ふだんはLEDシーリングライトとして使いながら、プロジェクターにスピーカーと、1台で3役をこなすスマートライト「popIn Aladdin(ポップイン アラジン)」をご存じでしょうか? ファミリー層を中心に大きな話題になっているのです。その秘密を探りました!
「popIn Aladdin」とは、どんなライトなのか?
「popIn Aladdin」とは、プロジェクターとスピーカーを一体化したシーリングライトです。ふだんはシーリングライトとして使い、プロジェクター機能を使えば、迫力の大画面映像も楽しめます。なぜこの3機能を一体化したのか。その理由を知れば知るほど、この商品の魅力が大きくなっていきます。
一般的なプロジェクターはサイズが大きく、電源の配置などを考えて設置するのは意外に大変です。しかしこの「popIn Aladdin」は、天井にある家庭用の引掛シーリングに取り付けるだけ。電源コードや設置場所を気にせず使用することができるのです。
では、一体どのように使うのか? どんな機能があるのか? 私の自宅で使用してみました。
取り付け工事は不要! だんぜんに簡単!
本体は引掛シーリングに取り付けるだけ。これは意外にシンプル。設置自体は難しくはありません。ただし、本体重量は約4.9kg。か弱き女子(!?)ひとりでは重く、本体を持ち上げてはめ込むのに少々苦労しました。それでも5分程度で装着完了。装着した本体は360度回転できるので、投影する壁を気軽に調整できます。
投影画面のサイズは設置場所から壁面までの距離で決まります。設置場所から壁面までの距離が1.03m〜3.09mで、40インチ〜最大120インチの投影ができます。私は6畳の部屋に設置。壁面までの距離は約1.03mで、画面サイズは40インチ程で投影できました。
もともと備え付けられていたLEDシーリングライトのサイズは、幅500×奥行き500×高さ117mm。一方「popIn Aladdin」は、幅476×奥行き476×高さ169mm。比べると高さは5cm程増しましたが、圧迫感もなく特に気になりませんでした。電源を入れると、6畳の部屋では十分すぎるくらい明るく、驚きました。
照明の電源は従来のスイッチ、または付属のリモコンでも入れられます。ライトの電源を入れると同時にプロジェクターが起動し、初期設定画面が壁に表示されます。
リモコンのサイズはとてもスリム。女性の私には持ちやすく、操作もしやすいですが男性の手には持ちにくいかもしれません。専用アプリを使えば、スマホでも電源のオン・オフなど基本操作ができるので、男性でも安心です。また、「電気をつけて」「音量を下げて」と、リモコンで音声操作も可能です。
早速プロジェクターの初期設定をしてみます。
初期設定をする項目は「フォーカス」「上下位置」そして「台形補正」です。
「フォーカス」はいわゆるピントを調整し、画面の文字がくっきり見えるようにします。
次に、「上下位置」は、画面を見やすい位置に上下移動させます。上部に梁(はり)がある部屋でも、縦方向に0度〜最大18度の範囲で角度調整できるので、安心。
そして、「台形補正」。プロジェクターが壁に対して斜めに投影されるので、映し出される映像の幅が、上部は狭く、底部は広い、台形になってしまいます。そこで上部と底部の幅を同じにして、画面を長方形になるように調整していきます。
これらの調整は全てリモコンで操作します。調整中は音声と映像でわかりやすく説明してくれるのでとても簡単。私が実際に設定に掛かった時間は約10分。これで準備完了です!
どんな映像が楽しめる?
本体にはひらがな表やアルファベット表などの「学習ポスター」や、絵本を読み聞かせてくれる「世界の絵本」といった、親子で楽しめるコンテンツのほか、YouTubeやNetflix、Abema TVなど、様々なアプリが搭載されています。さらに、本体に搭載されている「DiXiM Play for popIn Aladdin」を使えば、放送中のテレビ番組や自宅にあるレコーダーの録画番組も大画面で楽しむことができるのです。
数あるコンテンツの中で就寝起床時に最も使用したのが、季節や時間に合った風景が投影される「美風景」。見ているだけで癒(い)やされ、まるでその場所にいるような感覚に包まれます。それと、先日新しく追加された「等身大動物図鑑」。私は休日にひとりで動物園に行くほど動物好きなので、動物の鳴き声や映像が自宅で楽しめるのは嬉しい。
また、アップデートで随時アプリが追加されます。今のままでも十分ですが、誕生日や記念日などイベント時に使えるコンテンツがあると喜ばれそうですね。
さらに、ミラーリング機能を使えば、無線で接続するスマホの画面に映像をそのまま投影することも可能。FacebookやTwitterなどのSNSも大画面で楽しめます。ゲーム機も接続できるのか? と試してみましたが、ゲームと本体を直接接続することはできません(残念)。そして地上波やBS放送の映像については、本体だけでは視聴できません。無線LAN機能を搭載したテレビやレコーダーと、専用アプリで接続する必要があります。
天井から音が広がる高音質スピーカー
私が映像よりも驚いたのがクリアな音質。それもそのはず。本体には高級オーディオブランド「Harman/Kardon(ハーマンカードン)」のスピーカーが内蔵されています。天井から音声が降り注ぎ、臨場感のあるサウンドが楽しめます。また、Bluetoothスピーカーとして使えるので、スマホにあるお気に入りの音楽を高音質で聴くことができます。
シーリングライトは昼光色、電球色、昼白色、常夜灯の4段階で切り替えられます。専用アプリを使えば6種類の色から選ぶことができ、明るさは6段階まで調節可能。LED光源の寿命は、約20,000時間。1日6時間の使用で、約9年間使用できますね。
映像の明るさは700ルーメン。明るい部屋で投影すると多少薄くなりますが、文字はしっかり読み取れるので問題なく使えます。また、プロジェクターが起動するまでは約20秒間と起動時間も早く、起動音も静かで気になりませんでした。
また、オンタイマー機能を使えば、セットした時間に照明とプロジェクターが自動で起動します。現在の時刻や今日の天気、気温、ニュースなどが映し出され、起きる時間帯にセットしておくとすごく便利。毎日スマホで時間や天気を確認しながら準備していたのですが、大画面でチェックできるのでいつもよりスムーズに準備できるようになりました。
「popIn Aladdin」が私の部屋にやってきてからは、大のテレビ好きの私がテレビよりプロジェクターを使っている時間が多くなり、1日の疲れを癒してくれる手放せない存在となりました。
子どもを思うパパから誕生した魔法のライト
この商品を開発した、IT系ベンチャー企業「popIn」の社長・程 涛(テイ トウ)さんから話を聞きました。
3人の子どもを持つ程さんは、子どもの世界観を日常生活で広げる手段はないか? と考えていました。あるとき、「ひらがな表」「世界地図」といった学習ポスターや、子育てに役立つコンテンツを壁一面に映し出せたら、子どもと楽しみながら世界観を広げられるのではないかと思い、開発を思い描くようになったそうです。そして2016年に開発が始まりました。
まず、市販のプロジェクターを購入し、部屋のあらゆるところに設置。ところが、いざ設置してみると、電源コードが邪魔になり、置き場所が限られてしまうなど様々な問題が発生しました。そこで目を付けたのがリビングや寝室の天井にある「引掛シーリング」。これを使えばプロジェクターも吊せて給電もできる、コードも邪魔にならない——。
こうして改良を重ねていき、着手から半年後、試作機が完成。2017年10月にコンセプト機を発表し、同時期にクラウドファンディングで出資を募ったところ、わずか3ヶ月で7,400万円以上の支援金額を達成しました。これは記録的な金額でそれだけにこの商品に対する一般消費者の期待度が分かります。
製造は誰もが安心して使える高品質の製品を目指したいという思いから、程さんが以前から技術力に憧れを抱いていたPCメーカー「VAIO」に依頼。一時は、発売までの期間が短いという理由で、製造を断られてしまいます。しかし、程さんは何度もVAIOへ足を運び、熱心に交渉を続け、ようやく承諾を得て、2018年10月に販売を開始。もとより期待値の高い商品でしたから1ヶ月には予約販売台数が5,000台を突破。「popIn Aladdin」は一気に話題となりました。
天井に設置するだけで、最高のエンタメ空間が魔法のように実現できる「popIn Aladdin」。今後もコンテンツの内容や機能が更新されるようなので、飽きることなく楽しめそうです。
(最終更新日:2019.10.05)