マンションでよくある4つの住民トラブル。その原因と対処法は?

マンションは多くの人が暮らしている場所です。このため、考え方の違いやマナー違反による“住民トラブル”が起きてしまうこともあります。快適な暮らしを送るためには、事前に起こりやすいトラブルを把握し、普段から気を付けておくことが大切です。マンションで見られる代表的なトラブルの内容などについて解説します。

他人事ではない? 意外に多いマンションの住民トラブル

世代や家族構成、育った環境などが異なる多くの人が暮らす集合住宅では、住民同士の間でトラブルが起きることもあります。こうしたトラブルの内容はさまざまですが、特に多いのが住民のマナー違反によるものです。

国土交通省が発表している「平成25年度マンション総合調査結果」によると、管理組合が把握するマンショントラブルのうち半数以上の55.9%が「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」となっています。

トラブル理由の多くは価値観やボーダーラインが異なるため

マナーに関するトラブルが起きやすい理由の一つは、常識か非常識かを区別するボーダーラインや価値観が人により異なっているためです。本人にとっては悪意のない行動でも、別の人から見るとマナー違反と受け取られてしまう場合もあります。なかには、相手を不快に思わせるだけにとどまらず、トラブルが大ごととなって訴訟にまで発展してしまうケースもあります。

マンションで快適な生活を続けていくためには、そもそもトラブルが起きないように未然に防ぐ行動を取ることが重要となります。日頃からほかの居住者の立場も配慮したマナーある行動を取るように気を付けましょう。さらに、トラブルが起きてしまった際にも、穏便に事をおさめるように心がけたいものです。

特に多いトラブルの原因とは?

住民トラブルの原因となるのは、毎日の生活習慣となっているような日常の行動です。ここからは、特に多く見られるトラブルの内容と、トラブルを引き起こす原因について解説します。

すでにマンションでの生活を始めている人は、これを機にあらためて自分の生活のなかにマナー違反となっているような行動がないか見直してみるとよいでしょう。また、これからマンション生活をスタートする予定の人は、トラブルを未然に防ぐためにも、原因となるような行動のポイントをしっかりと心に留めておくようにしましょう。

1.ペット飼育に関するトラブル

ペットは家族の一員ですが、ペット嫌いの人もいることも忘れてはなりません

かつては、集合住宅でペットが飼えないというのが一般的でした。しかし、ペットと暮らしたいという数多くのニーズやペットの飼育環境の変化などからペット飼育を受け入れる集合住宅も多く見られるようになっています。なかには、ペットとの共生を前提に設計されたマンションなどもあるほどです。

しかし、いわゆる「ペット可」と謳う集合住宅であっても、ペットを飼育していない人が同じ建物内に暮らしている場合がほとんどです。

ペットを飼っている人と飼っていない人とではペット共生の理解にズレが生じやすいものです。ペットの飼育マナーやエチケットが原因で起きるトラブルも少なくないため、ペットを飼っている人は飼っていない人に対して配慮を持った行動を取るように気を付けなければいけません。

たとえば、ペットの鳴き声や臭いなどについて、飼っている人なら気にならないものであっても、飼っていない人にとっては気になってしまうことがあります。

また、階下や隣に暮らす人がいる場合には、室内でペットが走り回る騒音や、ペットの毛がついた布団などのベランダ干しについても注意が必要です。さらに、共用部分での排便や排尿、ほかの住民への飛びつきなどを防ぐことは基本のマナーとなります。

2.生活音に関するトラブル

人によって感じ方に違いが出やすい生活音は、マナー違反のなかでも特にトラブルにつながりやすい原因となっています。国土交通省の「平成25年度マンション総合調査結果」でも、「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」のなかで、生活音は最も多いマンショントラブルの内容となっています。

騒ぎ声や演奏の音などは近隣への配慮を

生活音とは具体的には、子どもの騒ぎ声や楽器の演奏の音など。特に、深夜や早朝など、一般的に静かに過ごす時間帯の音は気になりやすくなります。生活音によるトラブルを防ぐためには、日頃から、廊下を走らないようにしたり、大きな声を出さないようにしたりする心がけが必要です。また、深夜や早朝に大きな音を出さないように配慮することも大切です。

小さい子どもがいる家庭であれば、子どもの泣き声を完全に止めることは難しいため、近隣の住人への理解を深めるために普段からしっかりと、ご近所とのコミュニケーションを取っておくようにしましょう。

3.共用部の使い方に関するトラブル

住民トラブルには、共用部分の使い方が原因で起きるトラブルもあります。たとえば、玄関前に自転車やベビーカーなどを置くことがほかの住民の通行の邪魔となり、不満を抱かせてしまうケースなどがあります。また、廊下やバルコニーなどで喫煙をし、タバコの煙や臭いがほかの居住者の室内に侵入しトラブルとなってしまう場合もあるでしょう。

バルコニーは共用部のため要注意

共有部分のトラブルについて、特に注意しておくべきポイントがバルコニーです。自分の部屋の玄関に入るとプライベートなスペースになると考える人も少なくありませんが、規約上はバルコニーは共用部分であることを理解しておきましょう。基本的には、バルコニーは居住する人が独占して使用できる専用使用権を持った部分ではあります。しかし、緊急時には避難通路としてほかの居住者と共有使用することもある場所です。バルコニーに大きな荷物を置いておくと、いざというときの避難経路を妨げる障害物となってしまうこともあるため気を付けなければいけません。

排水溝のつまりのケアも

加えて、排水溝のつまりもトラブルの原因となります。集合住宅ではバルコニーの排水溝が各住戸に設置されていないこともあり、共有排水溝である場合には一戸の排水溝のつまりが複数の住戸に影響を与える可能性もあるからです。庭のない集合住宅では、バルコニーでガーデニングを楽しんでいる人もいることでしょう。ただし、楽しむ際には土などの処理に十分配慮しなければいけません。また、つまりが生じなくても、子どものプールの水を一気に排水するなどすれば水があふれてしまう可能性もあります。

バルコニーでは水の処理についても下の階の居住者に迷惑をかけないように十分に気を付けることが大切です。

4.駐車違反に関するトラブル

国土交通省の「平成25年度マンション総合調査結果」の「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」で生活音に続いて多く見られるトラブル原因が駐車違反です。集合住宅の駐車場では、車は居住者ごとに決められているスペースにきちんと停めることが当然のルールです。しかし、なかには、来訪者用のスペースを居住者が利用してクレームが発生するケースもあります。さらに、居住者自身はルールを守っていても、居住者への来訪者が勝手に住人用の駐車場に車を停めてトラブルになってしまう場合もあるのです。

来訪者の駐車マナーが不満につながりやすい

また、来訪者が専用スペースを利用していても、長時間利用することでトラブルが発生するケースもあります。来訪者用の駐車スペースは一定の数しか用意されていないため、数時間内の利用に留めることが暗黙のルールであり、お互いの気遣いとなるからです。特定の居住者の来客が長時間使用するとほかの居住者の来客が使うスペースが少なくなるため、不満につながりやすくなります。駐車場においても常識内でマナーを守って利用しなければクレームになる可能性があるため注意しましょう。

もしトラブルに巻き込まれてしまったら?

トラブルが発生したら、まずは落ち着いて第三者への相談を

最低限のマナーやマンションの管理規約を守ることは当然のルールですが、自分の側ではきちんと守っていても、ほかの居住者がルール違反をしてしまうこともあります。自分や家族がトラブルの被害者となってしまった場合には、すぐに加害者に直接クレームを言うのではなく、まずは管理組合や管理会社に相談しましょう。

トラブル対処は第三者に入ってもらうのが得策

多くの人が生活するマンションの管理組合や管理会社では、さまざまなトラブルに対処した経験を持っていることが多いため、適切な解決策を導いてくれることもあります。また、第三者に間に入ってもらったほうが、角が立たずにトラブルが解決できる可能性も高いでしょう。

せめて加害者にならないよう配慮を

長く暮らすマンション生活をできる限り心地よく過ごすためにも、住民トラブルにはなるべく巻き込まれたくないですね。せっかく満足できるマイホームを手に入れることができても、住民トラブルが発生すると住み心地が悪く感じてしまいます。少しでも快適な暮らしを維持するためにも、せめて加害者にならないようにマナーを守った生活をするように心がけるようにしましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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