子どもの学力低下や学級崩壊、不登校やいじめの問題など、学校教育の現場ではさまざまな課題が挙げられます。親としては、「子どもには良い環境で、のびのびと学んでほしい」と考えるもの。そこで、小学校受験をして私立小に入学させることを検討する家庭も増えているのではないでしょうか。
現状、子どもに小学校受験をさせるのが多いエリアは首都圏が中心となっています。また、大学までエスカレーター式で進学できる付属校もあるので、小学校受験をするメリットは十分あるといえるかもしれません。
しかし、私立小学校に入学させるとなると、それなりに教育費がかかってしまいます。入学させるまでの受験料や塾代なども含めると、家庭の負担はなかなか大きいものといえます。
実際、小学校受験のためにかかるお金は、一体どれぐらいなのでしょうか。受験料や学費の平均についてまとめました。
小学校受験をさせる家庭の世帯年収は?
文科省が発表している『平成28年度子供の学習費調査』(※)によると、私立小学校に通わせている世帯の収入は以下の通りに分布しています。
- 年収400万円未満 :3.3%
- 年収400万円~ :6.2%
- 年収600万円~ :13.1%
- 年収800万円~ :14.9%
- 年収1,000万円~ :15.6%
- 年収1,200万円以上 :46.9%
上記のデータからわかるように、子どもが私立小学校に通っている家庭の6割以上が年収1,000万円を超えています。入学してからも、学費や課外活動費をはじめとした出費が発生するため、ある程度収入に余裕がないと厳しいかもしれません。
とはいえ、最近では、共働きの家庭も少なくはありません。共働きでうまく家計をやりくりしながら通わせるケースもあるようです。とはいえ、私立小学校に入学したら、そのまま私立中学校へと上がっていくのが一般的なもの。私立を視野に入れている場合、子どもが小さいうちからお金のやりくりについて早めに考えておきたいところです。
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受験準備のための塾代と受験料は?
小学校受験での試験内容はご存知ですか?受験校によっても変わってきますが、主な試験内容としては、「筆記試験」「行動観察」「運動」「面接」などがあります。試験では、集団の中で周囲との関わり方を見られるので、家庭学習だけで対策することの難しさがあります。また、私立校の面接では、親子で受けることがほとんどです。そのため、親の面接対策なども必要になってきます。志望校の試験傾向やコツを知るためにも、塾に通わせて対策することが多いでしょう。
塾の月謝は「10~15万円」、模試代でも「1~2万円」程度かかることも少なくないよう。通う塾によって金額の違いはありますが、週2~3回ほどの通塾でしっかりと対策していくことを考えると、それなりの金額を想定しておいた方が安全です。
それでは、実際に受験する費用はどれくらいかかるのでしょうか。国立受験と私立受験の場合の両方を見ていきましょう。
- ・国立小学校:3,300円
- ・私立小学校:2~3万円
いずれも1校あたりの受験料となります。受験回数が多ければ、その分受験費用は増します。平均的には、3~4校受験する家庭が多いようです。
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入学後に支払う学費の目安
無事に合格し、私立小学校に進学した場合、どれくらいの学習費がかかるのでしょうか。学習費総額の平均は下記の通りになります。
合計:152万8,237円
- (内訳)
- 学校教育費 : 87万408円
- 学校給食費 : 4万4,807円
- 学校外活動費 : 61万3,022円
対して、公立小学校の学習費総額の平均は32万2,310円。比較すると、私立では公立のほぼ5倍の学習費がかかることがわかります。
さらに詳しい内訳をピックアップすると、大きく差があるのは授業料になります。公立小学校は0円ですが、私立小学校では約46万円かかります。ほかにも、質の高い教育を行うため、芸術文化活動やスポーツ・レクリエーション活動などにもお金をかける私立校が多く、金額に大きく影響が出るようです。
また、初年度は入学金がかかる上、制服や指定かばんの購入などの費用も。志望校に進学した際の費用は事前にしっかり調べておきましょう。
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それでも私立に入学させる利点とは
小学校受験は、入学するまでにも多くの準備とお金がかかります。それでも私立に入学させることの利点はなんでしょうか。そのひとつとして、私立は学校の校風があることが挙げられます。入学前にイメージがつきやすいのが特長でしょう。
実際に小学校受験をしたAさんファミリーにメリットを伺いました。
「子どもは少しおっとりしている性格なので、比較的自由なカラーの学校に通わせたいと考えていました。やはり、子どものタイプに合わせて進学先を選べるのがメリットです。入学してからも、公立よりは勉強面で大変だと感じる瞬間はありますが、楽しく学校に通っているので受験してよかったと思います」(Aさん)
卒業時の進学先や設備、学費など、親としては気になるポイントも多くありますが、子どもに合った学校選びができるというのは利点でしょう。
また、2年前に私立校を受験したBさんファミリーは、結果は不合格だったそうですが、受験したことによるメリットも大きく感じているそうです。
「受験の費用はかかりますが、小さいうちに勉強する習慣をつけることができたのは大きなメリットです。目標に向かって頑張るという経験ができたのは、子どもにとって将来的にも役立つことだと思います」(Bさん)
受験という経験を通して学ぶことも多くあります。たとえ受験で失敗したとしても、子どもにとって将来の糧になるでしょう。
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まとめ
今回紹介した費用は、あくまで一例です。小学校受験にかかる費用は、受験校や対策によって大きく異なります。また、受験にかかる費用だけでなく、本当にお金がかかるのは入学した後です。成績を落とさないため、学習塾に通わせる必要があるかもしれませんし、興味の幅が広がって習い事を増やすことも想定されます。小さなことでいえば、学校に行くまでの交通費も必要になってくるでしょう。
さらに、子どもが小学校に通っている間も、家庭内で起こるライフイベントは同時進行しています。新しい家族が生まれたり、マイホームを購入したりと、教育費以外にかかるお金が常にあることも忘れてはいけないポイントです。
今回は私立校を受験したケースを中心に紹介しましたが、国立校を受験する場合は費用や対策なども異なってきます。金銭的に国立を希望する家庭も少なくないでしょう。
また、東京都では、2022年に都立小中高一貫教育校を設置する予定となっています。これは全国の公立校で初めての試み。子どもの小学校受験を考えたとき、今後は公立校の選択肢も増えてくるかもしれません。
大切なことは、家計のバランスを考えながら子どもに合った学校選びをすること。小学校受験を検討するのであれば、現在と先々の収入を考えながらライフプランをしっかり見直し、親子できちんと話し合いながら決めることが大切ですね。
(最終更新日:2019.10.05)