家を建てるならどのデザインにする? 人気のインテリアテイスト6選

家の外観や内装を検討する際、「テイスト」という言葉を目にしたり耳にしたりすることがあります。「どんなテイストがお好みですか?」と聞かれても、答えに戸惑ってしまうのは決して珍しいことではありません。テイストを直訳すれば「味」となりますが、家の味といわれてもよくわからないと感じる人も少なくないでしょう。テイストとは何なのか、世の中にはどんなテイストがあるのかなど、テイストにまつわる疑問について解説します。

テイストとはどういう意味?

テイストは直訳すると、「味わい」や「好み」を指す言葉です。食べ物やファッションの業界で多く使われているため、かなりなじみのある言葉になっています。しかし、味は感覚的なものなので「テイストとはこうである」という具体的な定義はないと思ったほうがいいでしょう。

建築業界では、おもにインテリアデザインの種類としてテイストという言葉を用います。インテリアのテイストは非常に種類が多く、また明確な定義もないため、個人で自由にテイストをつくり出すことも可能です。そのぶん、自分が考える「〇〇テイスト」が相手の考えるそれと一致しないことも十分にあり得ます。そのため、家の購入や新築にあたってはパース図(立体的に描いた透視図)やコンピュータグラフィックスなど、テイストを具現化するツールが使われることが多くなっています。

つぎからは、代表的なインテリアのテイストを見ていきましょう。

アメリカンテイスト

アメリカンテイストとはその名の通り、アメリカの住宅をイメージしたテイストです。例えば、ラップサイディングの外観や切妻屋根が特徴のアーリーアメリカンは、開拓時代の古き良き外観および内装が特徴です。間取りは非常にシンプルで、リビングが玄関から続き間となっていたり、トイレと浴室が集約されていたりすることも少なくありません。三角屋根にロフトといった構造も多く、隠れ家のような楽しさも感じられます。

アメリカンテイストには、ほかにも、西海岸、ブルックリン、ジョージアンなど様々なテイストがあります。サーファーズハウスと呼ばれる海でのレジャーを楽しむテイストや、ハワイの一軒家をイメージしたロコもアメリカンテイストの一種です。離島を含む多くの州に、さまざまな民族が集まって形成されているアメリカならではの多様性があらわれているといえるでしょう。

アメリカンテイストはインテリアのみならず、建物の構造に対する注目度も高くなっています。尺モジュールよりも約9cm長いメーターモジュールの広々とした廊下や階段、部屋と浴室を一続きにする間取りなどが、在宅介護の面で大きなメリットがあると考えられるためです。今後も注目度、人気度ともに上がっていくことが予想されます。

アジアンテイスト

アジアンテイストとは、中国やバリ・タイなどのビーチリゾートをイメージしたテイストです。中国のテイストは、赤と金を基調とした内装に色鮮やかな装飾品をアクセントとして置くのが一般的です。照明は照度の高いものを好み、きらびやかな空間を演出します。一方、バリやタイのビーチリゾートのテイストは麻や籐などの自然素材を使用し、木製の家具などを多く配置するため、エスニックな印象になります。リラックスできる薄暗い照明がマッチするでしょう。

広義では、日本の伝統的な家屋をイメージしたスタイルもアジアンテイストと考えることができます。複数の部屋を襖で仕切るだけのシンプルな間取り、い草や天然の木材を使用した内装は、高温多湿な日本の夏を快適に過ごすために考えられたといってもいいでしょう。沖縄の伝統的な家屋は中国と日本の建築様式を融合させたものであり、気温の上昇が懸念される日本の夏において注目度が高くなっています。

北欧テイスト

北欧の冬は厳しく、日照時間も短いため、人々は家で多くの時間を過ごします。そのため、家での暮らしをより快適に楽しめる工夫がたくさんなされているのが、北欧テイストの特徴です。白を基調とした内装に、やわらかなグリーンやピンクなどの色をアクセントとして取り入れています。家具は天然の木材が好まれますが、北欧らしいデザイン家具も人気です。シンプルで直線的なデザインが基本で、空間全体をすっきりとまとめることに重点を置いています。家にいる時間が長いと、モノが散乱していることがストレスとなってしまうため、モノの数よりも質にこだわることも特徴といえるでしょう。

北欧テイストは、日本でも冬の寒さが厳しい地域を中心に人気が高くなってきています。ヨーロッパの輸入住宅を扱う住宅メーカーも増えており、インテリアのみならず家そのものを北欧スタイルで建てる人も増加の傾向にあります。家でのゆっくりと穏やかな時間を楽しむ人から支持を得ているテイストです。

モダンテイスト

モダンテイストは、これまでの住宅に対するイメージを一新した斬新なデザインが特徴です。外観は、片流れ屋根や少ない窓、もしくは一面に張り巡らされたガラス窓など、目を引くデザインのものが多く、現代的な雰囲気を醸し出しています。伝統的な日本家屋のイメージと現代的で斬新なイメージを融合させた和モダンというテイストも、幅広い層から支持を得ています。

内装は、和室に琉球畳を使用するなど正方形を基本的なモチーフとして施されることも多く、極めて直線的で端正な印象です。住宅としての温かみよりも、シンプルであることや機能的であることに重点を置く人に好まれるという特徴もあります。モルタルむき出しの玄関やオールステンレスのキッチンなどを希望する人も多く、玄人好みのテイストともいえるでしょう。

ナチュラルテイスト        

ナチュラルテイストとは、その名のとおり自然であることに重点を置いたスタイルです。具体的には、技巧的な雰囲気を出さず、リラックスできる空間づくりを大切にします。天然素材を多く使うことで、自然との調和を重んじた色合いを実現していることも特徴です。そう考えると、「日本の伝統的な家屋もナチュラルテイストになるのでは?」と考える人もいるでしょう。それも間違いではありませんが、インテリアで使われるナチュラルテイストは、キュートさを前面に押し出したものであることも少なくありません。

玄関ホールに小さな木のニッチを設けて小物を飾ったり、ベニヤ板に色を塗ったような内装材を使用したりと、カントリーテイストに近い傾向も見られます。しかし、カントリーテイストほどの重厚感や懐かしさはなく、人工的なナチュラル感であることも否めません。清潔でかわいらしい部屋が実現できるので、子育て世代にも人気のあるテイストです。

アンティークテイスト

アンティークテイストとは、100年以上の歴史がある古美術品・骨董品を取り入れたテイストです。モチーフとなるのは西洋の古い洋館や民家で、アンティーク照明や猫脚の家具などが多く使われます。歴史がある家具などは磨き込むことで味が出てくるため、深みのある空間を演出することができる一方、生活空間としては過剰な重厚感となってしまうことも少なくありません。そのため、アンティークテイストのなかでもシャビーシックな部屋づくりの人気が高くなっています。

シャビーシックとは、年季が入っていながら垢抜けているという、相反する言葉を足した造語です。色合いや家具の選択に気をつければ、歴史を感じさせながらも品のあるシックな雰囲気を演出することもできます。女性的で少しゴージャスな空間になるので、ミドル世代以上の女性を中心に人気を集めているテイストです。

お気に入りのテイストを見つけてみて!

インテリアのテイストには、ここで紹介したもののほかにもさまざまなものがあります。家づくりの段階から一貫したテイストでつくることも可能ですが、インテリアのみのテイストであれば、模様替えをすることで気分を一新することも可能です。どんな空間であれば日々心地よく過ごせるかを考え、自分好みのテイストを見つけましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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