マンション暮らしをしていると、宿泊を伴う来客があるときに泊められる部屋やスペースが確保できない場合があります。そんなときに、マンションの共用施設としてゲストルームがあれば便利です。この記事では、ゲストルームのあるマンションに住むことのメリットや利用するうえでの注意点、借りるために必要な手順などについて解説します。
ゲストルームとはどんな施設?
自宅マンションに遊びに来てくれた家族や友人に泊まってもらいたいと思っても、客間が用意できない場合や布団が家にない場合に便利なのがゲストルームです。ゲストルームはマンションの敷地内や建物内にある共用施設で、来客が宿泊できる設備が整っています。
浴室やトイレはもちろん、エアコンやテレビ、冷蔵庫など生活するのに必要なものがそろっているため、ホテルにも似た設備内容だといえるでしょう。利用目的は来客時の宿泊に限られるわけではなく、住民の会合の場や住民同士の憩いの場としても使われることがあります。
タワーマンションでゲストルームが高層階に設けられている場合は、低層階に住んでいる住民が眺望を楽しむことができる場合もあります。ゲストルームの維持や管理をするための費用は、住民が支払う管理費の中から捻出されます。そのため、ゲストルームは一戸あたりの負担額が少なくなる大規模なマンションに設けられていることが多くなっています。ゲストルームのなかには、設備や眺望の良さを売りとしていて、プレミアム感があることから人気を集めているところもあります。
本来は住戸として販売する部分をゲストルームとして共用部に設定しているため、販売価格や管理費にその分が上乗せされていると考えられるでしょう。1戸あたりが負担する金額はそれほど多くなくても、年月を重ねていけば少ない金額ではありません。そのため、ゲストルームがある場合には使わないともったいないといえるでしょう。
ゲストルームのあるマンションに住むメリットとは
住戸スペースがあまり広くない場合や間取りに洋室のみしかない場合、家族や友人を自宅に泊めることが難しい場合もあるでしょう。また、スペースは十分にあったとしても、自宅に人を招くとなれば、寝具の用意や掃除などの準備を負担に感じる人もいるのではないでしょうか。そんな場合にゲストルームが用意されているマンションに住んでいれば、気兼ねなく泊まってもらうことができます。
また、リネンなども借りることができるため、来客用として準備しておく必要もありません。設備としてバス・トイレ・キッチンや冷蔵庫も備わっていることが多いため、利用者も気兼ねなく使えることもメリット。気心が知れた間柄であっても、居住者・利用者の双方がプライベートな時間を持てるため、お互いに気を遣わずに過ごすことができます。双方の生活時間が違ったとしても、居住空間が別になるため、お互いの負担にならなくて済みます。
同じマンションの敷地内や建物内にあるため、移動も簡単に行うことができます。外出するときは一緒に出かけられますし、帰ってくる場所も同じですので、送迎の手間も必要ありません。また、ホテル並みの設備が整っていながら、利用料はホテルよりも割安なこともメリットといえるでしょう。立地条件やマンションの規模によりますが、1部屋5000円ほどで宿泊することができるケースが多いようです。リネンを借りる場合は追加料金が必要な場合もありますが、部屋代とリネン代を合わせても1万円でおつりが来る金額になるのが一般的です。
利用上の注意点について
ゲストルームを利用するにあたっては、事前に申し込み手続きをする必要があります。マンションによって手続き方法は異なり、管理人やフロント、インターネットからの申し込みなどさまざまです。連泊できる日数にも限りがあるため、事前に確認しておきましょう。ホテルとは違って部屋数に限りがあるため、年末年始やお盆・花火大会などのイベントがあると予約が取りづらい場合もあります。ホテルのように専任のスタッフがいるわけではないため、シャンプーやボディソープなどのアメニティは自分で持ち込みをすることが必要な場合が多いようです。物件によっては、タオル類も持ち込みしなければならないため、事前に確認しておきましょう。
ベッドメイクは利用者側で行うことが必要な場合が多く、退室時には清掃をしたり、物を移動させた場合は元の位置に戻したりしなければなりません。マンションの住居空間の一部を利用した施設であることから、周辺の住民に迷惑をかけないように注意しましょう。また、ゲストルーム内は禁煙、出したゴミは持ち帰るなど、守らなければいけない利用ルールについて、居住者側と利用者側の双方が心得ておくことが必要です。
実際にあったゲストルーム関連のトラブルとは?
ゲストルームの利用をめぐってのトラブルもありますので、念頭に置いておきましょう。たとえば、確実にその日に宿泊すると予定が決まる前から予約をしておき、解約金がかかる前のギリギリのタイミングでキャンセルするケースがあります。この場合、ほかの住民が予約をしたくても予約を入れられない状況に陥ってしまい、管理組合側にも収入の減少という損失を与えてしまうため、注意が必要です。
悪質な例としては、ゲストルームを民泊として貸し出して、実際の利用料よりも高い料金を徴収し、その差額を懐に入れる人まで出てきています。ゲストルームを民泊として貸し出すと、不特定多数の人がマンションに出入りすることになり、住民が安心して暮らすことが難しくなってしまいます。こうした行為は、マンションの管理規約にも違反しているため、退去要請が出たとしても文句は言えません。ゲストルームはあくまでマンションの共用施設であることを理解しておくことが必要です。ほかの住民とのトラブルにならないよう、ルールやマナーを守って利用するべきでしょう。また、マンションを購入する際には、共用施設の利用規則についても確認しておくことがポイントです。
ゲストルーム利用の流れ
ゲストルームを利用する際には、事前に予約しなければなりません。予約できるタイミングはマンションによって異なるため、確認しておきましょう。先着順で利用できる場合もありますし、抽選で決まる場合もあります。予約方法は、マンションによってさまざまです。所定の方法で予約をした後、使用申込書の控えを受け取れば、正式な予約の確定となります。なお、料金は、利用する日ではなく申し込みをする日に支払うのが一般的です。利用する日に使用申込書の控えをフロントなどに持参しましょう。鍵や利用許可書・リネンなどを受け取り、定められたチェックインの時間帯から利用できます。リネンの代金はこのときに支払うのが一般的です。利用後に退出するときに掃除を行い、ゴミを持ち帰ります。鍵はフロントなどが開いている時間帯ならそちらに返却し、開いていない時間帯の場合は定められた方法に従って返却しましょう。
まとめ
大規模なマンションでは、同じ建物内に共用施設としてマンションを訪れた宿泊者が利用できるゲストルームを備えているところがあります。ホテルと比較して料金が安く、同じマンションの建物内にある利便性も相まって、人気の施設になっているところも少なくありません。利用には事前の申し込みが必要ですが、住民側も来客用の部屋や寝具を用意する必要がなく、利用者側も気兼ねなく泊まることができるため、双方にとってメリットがあります。便利な施設ではあるものの、モラルの低い人によってほかの住民との間でトラブルになっているケースもあります。ゲストルームはあくまで住戸の一部であることを理解し、利用する際にはほかの住人に迷惑をかけないよう、ルールやマナーを守ることが必要です。
(最終更新日:2019.10.05)