住宅ローンの選択肢としてよくあるのが、ハウスメーカーや不動産会社などから紹介される提携住宅ローンです。銀行などの金融機関で自らローンを選ぶ場合と、どのような違いがあるのか、メリットやデメリットを考えてみましょう。
ハウスメーカーなどが紹介する「提携住宅ローン」のメリットは?
「提携住宅ローン」とは、住宅や土地を購入・建築するために住宅ローンを利用する際、ハウスメーカーや不動産会社、工務店などが金融機関と提携して提供される住宅ローンを指します。
ハウスメーカーなどを介さず、直接金融機関に申し込む住宅ローンとの大きな違いは、ハウスメーカーなどが手続きを代行してくれることです。自分で直接住宅ローンを申し込む場合には、本人確認書類や収入等に関する書類はもちろん、物件に関する書類も自分で集め、記入した申込書類とともに金融機関に提出する必要があります。一方、提携ローンの場合は、ハウスメーカーなどに物件に関する書類は準備してもらえますし、そのほかの書類についても相談できて安心できる面もあるでしょう。
また、提携ローンは、金融機関がそのハウスメーカーなどの信用度や販売物件について事前に確認した上で提携しているので、顧客に提供される物件に関する審査もスムーズに進みやすいでしょう。もちろん、収入や勤務状況などの物件以外の審査もクリアしなければ借り入れができませんが、物件審査がスムーズなぶん、自分自身で申し込む場合に比べると「通りやすい」面はあるでしょう。
さらに、提携ローンは、自分で同じ銀行の同様の住宅ローンに申し込む場合よりも、金利や手数料が優遇される場合があることもメリットといえます。
<表1:住宅ローン申し込み(本審査)に必要な書類の例>
申込関連書類 | ・住宅ローンの申込書 ・団体信用生命保険の申込書兼告知書 |
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本人確認書類 | ・健康保険証 ・印鑑証明書 ・住民票の写し ・運転免許証またはパスポートまたは個人番号カード等 |
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収入を証明する書類 | 給与所得者の場合 | ・源泉徴収票 ・住民税決定通知書または課税証明書等 |
事業所得者の場合 | ・所得税の納税証明書 ・確定申告書控および付表(決算書、収支内訳書等の一式) |
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物件に関する書類 (戸建て購入の場合) |
・不動産売買契約書 ・重要事項説明書 ・不動産登記簿謄本(土地・建物) ・建築確認申請書・確認済証 ・建築確認の検査済証 ・公図 ・地積測量図 ・建物図面 ・各階平面図 ・住宅地図 |
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ほかに借り入れがある場合 | ・返済予定表 ・返済用預金口座の通帳等 |
提携ローンのデメリット
一方、提携住宅ローンのデメリットには「住宅ローン代行手数料(住宅ローン事務代行費用)」がかかる場合がある点が挙げられます。この金額は、不動産会社によって異なります。自分自身で金融機関に住宅ローンを申し込み、手続きする場合にはかからない費用なので、提携ローンを利用するメリットに対して見合った費用であるかを、納得した上で利用したいものです。
また、金利や手数料の優遇があったとしても、それがその人にとって最も有利な金利のローンであるとは限りません。提携ローンは、利用できる金融機関や商品・金利タイプが限られるので、金利や手数料が優遇される場合でも、提携ローンの選択肢にはないほかの金融機関にはもっと有利な金利・条件の住宅ローンが存在する場合もありえます。
自分の目で、確認と検討を忘れずに
このように、提携ローンは手続きがラクで、手数料や金利の優遇というメリットもありますが、必ずしも「おトク」なローンであるとは限りません。勧められるままに比較検討せずに提携ローンを利用すると、返済が始まってから、ほかの住宅ローンに比べて不利な点に気づき、借り換えを検討することになる場合もあります。
ハウスメーカーなどから提携ローンを紹介された場合には、そのほかの住宅ローンと金利・手数料・条件などさまざまな点から比較検討し、有利な点を確かめて利用するローンを選びましょう。
また、ハウスメーカーなどが提案する住宅ローンの返済プランは、返済負担の軽さを強調するために、金利タイプは金利の低い変動金利や短期の固定金利選択型、返済期間は最長の35年返済で試算されている場合が多いようです。借入額が同じであれば、金利が低く返済期間が短いほど毎月返済額は少なくなるので、「おトクなローン」に見えやすいのです。
しかし、返済期間が長ければ高齢になっても返済が続くことになりますし、今後の金利上昇が気になるのであれば、変動金利型よりも固定金利型の住宅ローンのほうが安心という人もいるでしょう。さまざまな住宅ローンを検討する際には、家計的にも精神的にも無理なく返済が続けられる金利タイプや返済期間で試算し、条件をそろえて比較検討するようにしましょう。