ペットブームの影響もあり、ペットが飼えるマンションの選択肢は広がっています。しかし、たとえペット可のマンションであっても、さまざまな人が住んでいる集合住宅という性質上、決められたルールを守ってペットを飼育することが大切です。この記事では、ペットとマンションで快適に暮らしたい人に向けて、知っておきたいルールやありがちなトラブルなどについて解説します。
ペット可の分譲マンションは増えている
マンションでペットを飼うためには、もちろんペット可の物件を探す必要があります。かつてはペットと暮らすのであれば戸建てを選ぶという選択肢が主流でした。しかし、ペットブームの影響もあり、ペットも家族の一員として考える風潮が広まっていることから、すでに多くの新築分譲マンションでは「ペット可」となっています。つまり、マンションでペットを飼うことは当たり前のこととして世の中に浸透しつつあるといえます。
ただし、ペット可物件といっても、どんなペットでも飼えるわけではありません。当然ながら毒を有するような動物は飼えませんし、人に不快感を与えやすい大型のは虫類なども飼育可とならない場合が多いでしょう。
犬や猫、小鳥であっても飼育できる頭数に制限があったり、大きさに制限があったりする場合もあります。飼いたいペットがある場合は、居住予定のマンションのペット飼育ルールを確認したうえで、そこで明記されている条件を守りましょう。
ペット可物件はマナーと規約を守って
たとえペット可物件であっても、決められたマナーやマンションの規約を守らないと、ほかの住人とのトラブルに発展する可能性もあります。ペット可のマンションではペットの飼育をしている居住者を対象にペットクラブを設置していることが多く、ペットを飼っている場合は加入することになっています。ペットクラブの目的は、飼育者同士の親睦と飼育マナーの向上、そしてほかの居住者とのペット飼育に関するトラブルを未然に防ぐことです。
それでも、万が一トラブルが発生した場合には、誠意をもってトラブルの解決にあたらなければなりません。仮にペットによるマンション内の汚染、破損、傷害などが発生した際には、飼育者だけでなくペットクラブ全会員による連帯責任として対処しなくてはならない場合もあります。マンションで決められたルールを守ることができない場合は、ペットクラブから除名処分となったうえで、ペットの飼育を禁止されてしまうケースも。そのような事態にならないためにも、マナーと規約は必ず守りましょう。
1.飼育ルールは必ずチェックしよう
基本的に、ペット可のマンションでは、マンションの管理規約集の中で「ペット飼育細則」としてペットの飼育に関する具体的かつ細かなルールを設けています。マンションによって決められている内容は異なります。これまでにペット可のマンションに住んだことがあっても、必ず自分が新たに住むマンションの管理規約集を確認しておくことが大事です。
ペット飼育細則の中では、さまざまなルールが明記されています。もっとも基本となるのが、飼育可能なペット頭数の限度、大きさ、飼育可能なペットの種類に関するルールです。このほか、飼育者がペットに獣医師による健康診断を年1回以上受けさせること、定期的な予防接種を受けさせることを義務付けている場合も多いでしょう。また、犬の場合は狂犬病予防の注射も受けさせなければなりません。こうした健康診断の結果や注射の記録などをペットクラブに報告するように義務付けている場合もあります。
さらに、マンションには居住者の住む専用部分と、エントランスやエレベーター、廊下といった共有部分があります。ペット化のマンションの場合、ペットは専用部分で飼育するのが前提です。共有部分ではペットを抱き抱えるかケージに入れて運ぶように決められていることが多いでしょう。マンションによっては部屋ごとにバルコニーがついている場合がありますが、バルコニーも共有部分とみなされます。したがって、バルコニーでの餌やりや排せつ、ブラッシングなども禁止対象となることが多いため、注意しましょう。
2.マナーを守って飼育を
ペット可のマンションであっても、居住者全員が動物好きとは限りません。実際には動物が苦手な人が住んでいる可能性も十分にあります。集合住宅であるマンションでペットを飼う以上は、ペットが苦手な人に不快感や恐怖心を与えないよう配慮は必要です。
たとえば犬の場合は、知らない人を見ても吠えない、暴れないといったような基本的なしつけや、排尿やマーキングのトレーニングは行っておきましょう。ほかにも、散歩から帰ってきたときには足を拭いてからエントランスに入るようにするなど、共有部分を汚さないための工夫も必要です。
また、猫は本来夜行性です。夜中になると急に興奮して室内を走り回ったり、高い位置から床に飛んだりする場合もあります。小柄な猫であっても夜中の物音は下の階に思いのほか響いてしまうかもしれません。キャットタワーの近くや廊下には、防音のために衝撃吸収性の高いマットを敷くなど、近隣の住民に迷惑をかけないように十分注意しましょう。
ペットでありがちなトラブルとは
ペットを飼っていることでありがちなトラブルについても念頭に置いておきましょう。トラブルの中でも多いのがペットの排せつ物に関するトラブルです。たとえば、エレベーターやエントランスなどの共有部分で排せつを行ってしまったり、禁止されているのにもかかわらず、バルコニーにトイレを設定していたりという例があります。ケージに入れて運ぶ場合はペットシーツを底に敷くなどのケアを行いましょう。
騒音はマンションの中では多いトラブルですが、ペットの無駄吠え、鳴きなども苦情の対象になることがあります。適宜散歩に連れ出してストレスを解消させる、発情期になる前に避妊去勢手術を受けさせるといったように、飼い主としてできることはしておきましょう。飛び散る被毛や臭いもトラブルの原因になります。毎日適切な場所でブラッシングしたり、シャンプーをしたりするなどして、予防しましょう。散歩の際には服を着せるようにすることでも被毛が飛び散りにくくなります。
日々一緒に暮らしていることで、ほかの人よりも飼い主のほうがペットの臭いに鈍感になってしまうこともあります。特に多頭飼いの場合には、臭いが2倍、3倍にもなります。自分は大丈夫でもほかの人には気になる臭いではないかという意識を持って、ペットの衛生管理には十分注意を払うことが大切です。
ペットと暮らしやすいマンションを探すには?
大事なペットと長く快適に暮らすためには、マンションの規約だけでなく周辺環境も調べておきましょう。たとえば、周辺に散歩コースがあるか、評判のいい動物病院やペット用品を扱っている店があるかといったことも重要です。
このほか、従来型のペット可マンションではなく、ペット共生型マンションといって、ペットと暮らすことを前提としたマンションも増えています。従来のペット可マンションというと、単にペットの飼育が許可されているだけですが、ペット共生型のマンションにはあらかじめペットと暮らすための設備が整っています。
たとえば、エントランス付近に散歩帰りのペットのための足洗い場やグルーミングルームがあったり、屋上などにドッグランが設置されていたりします。ペットを飼っている人同士の交流の場所としても活用できるでしょう。
ほかにも、壁や床に汚れにくく臭いのつきにくい素材を使用している場合もあります。ペットが乗っていることをほかの人に知らせるペット乗車中サイン付きのエレベーターもトラブルの予防に役立っています。
このように、ペットを飼うことを想定した造りとなっているマンションを選ぶと、飼い主の負担が軽減されやすいでしょう。
ペットと安心して暮らせる物件を探そう
ペット可のマンションといっても、飼えるペットの種類や頭数には制約があります。また、集合住宅であるマンションでペットを飼う以上は、飼い主としてマナーを守ることが前提です。これまでに述べたようにペット共生型のマンションなど、ペットと暮らすことを想定して建てられたマンションも増えています。そういったものも候補に入れつつ、安心して大事なペットを暮らせるマンションを探してみてはいかがでしょうか。
(最終更新日:2019.10.05)