家づくりを考える際、どこに任せれば良いのか分からず悩む人は多いと思います。ハウスメーカーと工務店、設計事務所の特徴と、それぞれがどのような人に向いているのかをおうちコンシェルジュの越智渉さんに聞いてみました。
最新技術、ブランド力、トータルサービスで選ぶなら「ハウスメーカー」
ハウスメーカーでは、住宅の規格があらかじめ決まっています。管理された工場内で同一規格のパーツが量産されているので、品質に差が出にくいのが特徴です。同じパーツを使った建物の形や印象は似てくるので、既存の物件を見て自宅の完成像をある程度想像することもできるでしょう。また、お風呂やキッチンなどの設備もリストの中から選ぶことになるので、「悩んでしまって自分で一からは決められない」という人にはオススメです。さらに、土地探しに不安がある人は、土地を一緒に提案してもらうこともできます。
そのほか、誰もが名前を知っているという“安心感”と“ブランド力”もハウスメーカーの強みです。テレビや雑誌、住宅展示場などで目にする機会も多いので、SNSやインターネットをあまり使わない比較的年齢層の高い世代に多く選ばれる傾向にあります。
一方、ハウスメーカーではオプションなどは存在しますが、完全な注文設計は行なっていないことも多いため、施主がメーカーに合わせなければいけない部分が出てきます。例えば、間取りや広さにも規格によって制限があり、「大きな吹き抜け空間」や「壁全面ガラス張りの大きな窓」といった希望は叶えられないケースがあるので注意が必要です。
また、ファッションアイテムと同様で、ブランド性が高いがゆえに価格も高い傾向にあります。
デザイン性や構造などに融通が利くのは「設計事務所 」
設計事務所は、施主の要望に合わせた自由な設計をしてもらえるのが特徴です。例えば、海辺のリゾート地などでよく目にする「全面ガラス張り」のリビングなどは、規格外であったり、構造的に難しいためハウスメーカーや工務店では対応することは少ないですが、設計事務所であれば実現することが可能です。また、変形地や高低差のある土地など、作業が困難な場所への建設も請け負ってくれる可能性が高いです。間取りやデザイン、素材などへのこだわりが強い場合や、技術的に他で対応してもらうのが難しい場合は、設計事務所へ依頼すると良いでしょう。なお、選ぶ事務所や建設する建物の規模、使用する素材、住宅の構造などによって金額が変わるので、予算については人によって開きが出てきます。
しかし、依頼したいと思っても、設計事務所はハウスメーカーや工務店のように見かける機会が少ないと思います。インターネットや専門誌などを見て探そうとしても、事務所の数が多すぎて比較に悩む人もいることでしょう。そんな時には住宅に関する“相談所”などで確認してみてください。希望する住まいに応じた設計事務所の紹介などを受けることが可能です。
地域密着、フォローも考えるなら地元の「デザイン工務店」
地域密着型の工務店は、間取りやデザインの希望が通りやすく、大手ハウスメーカーより価格が安いのが特徴です。設計事務所のように特殊な設計までは実現できないかもしれませんが、住宅に使用する素材やインテリアなどの自由度は高いでしょう。
ポイントとなるのは、“設計力”の高い工務店を選ぶことです。設計力が高ければ完全な注文設計にも対応してもらえます。どこに依頼するかを検討する際には、『年間の建築棟数が50棟あるかどうか』を基準にすると良いでしょう。
年間50棟以上を施工している工務店は一般的に“ビルダー”と呼ばれており、地元での認知度が高く、自社に一級建築士や設計部門を擁していたり、外部の設計会社と提携していたりするため十分な設計力を持っていると考えられます。さらに、現場監督の経験も豊富で、腕の良い職人も集まりやすいので、施工クオリティも上がります。そのため、お客さまの口コミによる紹介も多い傾向にあり、アフターサービスや保証面も充実しています。地域に密着した会社が多いので、良いところが見つかれば、お客様のメリットも高いでしょう。
まとめ
家づくりの依頼先を決める際には、『自分に合ったものを選ぶ』ことが大切です。そのためには、どのような“住まい方”をしたいのかしっかりと考え、「自分たちのライフスタイルに合う間取りが実現できるか」「期待する性能が達成できるか」「予算は希望内に収まるか」といった観点で検討してみると良いでしょう。
<取材協力>
店長・おうちコンシェルジュ 越智 渉さん
おうちの相談窓口岡山店
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