一都三県の人口は年々微増しており、毎日多くの乗客が乗り降りしている首都圏の駅。混雑する駅といえば、オフィスが立ち並ぶエリアや住まいの人気が高い場所をイメージするかもしれません。駅周辺の開発や新しい列車の乗り入れなどによっても日々の乗客数は変化しています。今回は各駅の乗降客数のランキングを見ていきましょう。
※なお今回の集計では首都圏のすべての路線を網羅はしておりません、ご了承ください。
2位に「飛田給駅」が!?
各鉄道会社では、駅ごとの乗降客数の増減(前年比)を公表しています。2017年度のJR東日本、東京メトロ、京王電鉄の乗降客数の増加率が高かった駅をランキングにまとめてみました。
第2位「飛田給駅」(東京都調布市)
主要な駅が続く中、ひときわ目を引くのが第2位に位置している「飛田給駅」(東京都調布市)。飛田給駅は「味の素スタジアム前」が副駅名となっており、味の素スタジアムへは徒歩5分の距離にあります。サッカーをはじめ、フィギュアスケートの大会やコンサートが開催されるスタジアム。売上高は前年度と比較して40%増となっていますので、飛田給駅の乗降客数の増加にも影響があると考えられます。
第3位「新大久保駅」(東京都新宿区)
第3位には「新大久保駅」(東京都新宿区)がランクイン。新大久保駅といえば、コリアンタウンの印象が強いという人も多いのではないでしょうか。ここ最近、第三次韓流ブームの影響で、駅周辺は盛り上がりを見せています。第一次韓流ブームではドラマ『冬のソナタ』がきっかけとなり主婦層に支持されましたが、今回は女子高生が中心となってブームの火付け役に。駅に降り立つと、若者の姿を多く目にすることができます。ブーム再来で乗降客数が激増した新大久保駅。今後どのようになっていくかは、韓流ブームの動向によって大きく変わってきそうですね。
第1位「六本木一丁目駅」(東京都港区)
ちなみに今回のランキングでは唯一2桁の伸びを記録した第1位の「六本木一丁目駅」(東京都港区)。近年、駅に直通する大規模なビル・レジデンスが竣工、既存のビルも含めネット系ベンチャーが集まってきている事もあり、朝晩の通勤ラッシュはかなりの混雑になっています。
人気が高まる都心近郊エリア
都内の駅が上位に並ぶ中、第5位には「さいたま新都心駅」(埼玉県さいたま市大宮区)が登場。
もともとは2000年に街開きがされたエリア。当時の1日平均乗車人員は1万5千人程でしたが、2017年には約5万4千人に増加。さいたま新都心で大規模な開発が行われてきたのが、利用者数が増加している要因になっています。
さいたま新都心から東京駅までの乗車時間は30分程度。都心へのアクセスがよく、通勤に便利なことに加え、大型ショッピングモール「コクーンシティ」があるなどファミリー層が住みやすい場所になっています。また、駅に隣接するさいたまスーパーアリーナでは通年コンサートやイベントが開催されており、駅周辺は非常に賑わっています。
同じ埼玉県では第47位にランクインした「武蔵浦和駅」(埼玉県さいたま市南区)や第48位の「浦和駅」(埼玉県さいたま市大宮区)にも注目です。ともに東京駅までは30分前後の好立地で、各種商業施設や高層マンション・タワーマンションが立ち並ぶエリアとなっています。
千葉県からは「海浜幕張駅」(千葉県千葉市美浜区)が第43位にランクイン。3社合わせたランキングでは43位となっていますが、JR東日本の中では「新大久保駅」、「さいたま新都心駅」に次ぐ3番目の伸び率を記録しています。同駅はここ5年ほどで大幅に乗車人員数を増やしています。
2020年以降にかけ新たなマンション開発が複数進んでおり、勢いはまだまだ続きそうです。
駅周辺には大型イベント施設である「幕張メッセ」と「ZOZOマリンスタジアム」、「三井アウトレットパーク」や「イオンモール幕張新都心」などの大型商業施設、その他にオフィスビル、学校、ホテルが立ち並びます。
増加率に見られるように、近年は都心近郊エリアの人気が高まってきました。
一方、神奈川県で注目したいのは「武蔵小杉駅」(神奈川県川崎市中原区)。ランキング外ですが、前年比でこそ1.2%の伸び率である武蔵小杉駅は、10年前と比較するとその伸びは70.3%。元々は工場を多く有するエリアでしたが、現在では代わって高層マンション、オフィスビル、商業施設が建設され、住環境が整ったエリアへと変貌してきました。
乗り入れの路線はJR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線と多く、東京駅まで20分弱でアクセス可能。交通の便が非常にいいのも特徴です。乗降客数の伸び率を見るに、街の発展については一段落した感がありますが、人気はまだまだ続きそうです。
都心近郊で人気のある駅には
・都心へのアクセスがいい
・マイホームが比較的リーズナブルな価格帯で手に入る
・大型商業施設がある
・再開発されたため街並みがきれい
などのポイントが挙げられるでしょう。
都内では”城東エリア”にも注目が集まる
その他、注目したいのは、東京23区東部の人気が徐々に高まってきている点です。「足立区・荒川区・台東区・墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区」の7区で形成されている城東エリアは、下町情緒を感じさせるスポットでもあります。
近年では「都心へのアクセスがよく、リーズナブルな物件が手に入りやすい」穴場エリアが見直される傾向にあるようです。2012年に墨田区で開業された東京スカイツリーが地域を活性化させている一面もあるかもしれません。再開発が盛んに行われている23区城東エリアは、これからますます人気が高まりそうなエリアとなっています。
ランキングを見てみると、23区東部からは第11位「北綾瀬駅」(足立区)、第12位「三ノ輪駅」(台東区)、第19位「上野広小路駅」(台東区)、第24位「住吉駅」(江東区)、第27位「入谷駅」(台東区)、第28位「稲荷町駅」(台東区)、第42位「田原町駅」(台東区)がランクインしました。
同じ東京東部の「金町駅」(JR東日本・葛飾区)の乗降客数は前年比こそ1.5%の増加にとどまりましたが、金町は2012年から2017年にかけて乗降客数が一気に増えており、その間の増加率は15.3%となっています。
東京メトロが公表している2013年から2017年にかけての増加率のデータを見てみると、第11位の「北綾瀬駅」が19.3%、第12位の「三ノ輪駅」が13.1%、第19位の「上野広小路駅」が9.2%、第24位の「住吉駅」が18.7%、第27位の「入谷駅」が15.9%、第28位「稲荷町駅」が16.6%、第42位の「田原町駅」が15.4%となっており、いずれも高い伸び率を記録しています。
これらの数字からも23区城東エリアが注目されていることが、伺えるのではないでしょうか。23区東部は都心近郊エリアに比べて比較的最近人気が高まってきたエリアですので、今後もまだ発展していくことが予想されます。
まとめ
乗客数が増えている要因は、各駅によって様々です。乗降客数が増えているからといって一概に人気エリアとは言えないものの、何らかの文化や開発の影響が大きく見られます。
今回はJR東日本、東京メトロ、京王電鉄の3社の駅の中からランキングを50位にまで絞ってご紹介しました。東京オリンピックに向けて、ますます変貌を見せる首都圏エリア。今後はどの駅が躍進を見せるのか、その動向が気になりますね。
(最終更新日:2019.10.05)