、凍らせたりできます。ここは独立ルームなので、アツアツのものを入れても他の食品に影響がないのです。
通常の冷蔵庫は奥のほうにダクトがありますが、このスペースは真ん中にあり、素早く食品に冷気を吹き付けることができます。夏場はしっかりとアラ熱をとってからお弁当の箱を閉めたいところ。この機能を使えば、作り置きやお弁当もアツアツのまま入れても、「冷ます」を使えば、うちわなどでパタパタする必要がなく、たった5分で終わります。忙しい朝にちょっとしたゆとりの時間を生まれますね。
「急冷」モードを選べば、すばやく冷やすことで、味のしみ込みや冷やすなどの下準備の時間が短縮できます。また「急凍」モードでは、すばやく凍らせるから、食品の細胞の破壊を抑えておいしく冷凍することができます。少し多めに作ってしまったおかずなどは急凍しておけば、再加熱時に美味しく食べられますよ。
また、パナソニックの冷蔵庫の魅力は「使いやすさ」です。全体的に棚が低めとなっており、ドア部分のポケットも少し手前に傾いているので、背が低めの女性でも中の食品が取り出しやすくなっています。
さらにフロスト加工の面材は、通常のガラストップとはひと味違った高級感があります。実際にお借りして使ったことがありますが、家の中に置くと目を引く美しさでした。冷蔵庫は面積が大きいので、デザインにこだわる方も多い家電。落ち着いたデザインも魅力の冷蔵庫です。
吸引力と使い勝手が両立したクリーナーは、高価でも売れている
【4】ダイソン「Dyson V11 Fluffy+」
スティッククリーナーの中でもシェアトップを誇るダイソン。微細なゴミから大きなゴミまで、独自のソフトローラークリーナーヘッドと強力なモーターでグングン吸い込みます。最新の「Dyson V11」は操作部で大幅なモデルチェンジを行い、液晶ディスプレイが搭載されました。3つの吸引モードがありますが、現在の吸引モードやバッテリー残り時間までわかるようになり、さらに便利に。コードレススティッククリーナーにありがちな「掃除の途中でバッテリーが切れた!」ということも、これなら防ぐことができます。かなりパワフルなので、フローリングなら中モードでも十分。掃除する場所で吸引モードを変えながら、バッテリー切れにビクビクすることなく、効率良く掃除できます。
また、Dyson Cyclone V10コードレスクリーナーに比べて、吸引力も25%アップしています。壁際などのゴミも残さず吸い取るので床がスッキリ。「Dyson V11」は付属品などの違いでさまざまなモデルがありますが、おすすめなのは「Dyson V11 Fluffy+」。コードレスクリーナー専用充電ドックが付属しており、そこに引っ掛けて充電できます。これまでは収納用ブラケットしかなく、壁に装着する際は穴を開ける必要がありましたが、ドックがあれば賃貸の部屋でもスタイリッシュに収納できるようになりました。
【5】三菱電機「ZUBA Q」
人気があるダイソンのクリーナーですが、小柄な女性におすすめなのが三菱電機「ZUBA Q」です。本体は1.8kgほどの質量しかありませんが、最大毎分125,000回転を誇るJCモーター搭載で、小さくてもパワフルな吸引力を実現しています。
この製品には、他社にはない独自の機構が話題となっています。手前に引けばスティッククリーナー、持ち上げるとハンディクリーナーとして使用できます。体への負担が少なく、ゴミを見つけたらサッと取り出して使えます。Qの形もユニークですね。
さらに充電時間はたった90分で、連続運転時間は約40分(標準モード)とたっぷり使えます。手軽なのに強力な吸引力で女性から支持され、高価ではありますが、口コミで売れています。
かまどの炎の「ゆらぎ」を再現! 業界初の構造で驚くほどごはんがふっくら
【6】象印マホービン「炎舞炊き」
高級炊飯器の中でも業界で初となる、本体底のIHヒーターを3個搭載した「炎舞炊き」は大変話題になりました。それぞれのヒーターを独立制御する「ローテーションIH構造」で、かまどの炎の「ゆらぎ」を再現するとともに、従来機種と比べて単位面積当たり4倍以上の大火力炊飯を実現しています。この構造は釜内で複雑な対流を起こせるので、お米の甘みをしっかりと引き出すことができます。炊き上がったごはんは驚くほど甘く、もちもち。お米だけで何杯も食べられる美味しさで、おにぎりなどにもぴったりです。
自分好みにかたさや粘りを変えたい方は、「わが家炊き」で炊き分け可能です。最大121通りの炊き方があり、好みの食感に合わせて炊くことができます。また前回食べたごはんのかたさや粘りを入力すると、炊き方を変えて食感を調整します。これは圧力を検知する「圧力センサー」と0.05気圧ごとに制御を行う「圧力チューナー」で、釜内にかける圧力を自動で調整できる最新技術を搭載しているから。お米の銘柄や保存状態に応じた炊き方で、一人ひとりの好みの食感に合ったごはんを炊き上げます。
以前のモデル「南部鉄器 極め羽釜」も大変人気でしたが、釜が重く、お手入れする面では不便でした。新モデルはデザインも大幅に変更し、本体はコンパクトなサイズに、内釜も軽くなりました。使い勝手も年々進化しています。
花粉、雑菌、ダニなどを除去。クローゼット型のスチームウォッシュ&ドライ「LG Styler」
【7】LGエレクトロニクス「LG Styler」
「LG Styler」は衣類についたニオイやシワ、ほこり、花粉、ダニなどを自宅で簡単にケアできる“スチームウォッシュ&ドライ”という、まったく新しい家電カテゴリーの家電です。世界では月に1万台以上を販売されており、最近では類似品を販売する海外メーカーも出てくるほどのヒット製品。日本でも口コミでジワジワと売れています。
スタイラー内に循環するスチームと、1分間に約180回振動するハンガーラックの振動を組み合わせることで、衣類についたシワを伸ばすことができます。さらに、染み込んだタバコや汗、皮脂などの嫌なニオイ、花粉、ダニ、雑菌などを除去。衣類を傷めることなく、除菌に最適な温度をキープ。太陽光以上の除菌効果を発揮し、仕上がりもフワフワに。普段着るスーツや制服の他、帽子、ぬいぐるみ、枕、ブランケットなどもStylerでクリーニングすることで、清潔に保つことが可能です。日常的に着るスーツや制服も、自宅で手軽にケアすることができます。
クローゼット型なので場所をとりますが、一度使うと手放せません。わが家でも子どもの制服やスーツをよくケアしています。ホコリやシワ、ニオイもスッキリとれるので家族みんなで愛用しています。
白物家電も高くてもよいものは売れ続けている
家電は毎日使うものです。最近は単に家事の労力を減らす道具としてではなく、「使いやすく、毎日の生活が楽しくなるようなものを選びたい」とユーザーの意識も変化しています。高価であっても、あっと驚く機能を搭載していたり、基本性能がしっかりしていて使いやすかったり、デザインが上品なものは売れています。ぜひ価格だけで決めるのではなく、少し高いモデルもチェックしてみてくださいね。
執筆/家電プロレビュアー 石井和美
(最終更新日:2019.10.05)