まだ寒い日もありますが、3月になると園芸店などの店先には色とりどりの花の苗が並び始めます。本格的なガーデニングシーズンはすぐそこまでやってきているのです。ガーデニングといえば、戸建ての庭で行うものというイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、マンション暮らしであっても、ベランダのスペースを利用することによってガーデニングを楽しむことは可能です。ここでは、ベランダガーデニングを始める際に必要な基礎知識や注意点を紹介していきます。
ベランダガーデニングの始め方
ベランダでガーデニングを行う場合、スペースには限りがあります。しかし、プランターを使ったり、植木鉢を使ったりすることで、家庭菜園を始めることができます。野菜や果物のほか、花、多肉植物、観葉植物などを育てることもできます。地面から離れているベランダで行うガーデニングは、害虫が侵入しづらいというメリットもあります。ガーデニングを行うにあたり、害虫対策は避けて通れないものですが、地面に直接植え付ける戸建ての庭ほど心配しなくて済むでしょう。
まずはプランニングから始めよう
ベランダガーデニングで実際に植物を育てる前には、テイストについてプランを立ててみましょう。まずは実現したいイメージを考えたうえで、「イングリッシュガーデン」「カントリーテイスト」「アジアンテイスト」など、キーワードを決め、インターネットで検索してみましょう。ガーデニングの例を見ていくと、自分の思い描いたイメージに近いものが見つかるはずです。ベランダの面積や形状についても、ガーデニングの例を見ることで自分のマンションに近いものを見つけることができるでしょう。
また、ベランダの環境をチェックしておくことも大切です。日当たりの良さ、日の当たる時間の長さや時間帯、風の当たる強さなど、環境によって育てやすい植物も変わってきます。しかし、環境だけを基準にして植物を選んででも楽しくありません。植物を選ぶにあたっては、どんな植物を育てると生活が楽しくなるかを考えることも大切です。
植物を選んだら、具体的にレイアウトについて考えていきます。プランターや鉢をいくつ並べるか、それぞれをどんな大きさにするか、棚や台を使って鉢を設置するかなど、植物の種類やベランダの形状に合わせて自分だけの空間を考えていきましょう。
ガーデニング用品を揃えよう
具体的にプランニングできたら、ガーデニングに必要となるモノを揃えていきます。イメージしたテイストとレイアウトに合わせて、鉢やプランターに加え、棚や台・すのこなども活用するとステキなベランダを演出できるでしょう。棚や台を設置することは、鉢やプランターを置くためのスペースが増えるという意味でも効果的です。
また、植物の種や苗、園芸用土のほか、植物の成長に欠かせない培養土や肥料、日常の手入れに必要なじょうろや植え付け用品も揃える必要があります。ハサミや軍手、園芸用の手袋があれば、手入れの際に汚れを気にする心配を少なくすることができます。手入れを行うとどうしても土がこぼれることがあるので、あらかじめビニールシートを敷いておくか、ほうきやちり取りを用意しておくとよいでしょう。
初心者でも育てやすい植物は?
ガーデニング初心者であれば特に、植物を枯らしてしまうかもしれないという心配はあるでしょう。最初から育てることの難しい植物に手を出さずに、まずは育てやすいものから始めることがおすすめです。子どもがいる場合は、子どもと一緒に育てていくのも楽しいでしょう。植物の成長を見守ることや、花や香りを楽しむこと、収穫した野菜や果物を食べることなど、目的に合ったものを探してみましょう。
野菜
ミニトマトやサニーレタス、ナス、きゅうりなどが育てやすいものとして挙げられます。これらは、早く成長して短期間で収穫できることも魅力です。
ハーブ
ミントやバジル、ローズマリーやパセリ、シソなどが育てやすいでしょう。香りが楽しめるうえに料理にも使えるバジルは生命力も高く、次々に収穫できます。
観葉植物・花など
ドラセナやアイビーなどがおすすめです。パンジーやペチュニア、ネモフィラなども長い期間花を咲かせてくれます。多肉植物は、セダムやハオルチアなどが育てやすいです。また、フルーツに挑戦してみるのもよいでしょう。ブルーベリーは半日陰でも育つうえに害虫の心配が少なく、花と果実の両方を楽しむことができます。
ベランダガーデニングを始めるときの注意点
マンションのベランダは共用部であり、災害時などに避難経路として利用されます。しかし、ルールをしっかりと把握して守っておけば、通常時にはベランダガーデニングをある程度自由に楽しむことができます。周囲に「迷惑を掛けずにベランダガーデニングを楽しむためにも、始める前に注意点をしっかりと確認しておくようにしましょう。
1.土の取り扱いに注意する
本来楽しく行うべきであるベランダガーデニングですが、やり方によっては、ほかの居住者や住民に迷惑をかけてしまう危険性もあります。まずは、土の扱いについてです。鉢植えやプランターなどの植物は、定期的に植え替えが必要となります。その際に土の入れ替えも行うことになり、大量の土が廃棄物として発生します。その廃土をベランダの排水溝に流してしまうと、排水溝が詰まって大規模な修理が必要となってしまうケースもあるのです。そのため、廃土はきちんとした手段で廃棄しなければなりません。
家庭から出た園芸用の土はゴミとして出せない自治体が多いため、まずは住んでいる市区町村のホームページなどで確認してみてください。ゴミとして処分できない場合は、園芸店やホームセンターなどで不要になった土を回収している場合があるので、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
2.手すりに鉢やプランターを置かない
また、手すりの部分に鉢やプランターを置いたり、ハンギングバスケットなどを掛けないようにする配慮も必要です。ベランダから鉢などが落下してしまうと、大変危険です。そのほか、台風の接近などの状況に応じて、植物を室内に入れるか、飛ばされないように確実に固定するなどの処置ができるようにしておきましょう。
3.避難ルートをふさがない
そして、災害時などに使用する避難ルートをふさがないようにも注意しなければなりません。隣の部屋との仕切りパネル付近や階下への避難で使用する避難ハッチ上などにも、簡単に移動できないものを置かないように日頃から心がけておくことが肝心です。ベランダは共用部分ですので、マンションの管理規約を確認し、しっかり守りましょう。
4.ベランダの耐荷重に気をつける
ベランダには重量制限があり、建築基準法では1平方メートルあたり1800N(約180キログラム)とされています。この重量制限は、ベランダを普通に使用するだけであれば問題はありません。しかし、ベランダでガーデニングを行う場合には、総重量が想像以上に重くなってしまうケースもあるので注意が必要です。
大きな観葉植物を育てている場合、土だけでも20キログラム近くになり、水やりや鉢の重さなども含めると30キログラムほどになるケースもあります。また、庭に敷くレンガを使用した場合では、1個あたりが約2.5kgの重さになり、一畳分のスペースに敷き詰めてしまうと総重量は200キログラムにもなってしまうのです。ベランダガーデニング用に軽量化が図られたレンガや土も販売されているため、対策として購入を検討してみるのもよいでしょう。
緑のある暮らしを楽しもう
マンションでのベランダガーデニングは、日常生活に潤いを与えてくれます。植物の成長を見守り、花の観察や野菜などの収穫を行うこともできます。また、花が咲く時期や実のつく時期などによって、季節の移り変わりを体感することもできるでしょう。緑のある心豊かな暮らしを楽しむためには、マンションの管理規約をしっかりと把握し、マナーを守ることも大切なことです。その上で、自分や家族だけの理想のレイアウトを作り、ベランダガーデニングを楽しみましょう。
(最終更新日:2020.12.18)