マンションなどの集合住宅で起こりやすい水漏れの事故。実は加入している火災保険で補償を受けられるケースが多くあります。泣き寝入りする前に、補償内容をよく確認し、快適なマンションライフを送りましょう。火災保険の補償範囲や保険金が支払われるケース、万が一水濡れが起きたときの対処法などを紹介します。
「水漏れ」は火災保険で補償される場合も
マンションを借りる場合、賃貸契約時に火災保険の加入を求められます。火災保険による補償は、大きく分けて家財補償と修理費用など家主に対する賠償があり、これに個人賠償責任特約が付加されている商品が大半です。
1.家財補償
契約内容の主な部分となります。ここでいう「家財」とは、家具や衣服などの日常生活に使用する動産のこと。什器や商品など、業務用の動産は対象外となります。
テレビやパソコン、アクセサリー、食器などが家財の一例です。家財に含まれないものは、自動車、通貨、貯金通帳、切手などの有価証券、1個または1組が30万円を超える美術品や宝石、ペット、パソコンデータなどです(美術品や宝石は、別途申告をすれば補償を受けることができるケースもあります)。
これらの動産が火災にあったとき、補償金が支払われるのは想像がつくと思います。実は、ほかのケースにおいても支払いを受けられるのです。
保険会社によって異なりますが、「風災・ひょう災・雪災」「車両の飛び込みや航空機の墜落」「水漏れ」「デモや労働争議に伴う破壊活動などの騒じょう」「盗難」「台風などによる水災」といった原因による家財の損害は、火災保険から支払いが受けられます。
2.修理費の補償
偶然の事故などが原因で戸室に損害が発生し、自費で修理した場合は、保険金が支払われます。ただし、賃貸借契約に基づいてまたは緊急的な必要に迫られた場合(居住が困難な状態から復旧するために応急修理が必要な場合)に限ります。凍結による水道管の破裂や鍵の盗難などがその例です。
3.賠償契約
賠償契約は、大きく分けて「借家人賠償責任補償」と「個人賠償責任補償」があります。
借家人賠償責任補償
前者は、貸主(大家など)に対し、法律上の賠償責任が生じたとき、補償されます。失火や爆発事故などで壁を焦がした、窓ガラスを割ってしまったなどが該当します。
個人賠償責任補償
日常生活において、本人や生計を共にする家族が、他人にケガをさせる、他人の物を壊すなどした結果、損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。
火災保険の請求原因で一番多いのは「水」に関係した事故
損保ジャパンの調査による「平成24年度個人用火災総合保険 保険金支払実績」によれば、1位「水災・風災・雪災(21,025件)」、2位「漏水などによる水濡れ(4,057件)」と、水による事故の件数が上位を占めます。
マンション上階からの水濡れは、上記の第2位に該当します。マンションの上の階から水漏れが起こる原因は、上の部屋が原因である水漏れや雨漏りなどが主なもの。自分が加入している保険の補償対象の事項に「水濡れ」とあったら、支払いが受けられると考えられます。
他人が加入している保険でも支払いが受けられる場合も
次のケースなら、自分以外の人が加入している損害保険でも補償してもらえる可能性が高いといえます。
<ケース1>
上階の通路(=共用部分)に埋められている配管の一部に亀裂が入り、周辺の個室へ水漏れが起こった
…この場合、賠償する人は、マンション管理組合や大家、施工業者などになり、それらの団体や個人が加入している保険から支払われることになります
<ケース2>
上階の個室(=専有部分)で洗濯機のホースが外れ、天井から水が落ちてきて、自室の家電が壊れた
…この場合、上階の個室の入居者または所有者が加入している保険が使えます
マンション管理組合、大家、個室の所有者(所有者≠入居者)が施設賠償責任保険に加入している場合、個室の使用者が個人賠償責任保険に加入している場合は、保険で対応できる可能性が高くなります。
覚えておきたい、水濡れの対処法
水漏れが起きたら、まずは、発生場所と原因の確認と特定をします。早急に解決するために、大家や管理会社などに連絡しましょう。
被害状況を記録しておくことも大切です。目視と同時に写真撮影も行ってください。まずは状況を冷静に判断・記録し、その上で火災保険の請求をし、補償を受けましょう。
(最終更新日:2019.10.05)