忙しい共働き夫婦の家事を支えてくれる時短家電。今、ロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機が、家電の「新・三種の神器」と呼ばれ、これらは時短家電の代名詞となっています。今回はその中からロボット掃除機に注目! その最前線についてレポートします。
日本でロボット掃除機が欧米並みに普及が進まない理由とは?
「ロボット掃除機を一家に1台、が当社のスローガン。さらなる普及拡大を目指していきます」
こう話すのはアイロボットジャパン合同会社マーケティング本部コミュニケーションマネージャーの村田佳代さん。「ルンバ」を擁するアイロボットは、ロボット掃除機の国内シェアの約60%を占め、国内累計出荷台数も2018年9月末までに300万台を突破。順調に数字を伸ばしてきました。しかし、ロボット掃除機の普及率を見ると、欧米の15%に対し、日本はたったの4.5%という現状。欧米と比べて、日本でロボット掃除機の普及が進まない理由はどこにあるのでしょうか。
【1】価格が高い
【2】従来の掃除機で充分、ロボットを使うのは気が引ける
【3】自分でやったほうがいい(ロボット掃除機を信用していない)
この三つが大きな要因として考えられる、と同社では分析しています。
事実10万円を超える高額製品も多く、確かにロボット掃除機は高価というイメージがあります。そこで、アイロボットは「ルンバ℮5」(ダスト容器を水洗い機能も付いた、ルンバ史上最高の価格性能バランスを実現した戦略モデル)を5万3870円(税込み・アイロボットストア価格)で販売。さらに一家に1台を推し進めるため、2018年夏に発売された「ルンバ643」も企業努力によって3万2270円(税込み)と、以前よりも約1万円もリーズナブルな価格設定にしました。ロボット掃除機は高価といったイメージを払拭し、ニーズに合わせた価格帯の販売によって、2023年までに日本での世帯普及率10%を目指しているそうです。
「ルンバ」は時短家電ではなく、時“産”家電
特に専業主婦はロボット掃除機を使いたいと思っていても、例えば姑の目が気になってしまい、購入を躊躇してしまう、というケースがあるようです。ロボット掃除機を使うことは家事の手を抜いていると思われるのではないかと不安になるのです。こうした日本人のマインドも変えていきたい、と村田さんはいいます。
村田さん:
「ルンバ」が人に代わって掃除をしてくれたら、そのことによって自由な時間が年間144時間もつくれます(※)。それは毎朝24分も、長く寝られる計算になります。もちろん、その時間で料理をしてもいいし、ほかの別の何かに時間が費やせます。「ルンバ」は単に時間を短縮してくれるのでなく、豊かな時間をつくってくれるのです。私たちは「時短」ではなく、時「産」という考え方を広めていきたいです。
※同社試算による
実は床拭きはとても大事? 床拭きロボット「ブラーバ」
アイロボットには「ルンバ」のほかに床拭きロボット「ブラーバ」もあります。専用のパッドをつけることで乾拭きから水拭きまでやってくれるロボットです。
家の中も土足で入ることが基本の欧米には床拭きの概念はありませんが、日本やアジアの国々では裸足でフローリングを歩く文化があります。小さなお子さんがいる家庭は特に花粉やホコリ、雑菌などは気になるところです。
村田さん:
たとえば花粉などは粒子が粗く、空気よりも重いため床に溜まりやすい。空気清浄機を使っていたとしても、床に付着してしまうものです。そこで、私たちは毎日「ルンバ」、週1の「ブラーバ」の使用を推奨しています。人の手でやるよりも本当にキレイになります。人は気になるところしか掃除しませんが、「ルンバ」と「ブラーバ」は、隅々まで抜かりなく掃除します。
「ブラーバ」は、「ルンバ」ユーザーの約3割が所有しており、併用しているそうです。また「ルンバ」や「ブラーバ」が掃除できるように、普段から自らが整理整頓する習慣がつくといった相乗効果もあるようです。
実際に「ルンバ」と「ブラーバ」で掃除を試す
実際に「ルンバ」と「ブラーバ」に掃除をしてもらいました。
まずは「ルンバ」。壁に沿って、一筆書きのように真っ直ぐ進んで行きます。壁や障害物にあたると方向転換し、部屋の隅々まで丁寧に清掃します。
動作音は一般的な掃除機を使用した時にとあまり変わらないの大きさ。日中に使用する事が中心であれば、動作音を気にならないレベル。とはいえ、早朝や深夜といった時間の使用にはご近所への影響に注意が必要かもしれません。
また、単に「高いほうがいい」「安ければいい」といった風に値段で選ぶのではなく、部屋の広さや家族構成、ペットがいるかどうかなどで、自分の家に合った性能を持ったものを選ぶことが大切です。
続いては「ブラーバ」。試した部屋の床はカーペットなので、テーブル上で使用してみました。こちらの動作音はとても静か。乳児が寝ている間に、ちょっとした床汚れを拭く場合にも使用できるほどです。「ブラーバ」は前進と後進を繰り返します。カーテンなどに水をかけてしまわないよう、一歩前に出て障害物が何もないかを確認してから水を撒いていくのです。また「ルンバ」と比べるとバッテリーも小さく、「ブラーバ」の稼動域はそんなに広くはありません。だから今日はキッチンだけ、今回はバスルームだけなど、使用する場所を区切って使用したほうが良さそうです。
「ルンバ」も「ブラーバ」も動いている姿が健気でかわいらしい印象。愛着を持って名前や愛称をつけている人が多いというのもうなずけます。万が一故障しても新しい製品に買い替えるのではなく、修理してまた使いたいという声も多いのだとか。単なる家電ではなく、ペットや家族に近い存在なのかもしれません。
掃除の常識を変えるロボット掃除機とは!?
さらに2月にアイロボットジャパンはルンバの新機種「ルンバi7」「ルンバi7+」を発表。これは「掃除の常識を変える」画期的な製品なのです。
「ルンバ」初の間取り学習機能「Imprintスマートマッピング」を搭載
搭載した高性能センサーで「ルンバ」が部屋の状況を学習して記憶。的確に部屋から部屋へと移動し、清掃します。1階2階の区別だけでなく、最大10の異なる間取りを記憶できます。また部屋をキッチンやリビングなど、それぞれ名前をつけて管理できるので、たとえば曜日ごとに清掃する部屋や時間の設定など、清掃スケジュールを自在にコントロールすることが可能です。
クリーンベースと合わせれば、掃除ロボットはより便利に
「ルンバi7+」は掃除が完了すると、ダスト容器のゴミをクリーンベース内の密封型紙パックに自動で排出します。集めたゴミは紙パックごとそのまま捨てられるので、手は汚さず、そしてホコリが舞うこともありません。しかも紙パックには「ルンバ」のダスト容器30杯分のゴミが入るので、間取りやゴミの多さにもよりますが、数週間以上、場合によっては半年以上、掃除のことを気にかける必要がなくなります。
村田さん:
掃除の常識を変える、とは掃除のことをまったく考えなくていい、という意味でもあります。外出中に「ルンバ」や「ブラーバ」が掃除してくれていて、帰ってきたら家の中がキレイになっている、さらには面倒なゴミ捨ても不要。煩わしい掃除のことを一切考えさせない、それが、私たちが思い描いている将来のお掃除の形です。
「ルンバ」の未来像
アイロボットのCEOで創設者のコリン・アングルさんは、こう述べています。「ロボットの可能性はもはや家の掃除にとどまりません。家の間取りや状況を把握してナビゲートしていく空間認識能力は、スマートホームには必要不可欠な要素であり、すでにアイロボットでは、ロボット本体とセンサーやデバイスがそれぞれ連携することで日々の生活ニーズに応え、快適な生活を送ることができるエコシステムの構築に取り組んでいます」。
「ルンバ」は単なる掃除をするロボットではなく、こうしたスマートホーム構想を実現するのに、大きな役割を担える存在になると考えているようです。今後「ルンバ」はどのような進化を遂げていくのでしょうか。これからの動向にも注目です!
問い合わせ/アイロボット
(最終更新日:2019.10.05)