犬OK、猫NG!? 何でも飼えるわけではない「ペット可物件」の落とし穴

ペットを飼っている人や、これからペットを飼いたい人が引っ越しを検討する場合、当然のことながら「ペット可」の物件を探すことになります。しかし「ペット可」をうたう物件の多くが、諸条件を設けており、どんなペットでも無条件に飼えるわけではありません。ここでは、ペット可物件を選ぶ際の注意点を紹介します。

犬はOKでも猫はNG!?

ソファなどの家具のほか、壁や柱でも爪をといでしまう猫は、ペット可の物件でも避けられる可能性あり

猫の飼育数は増加傾向

一般社団法人ペットフード協会が発表した「平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査」によると、全国の20~70代男女が飼育する犬の数は約890万匹、猫の飼育数は約965万匹と推計されるそうです。犬の飼育数は2014年の時点で約971万匹でしたが、毎年少しずつ減少傾向にあります。一方、猫の飼育数は2014年の約949万匹と比較して、わずかに増えていることが分かります。

犬の飼育数が猫の飼育数を上回るようになった理由は、室内飼いしやすい猫に比べ、犬は毎日散歩に連れていく必要があること、鳴き声が大きく近隣への配慮が必要なことなどが挙げられます。また、猫は犬のように狂犬病などの予防接種を受ける必要がなく、「犬よりも猫のほうが手間もお金もかからない」と考える人が多いようです。

猫の飼育NGとなる理由は?

ペットブームの影響もあり、動物の飼育が可能な賃貸物件や分譲マンションが増えてきました。しかし、「小型犬のみOK」などの条件を設けているケースもあります。猫の飼育をNGにしている物件もありますが、その理由の一つが、汚れやキズをつけやすいことにあります。

猫の習性のひとつに「爪とぎ」があります。専用の爪とぎ器を用意しても、気づけば壁や柱をガリガリとひっかいてしまうものです。悪臭問題も深刻です。発情期のスプレー行動により強いニオイを発することがあり、飼育環境によっては部屋にニオイが付着してしまいます。国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、ペットが付けたキズやニオイに対する原状回復費用は、入居者が負担するよう定められています。そのため、キズやニオイの程度によっては、退去時に敷金を超えるほどの費用を請求される可能性もあるのです。

大家としては、こうした面倒事を避けたいのが本音でしょう。そのため、ペット可でも猫の飼育を禁止する物件が少なくないのです。

大型犬の飼育が認められていないワケ

ケガを負わせてしまうリスク

犬の飼育が可能な分譲マンションでも、ゴールデン・レトリーバーやボクサー、ドーベルマンなどの大型犬は認められていないケースがあります。サイズが大きいからといってどう猛とは限らないのですが、ほかの住民に跳びかかったりしてケガを負わせる可能性がないとはいえません。
実際に、大型犬が人を襲ったというニュースを目にすることもあり、犬が苦手な人に恐怖感を与えてしまう可能性は否定できません。

また、大型犬といえばどっしりと構えているイメージがあるかもしれませんが、狩猟やドッグスポーツに長けた活発な面があります。愛犬にとって、十分に運動できる環境を整えてあげたいところ。運動不足の大型犬が家の中で飛び跳ねてしまうと、その音が階下に伝わってしまいがちです。こうしたリスクを減らすために、そもそも大型犬の飼育を禁止にしているマンションもあります。

話題のエキゾチックアニマルは飼育可能か?

最近では犬猫だけでなく、実にたくさんの種類の動物がペットとして飼育されています。とくに、は虫類やフクロモモンガなど、外国から輸入されたエキゾチックアニマルも人気です。

こうした動物たちはペットとしての歴史が浅く、飼育することが想定されていないために契約事項に盛り込まれていない可能性高いといえるでしょう。大家としてはその生態がわからないために、飼育可能な動物を限定してしまうケースも見受けられます。

一般的に好まれにくい動物は飼育禁止の物件も

ヘビなどのは虫類はあまり鳴き声をあげず、周囲に迷惑をかけないと想定できます。しかし、一般的には好まれにくい動物なので、近隣で飼われることすら嫌がる人が多いのも事実です。万が一、逃げ出したときには、住民たちがパニックに陥ることも考えられるため、飼育禁止にしている物件は珍しくありません。

集合住宅には、さまざまな嗜好の人が同じ屋根の下で暮らしています。誰もが動物が好きとは限らないため、快適な生活を守るためにもペットに対して制約が設けられるのです。

自分が飼いたい動物と暮らすためには、条件に合った物件を探すこと。それが見つからなければ、戸建てに住み替えるという選択もあります。動物をかわいがるだけではなく、ともに快適な環境をつくるという観点も重要なのです。

(最終更新日:2019.10.05)
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