卒業・入学・進級など、子どもにもさまざまな転機が訪れる春。新たに学習環境を整えようと考えている家庭も多いのではないでしょうか。ここ最近、子ども部屋に学習机を設置するのではなく、家族が集まるリビングやダイニングで宿題などを行う「リビング学習」が注目を集めています。ここでは、「リビング学習」のメリットや導入にあたっての注意点を紹介します。
東大生の学習方法として注目を浴びた勉強法
東京大学(東大)へ子どもを合格させた家庭の育児法は、本として出版されるなど昔から非常に高い注目を集めています。こうしたノウハウの中でよく語られるのが、「子どもがリビングで勉強していた」ということです。
このように、普段は食事をするテーブルなどで教科書を開くというスタイルは、「リビング学習」と呼ばれるようになりました。家族が集まるリビングやダイニングで宿題などを行うことは、脳科学者の瀧靖之・東北大学教授が監修した「東大脳の育て方」にも勉強へのハードルを下げ、勉強嫌いにさせない効果があると書かれています。
このことがテレビなどで紹介されると、子ども部屋の学習机で勉強することが当たり前だった親たちに衝撃が走り、リビング学習を取り入れる家庭が増えています。
リビング学習のメリット
東大だけでなく、難関大学を卒業した人たちに話を聞くと、やはりこのリビング学習をしていたという人が目立ちました。親からそう指導されたわけではなく、「なんとなく勉強しやすいから」という漠然とした理由で行っていたようです。
その結果として成績が上がったわけですが、改めて考えると「部屋よりも落ち着く」、「雑音があったほうが集中しやすい」といった声も聞かれます。
一方、いわゆる“勉強のできる子”にわが子を育てた母親たちにもヒアリングすると、「家事をしながら子どもが勉強している姿をチェックできる」、「難しい問題などにつまずいたときに教えやすい」といったリビング学習のメリットが挙げられました。
また、子どもがいま、学校でどのようなことを教わっているのか把握できるという長所も。コミュニケーションの一助にもなり、子どもとの会話が増えた家庭もありました。
リビング学習のデメリット・注意点
これだけ読めば、リビングで勉強するだけで成績が上がり、いいことずくめと思えるかもしれません。しかし、当然ながらデメリットや注意点も存在。いくつか紹介します。
・リビングにモノが散らかりやすくなる
子ども部屋から勉強道具を持ち込んだままになったり、消しゴムや鉛筆のカスなどがテーブルに散乱し、食事の用意の前に掃除の手間が増えてしまうことも。これを防ぐには、片づける習慣も身に付けさせるとよいでしょう。整理整頓や掃除をすることも覚えられて一石二鳥です。
・子どものタイプによっては集中できないことがある
集中力についても個人差があるため、必ずしも高まるとは限りません。静かな環境でないと集中できないタイプもいますし、テレビなどの誘惑に負けてしまうことも考えられます。子どもによっては勉強に不向きな場合もあるため、見極めが必要です。
・姿勢が悪くなる可能性がある
たとえば、こたつでは姿勢が崩れがちですし、ダイニングテーブルで高さが合わないイスを使用すると、足が床に着かず不安定になってしまいます。子ども用のイス、座椅子やクッション、踏み台などのアイテムを使い、子どもが良い姿勢を保ちやすくなる工夫をしましょう。
・照明の明るさが適切でないことがある
照明にも注意が必要です。リビングの照明は食事をするには十分な明るさでも、勉強するには暗く感じることも。そのまま読書や勉強を続けると視力にも影響する恐れがあるので、スタンドで補助するなどして明るさの調整も行う必要があります。
まとめ
勉強だけがすべてではありませんが、成績がよいほど人生の選択肢が増えることも多いのが現状。わが子の成績をいかにアップさせるか、真剣に考えている親は少なくありません。そんなときに効果的な学習法を知ると取り入れたくなるものですが、すべての子どもに役立つとは限らないものです。
また、効率よく学習するには、「勉強したい」という気持ちを盛り上げてあげることも大切。目先のノウハウだけをチェックするのではなく、総合的に勉強しやすい環境を作ってあげられるといいですね。
(最終更新日:2019.10.05)