土地を売却するとなると、一般の人には分からない専門知識が必要となる場合が少なくありません。簡単な売却の流れを理解し、スケジュールを決めておくことをおすすめします。本記事では不動産売却の流れを紹介していきます。
一般的な売却の流れ
【1】売却の相談
不動産会社へ行き、売却の条件を話します。売却時の諸経費についても聞いておきます。売却の希望価格がある場合は伝えます。登記簿謄本と建物図面、購入したときの売買契約書、固定資産税の額が分かるものを持参すると話が進みやすいです。
不動産会社は、売却価格の査定をするために、物件の調査を行います。建物がある場合は、過去に雨漏りやシロアリ被害があったか、給湯などの設備に不具合があったかを報告して下さい。土地の場合も同様です。埋蔵物があるなど、思い当たることは不動会社に話をしましょう。人が亡くなっている場合も報告して下さい。嘘をついてしまうとトラブルになり、損害賠償請求を起こされてしまうこともあります。
【2】媒介契約の締結
売却を決断したら、媒介契約を締結します。媒介契約には専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。これらは、売主を探す過程に違いがあります。また、販売活動の報告義務が決められているものもあります。どの媒介契約が適しているのかを相談しながら決定します。
【3】売買契約の締結
買い主が見つかり、納得ゆく価格で売却が決まったら、不動産業者立会いのもと、契約を行います。宅地建物取引主任者が重要事項の説明を行い、契約書への署名・捺印、手付金を受け取ります。この時点で、建物またはその一部を修理して引き渡す、建物を売り主または買い主の費用負担で壊して引き渡す、などの詳細条件が確定しています。
【4】残代金授受と引渡し
物件の最終確認を行い、残代金の授受、物件の引渡しとなります。一般的には銀行へ行って売り、売り主の指定する口座へ送金します。着金確認ができたら、マンションや一戸建ての場合は、鍵を買い主に渡します。これで引き渡しが成立します。
売却時にかかる費用
不動産を売る側も、税金や諸費用がかかります。4つの費用について詳しく見ていきましょう。
不動産を売却したときにかかる費用
媒介契約を結んだ仲介業者に対して、成功報酬として仲介手数料を支払います。報酬には上限があります。売買金額が200万円以下なら売買価格×5%×消費税、200万円~400万円なら売買価格×4%+2万×消費税、400万円~なら売買価格×3%+6万×消費税と決められています。
契約時にかかる費用
売買契約書に貼るための印紙代がかかります。売買金額によって収入印紙代も変わります 。軽減特例適用の場合、100万円超500万円以下は1,000円。500万円超1,000万円以下は5,000円。1,000万円超5,000万円以下は1万円、5,000万円超1億円以下は3万円 です。
引き渡しまでにかかる費用
金融機関に設定されている抵当権は、司法書士に頼んで引き渡しまでに抹消します。一般的に司法書士へ支払う費用は、報酬が5,000円~1万円前後、それに登録免許税が加算されます。
敷地の境界線がはっきりしていない場合は、測量を行ないます。隣り合っている敷地が多いほど測量代は高くなり、相場はありませんが、一般住宅(土地面積が30~100坪程度)なら30~80万円くらいです。費用は土地の筆の数で決まります。
売却後にかかる費用
物件の売却により利益が出た時は、譲渡所得税と住民税、固定資産税(都市計画税)を納めます。所得税は2月16日~3月15日に申告し、住民税は6月、8月、10月、1月などの年4期のいずれかになります。長期譲渡所得は、課税長期譲渡所得金額×15%+住民税率5%、短期譲渡所得は課税短期譲渡所得金額×30%+住民税率9%(別途、復興特別所得税あり)。この金額を納税します。
その他 、処分費や各種証明書の発行費、不要品の処分費用、引っ越し費用、証明書類取得費用などがあります。
相続不動産を売る場合や、ローン残債がある物件の売却
相続した不動産売却を行う際は、遺産分割協議を行い、名義変更することが媒介契約を結ぶ前に必要です。相続税を支払った場合には、譲渡所得税を軽減できる特例があります。相続税申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合に限り、相続税の一定額を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」が認められていますので、覚えておきましょう。
ローン残債がある物件を売却する場合は、売買金額が住宅ローンの残債を上回れば、問題ありません。残債を下回ってしまった場合は、自己資金で補い完済するか、条件を満たした場合に限り「任意売却」する方法があります。
不動産の売却は、様々な要素が重なりあっているため、非常に複雑です。不動産会社に相談するのはもちろんですが、税金面で困ったら税理士に、権利の関係で困ったら司法書士にと、複数の専門家に相談することが賢明でしょう。
(最終更新日:2019.10.05)