4月からの新生活を前に、引っ越しの計画を進めている方も多いと思います。この引っ越しに関連した気になる情報が国土交通省や総務省から相次いで発表されたので、ここで改めてお伝えしたいと思います。
引っ越しオフピークを国交省が呼びかけ
毎年3月~4月に集中する引っ越しですが、この引っ越しを行うために不可欠なのがトラックで荷物を輸送してくれる引っ越し業者の存在です。この引っ越し業者の課題が浮き彫りになってきています。
そもそもの人手不足によって対応できないという問題や働き方改革による長時間勤務の抑制、一部では不祥事によって事業停止命令をうけるなどによって、ピークの需要にこたえるための十分なサービス体制が整っていません。
国土交通省や業界団体の全日本トラック協会によると、大手の6社の2018年3月の引っ越し件数は合計約34万件にのぼり、通常の月の約2倍に達したといいます。
そこで、国土交通省や業界団体では、特に3月中旬から下旬、4月上旬に集中することが例年のパターンから予想されるとして、引っ越し時期の分散を呼びかけています。
とはいえ、引っ越し希望者にとっては学校、仕事の予定があるために単純には時期をずらすといわけにもいかず悩ましいところです。
業界全体のサービス供給が対応できず、昨年に続き引っ越し希望日に引っ越しできないという”難民”が出てしまう可能性があります。
人々の移動、首都圏一極集中がさらに進む
引っ越し移動先に関する統計も気になる情報が入ってきました。
総務省が1月31日に発表した住民基本台帳に基づく2018年の人口移動報告(「住民基本台帳人口移動報告 平成30年(2018年)結果」)によると、国内における都道府県間移動者数は、前年に比べ3万5,37人多い253万5,601人でした。
このうち転入した人数が転出した人数を上回る「転入超過」をしたのは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、福岡県、大阪府、滋賀県の8都府県。
東京都に限って言うと「転入超過」が7万9,844人にのぼり、22年連続の転入超過となりました。
次いで埼玉県(2万4,652人)、神奈川県(2万3,483人)、以下は千葉県、愛知県、福岡県、大阪府、滋賀県の順となっています。
全国の移動者が増えているものの、その多くが首都圏に集まる傾向がさらに進んでいることになります。
さらに、3大都市圏(東京圏、名古屋圏及び大阪圏)の転入超過数をみると、3大都市圏全体では12万3054人の転入超過となっており、前年に比べ1万1,761人の拡大となりました。
特に顕著だったのは、東京圏で転入超過が13万9,868人(前年比1万4,338人の拡大)。一方で名古屋圏と大阪圏は“転出”超過となっています。
(※名古屋圏:7,376人の転出超過で前年比2,916人の拡大、大阪圏:9,438人の転出超過で前年比339人の縮小)
網の目のように広がっている首都圏の交通網ですが増える人口に対し電車本数など通勤インフラはすでに限界にきているように感じます。
東京の通勤通学ラッシュがさらに酷くなるというのが、これらの数字を見ると納得できるのではないでしょうか。
引っ越しの需要と供給のバランスが崩れている中、首都圏に集中する人々の移動。
様々な要因が絡んでいるとはいえ、東京を中心とした人口の首都圏一極集中は今のところ歯止めがきいていないようです。この春、新天地に引っ越し予定のみなさまは、スケジュールを今一度考えつつ、新生活への心構えをしておきましょう。
(最終更新日:2019.10.05)