都心のマンション平均価格は下落傾向?気になる原因を解説

2013年に都心のマンションの高騰が始まってから、新築マンションの価格は上昇が続いています。一方で、都心のマンションが供給過多に陥り、空き部屋が目立っているという話も出てきています。そこで、マンション市場の動向が気になる人や、マンションの購入や売却を検討している人のために、知っておきたい基礎知識を紹介します。

2013年に都心のマンションの高騰が始まってから、新築マンションの価格は上昇が続いています。一方で、都心のマンションが供給過多に陥り、空き部屋が目立っているという話も出てきています。そこで、マンション市場の動向が気になる人や、マンションの購入や売却を検討している人のために、知っておきたい基礎知識を紹介します。

首都圏の新築マンションは価格上昇傾向

首都圏の分譲マンションは、地価の上昇などの影響を受け、大幅な価格上昇が続いています。都心部はもちろん、郊外も駅に近いエリアは人気が高く、価格が上昇傾向にあります。

国土交通省が発表している不動産価格の動向を示すべく指数化した統計データ「不動産価格指数」を見てみるとマンションの右肩上がりは異常だということが一目瞭然です。

不動産価格指数(住宅)(平成 30 年 9 月分) 2010 年平均を100とした場合の指数変化:国土交通省より

もともと、駅から徒歩10分以上の距離にあるマンションは買い手がつきにくいかわりに、価格も抑えられていました。ところが、安さに気づいた買い手が集中し、売れ行きが伸びていくとともに、値段も上がり始めたのです。着工された建物は次々に完成し、新たに建設されたマンションも、駅から徒歩10分以上の立地であっても値上がりしています。

中古マンションの価格は下落傾向に

都心部の新築マンションは、2013年ごろから価格の高騰が始まりました。自分が住むためではなく、値上がりや賃貸運用を目的として投資をする層が多かったためです。

値上がりを期待して新築マンションを購入したのは、富裕層がほとんどです。そのため、売却できずに含み損が生じても、焦って売り出し価格を下げることはありません。結果として、転売や賃貸運用がうまくいかず、空室の住戸が増えているのです。

さらに、2015年には外国人による「爆買い」も多く見られました。2016年までは順調に売れ続けたものの、2017年に入ると国税庁の方針の転換や、中国政府による外貨持ち出し制限などが始まります。

その結果、相続税対策としてのマンション購入や外国人による購入は減少しました。すると、都心部のマンションは供給過剰となり、2018年には中古市場で売れ残るという事態が発生し始めたのです。

こうした背景を受けて、中古市場では不動産価格の下落は始まっている可能性があると見ている識者もいます。

一方で、これからの新築マンションについては、土地価格や建築費が下がる見通しがないことから、値下がりの可能性は低いという予想されているのです。

これから買うなら中古マンションが得?

都心部のマンションが供給過多に陥ってからも、価格は上昇傾向にあります。しかし、土地価格の上昇を受けて、新築マンションと中古マンションの価格差が広がりつつあるのです。

たとえば、2015~2016年にかけては、マンションの価格が上昇期にあったため、大量の売買計画が結ばれました。

しかし、実際に建物が完成した2017年以降は、供給過多でなかなか買い手がつかないのが現状です。2018年7月の時点で、首都圏における新築マンションの建築費は、20坪ほどの広さで2300万円前後です。販売時は建築費に土地代や販売経費、開発業者の利益なども上乗せされます。すると、安くても4000万円ほどで販売する必要があります。

かつて、新築マンションと中古マンションの価格差は都心ほど小さく、郊外ほど広がるのが一般的でした。都心の新築マンションは価格が高くなりすぎた一方で、中古マンションは値下がりが始まり、お得感が出てきているのです。特に、2018年以降は、成約のために値引きをするケースが多くみられるようになりました。新築販売時から2~3割ほど高い価格で市場に出されていた物件も、1割程度に抑えているケースが多く見られます。

中古マンションを購入するメリット

中古マンションを購入するにあたり、どのようなメリットがあるのかが気になっている人もいるでしょう。最も分かりやすいメリットは、新築マンションよりも購入価格が安いという点です。マンションの価格は地域や立地によって変わります。しかし、築年数が浅い中古マンションでも、新築の70%ほどの価格で購入できるケースもあるのです。

さらに不動産会社を介さず、個人から購入すれば消費税がかかりません。値上がりを期待してマンションを買った個人投資家を探せば、安く購入できる可能性が高くなります。

2017年以降、新築マンションは減少傾向にあります。そのため、中古マンションのほうが圧倒的に物件数が多く、選択肢が豊富です。条件を提示すれば、たくさんの物件から希望に合った部屋を選べるでしょう。さらに、中古マンションなら既に建物は完成しているため、契約する前に自分の目で物件を見ることができます。

新築マンションを契約する場合、建物はまだ建っていない状態がほとんどです。しかし、中古マンションなら眺望や日当たりはもちろん、同じマンションにどんな人が住んでいるのかも分かります。リフォームやリノベーションにより、自分の好みやライフスタイルに合った部屋に変化させられるのも、中古マンションならではのメリットでしょう。

中古マンション購入の際の注意点

メリットも多い中古マンションですが、一方で注意したいポイントもあります。まず、マンションを買うために必要なのは、購入時の費用だけではありません。入居した後の管理費や修繕費、駐車場の代金なども視野に入れたうえで、物件を選ぶ必要があります。あまりにも状態が悪い物件だと、入居後にリフォームをしたり、設備を修理したりするために、さらに出費がかさむ可能性もあるのです。

中古マンションを選ぶときには、価格だけではなく管理状況もしっかりと確認しましょう。部屋の中はもちろん、廊下やエレベーター、エントランスホールなどの共有部分まで管理が行き届いているかということも重要です。

マンションの管理状況は、物件の資産価値にも直結します。長く住むつもりでマンションを購入しても、転勤や転職などの理由で生活環境が変化すれば、売却しなければいけません。その際、できるだけ高額で売却するためにも、最初から資産価値が高い物件を選びましょう。駅から近い、立地条件が良い、大きな破損や汚れなどがなくきれいな状態が保たれているなど、資産価値の高い物件にはいくつかの条件があります。

また、築年数も資産価値を左右する重要な要素です。築年数が経っているマンションほど内装やデザインが古く、設備の老朽化が進んでいる場合があります。耐震性能に問題があるケースもあるので、安全のためにもできるだけ築年数の浅い物件を選んだほうが無難です。

市場動向を見極めて購入を決めよう

マンション市場の動向がどのように変化するかは、今後の経済状況によって左右されます。2018年の時点では、土地の値段もマンションの建築費も、下がる見通しがありません。少子高齢化の影響により職人が減少した結果、人件費が高騰し、建築費が値上がりしているのです。

そのため、新築マンションの価格が下落する可能性は低いといわれています。しかし、絶対に値下がりしないとは言い切れません。マンションの購入や売却を検討している人は、十分な情報収集を行ったうえで市場動向を見極め、慎重にタイミングを伺いましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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