各メーカーから続々登場している「スマート家電」。しかし、「スマートフォンで操作しないから…」という理由で、スマート家電を選ばない方も多いのではないでしょうか。よく勘違いされるのですが、スマート家電は「スマートフォンで操作するため」だけでの製品はありません。もちろんそれも便利ですが、Wi-Fiなどを経由してインターネットに接続することで、その製品がどんどん賢くなる、ということが一番の利点です。
家電を購入すれば、数年は使い続けることになります。しかし、ライフスタイルの変化などさまざまな出来事が起こると、機能がマッチしなくなることがあります。そういった場合でも快適に使えるようにするために、機能を追加したり、改善したり、ソフトウエアを最新にすることで本体がグレードアップするのです。
大きなモデルチェンジがなければ、ソフトウエアをアップデートすることで新製品と同じような性能に進化することもあります。ユーザーの好みに合わせて機能の選択肢が増え、どんどん使いやすく改善されていくので、白物家電こそスマート家電をおすすめしています。動作がいまひとつだった場合も最適化されたり、不具合が修正されたり、「急に動きがよくなった」ということもあるのです。
ソフトウエアのアップデートで大幅に進化している日立のロボットクリーナー
日立「ミニマル」
例えば、日立はユーザーの生活に合わせて家電品を進化させる「ソフトウェア・デファインド コンセプト」を推進しており、積極的にソフトウエアをアップデートしています。
先日のアップデートでは、掃除のモードに「ペット運転」と「夜家事運転」が追加されました。「ペット運転」は、掃除中10分おきにその場で「ブラシ自動おそうじ」を行って回転ブラシの毛のからまりを軽減。また「ごみプレス」を同時に行うことで、ダストケース内に広がりやすい毛を圧縮します。集じんスペースを確保して、より多くの毛を効率よく集じんすることができるようになったのです。
また、ファンモーターや、回転ブラシの回転速度を下げられるようになった「夜家事運転」も便利です。この機能が追加されたことで、掃除中の運転音をより抑え、ゆっくり時間をかけて掃除可能に。夜に家事をすることが多いご家庭も増えている状況から、この機能をソフトウエアのアップデートで追加されたようです。
このように、ソフトウエアのアップデートをしてハードの制御を変えるだけでも、本体の性能が大幅に改善するのです。インターネットにつながらない家電はずっとそのままですが、スマート家電はどんどん進化していきます。他にも、スマートフォンで詳細な設定ができたり、遠隔操作ができたり、こちらの好みを学習するなど、メリットがたくさんあります。
いち早くスマート家電に取り組んできたシャープは家電が連携
シャープ 冷蔵庫「SJ-GA55E」
シャープはいち早くスマート家電に取り組んでおり、さまざまな家電がインターネットに接続できます。単体だけでなく家電同士の連携も始まっています。エアコン、空気清浄機、ホットクック(自動調理鍋)、冷蔵庫など。それらがすべて連携するわけではありませんが、例えば空調製品のエアコンと空気清浄機、調理家電のホットクックと冷蔵庫が連携することでより使いやすくなっています。
特に使いやすいのが冷蔵庫。扉にスマートフォンサイズの液晶ディスプレイが搭載されています。無線LAN経由でクラウドサービス『COCORO KITCHEN』に接続し、献立の検索・提案などのさまざまな情報を音声や画面で案内してくれます。使うほどに家族の嗜好や利用状況を学習し、よりユーザーにぴったりの情報を提案してくれます。どんどん賢くなるので、レシピなども探しやすいと評判です。
また、ホットクックの操作も冷蔵庫から行えます。家電によって操作方法も変わるので、操作を覚えるのが面倒ですが、ホットクックに材料を入れておけば冷蔵庫で操作してスタートボタンを押すだけ。冷蔵庫の液晶のほうが操作しやすく、材料を確認しやすいので連動していると便利です。
エアコンや空気清浄機は、クラウドの人工知能が普段の使い方を学習し、住んでいる地域の空気の情報まで分析して最適な空気環境を作ってくれます。例えば帰宅などの生活パターンを学習するので、帰宅時間間近になるとスマートフォンに「エアコン運転のおすすめ」通知が届くのです。事前に運転を開始しておけば、適温の部屋に入ることができますよ。
このようにスマート家電であればユーザーに合わせて家電が先回りし、運転開始などを提案してくれたりもするのです。
エラーや終了の通知が受け取れるパナソニックのドラム式洗濯機
パナソニック ドラム式洗濯機「VX9900」
パナソニックの縦型洗濯機VX9900はスマートフォンでの操作が充実しています。「スマホで洗濯」アプリを使ったスマートフォンからの操作で、洗濯物を入れて遠隔ボタンを押しておけば、外出先からも洗濯の操作ができます。帰宅時間や予定に合わせて洗濯から乾燥までできるので、洗濯のし忘れや待ち時間を減らせますよ。帰宅したら取り出してたたむだけ。
意外と便利なのが洗濯時のステータスをスマートフォンで確認できること。終了時刻が近づいたときやエラーが出たときに、プッシュ通知を受け取ることも可能です。エラーが出ているのに気がつかなかった……ということも防ぐことができますね。VX9900は自動投入タンクを搭載しており、液体洗剤と柔軟剤を丸ごと入れてしまえば自動投入してくれますが、洗剤・柔軟剤が少なくなったときも通知してくれます。いざ洗濯をしようとしたら洗剤がなくて慌ててしまうということもありません。
スマートフォンで操作や通知を受け取れるようになると、無駄な時間を減らすことができますよ。一度使うと手放せなくなる便利さです。
空気の状況を可視化できるダイソンの空気清浄機能付きファンヒーター
ダイソン「Dyson Pure Hot+Cool Link」
空気は見えないため、途中で空気清浄機を使わなくなってしまうご家庭も少なくなかったのですが、スマート化することによって改善されています。空気を可視化すると、部屋の中の汚染状況がすぐにわかります。汚れていたら、やはり空気清浄機をつけたくなりますよね。Dyson Linkアプリをスマートフォンにインストールすると、室内だけでなく室外の状況までわかるようになります。PM2.5や黄砂、花粉などの状況もすぐにわかるので安心ですね。
中でもDyson Pure Hot+Cool Linkは人気です。高密度HEPAフィルターを搭載しており、PM 0.1レベルの微細な粒子を除去できます。空気清浄機能だけで、扇風機にもファンヒーターにもなるため、一年中出しっぱなしにして使えますよ。また、室内や屋外の空気の状態や温度、湿度が一目でわかるうえ、フィルター寿命などの通知まで行ってくれます。「空気清浄機を使ってもいまいちキレイになった実感がわかない」という方は、こういった空気清浄機がぴったりです。
計測項目数は26項目。スマートフォンと連携するタニタの体組成計
タニタ「インナースキャンデュアル RD-800」
体組成計もスマートフォンと連携することで、劇的に使いやすくなっています。医療現場で培ったテクノロジーを取り入れ、超高精度計測を実現したタニタのデュアルタイプ体組成計「インナースキャンデュアル RD-800」をご紹介しましょう。家庭用としては世界で初めて、全身だけではなく部位(右腕・左腕・右脚・左脚)ごとの筋肉の質(筋質)を評価できるようになりました。本体だけではここまで細かく情報を管理するのは難しいですが、BluetoothでiPhone・Android端末にデータを転送し、対応アプリ「ヘルスプラネット」でユーザーに合わせた高度な管理をすることができます。
しっかり体を管理したいアスリートもそうですが、ふだんから自分の体を知っておきたい、目標をもってきちんと活動したいという方にぴったりです。筋質点数、筋肉スコアなどもスマートフォンで確認できるので、運動のモチベーションがアップしますよ。
スマート家電を活用すれば時短につながる
スマート家電は家電の使い方がわからないときやエラー表示が出たときも安心です。取扱説明書やエラー内容をスマホでいつでもどこでも簡単に確認することができますから、何かあったときに取扱説明書を探す必要もありません。日々の生活の時短にもつながり、問題を迅速に解決できるのが嬉しいですね。
価格は少し高めですが、操作が簡単で長く快適に使い続けられます。便利になり、ソフトウエアのアップデートによって性能アップも期待できるスマート家電。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
家電プロレビュアー/石井和美
(最終更新日:2019.10.05)