車いすでも行動範囲が広がる! ホームエレベーターの設置費用と注意点は?

自宅内での上下階への移動に便利なホームエレベーターは、車いす利用者や高齢者がいる家庭にとってもうれしい設備。主要メーカー、設置費用の目安、設置にあたっての注意点のほか、「後付けも可能なの?」といった疑問点などについても紹介します。

ホームエレベーターとは

ホームエレベーターは住宅内に設置する、2~3人乗りのエレベーター。移動や重い物の運搬などに便利なのはもちろん、身体が不自由な方の行動範囲を広げてくれる点も設置のメリットの一つです。

たとえば、2階建て、3階建ての家では、リビングが上階にある場合も少なくありません。ですが、車いす使用者は外に出やすい1階の部屋で生活することも多く、リビングで一緒に時間を過ごすことが難しくなります。もしホームエレベーターがあれば、家族の手を煩わせることなく自由に上下階の行き来ができるでしょう。

車いす利用者ばかりではありません。年齢とともに足腰が弱り、階段の昇り降りに苦労している高齢者もいます。洗濯物を1階から2階の物干しスペースまで持ち運んだり、重い荷物を上げ下げしたりと、日常生活のなかでは、負荷のかかる用事も多いもの。ホームエレベーターはそんな場面でも役立ちます。

設置費用に加え、ランニングコストにも注意

ホームエレベーターの代表的なメーカーとして有名なのが、三菱電機と日立製作所が設立した三菱日立ホームエレベーターとパナソニック。商品のラインナップは幅広く、はさまり防止センサーや地震を感知して自動停止するセンサーのついたタイプ、車いすで出入りする際の後方確認に便利なミラー付きタイプなどの多機能型もあれば、インテリアになじむデザインや狭いスペースでも設置できるコンパクトな設計のホームエレベーターもあります。

費用はまず、これらのホームエレベーター本体に200~400万円かかります。加えて、設置費用やその他の諸費用が必要なため、トータルで300~500万円程度が目安です。ただし、自宅のレイアウトによって、工事費は大きく異なります。予算については、業者に見積りをとった上で判断するようにしましょう。

また、設置後のランニングコストも考慮する必要があります。エレベーターの機種によって異なりますが、毎月の電気代は400~600円ほど。これに加えて、年に1~2回の点検が必要で、その費用は5万円前後かかります。介護目的の場合、設置費用の一部を補助金でまかなえるケースもありますので、事前に調べておくとよいでしょう。

なお、ホームエレベーターよりも手軽な装置として、階段にとりつける昇降機(いす型のリフト)もあります。こちらは60~200万円のため、あわせて検討してもよいかもしれません。ホームリフトも階段の形状やリフトの形によって費用が異なるため、一度、専門業者に相談することをおすすめします。こちらも自治体により、補助金が支給される可能性があります。また、レンタルの場合は介護保険が適用され、安価に利用できますので、確認してみてください。

階段に取り付ける昇降機(リフト)。車いす対応型などもあります

設置には建築確認申請が必要

ホームエレベーターを設置する際には、まず現地調査を行います。どのようなエレベーターなら設置できるか、条件を確認した上で、いくつかのプランを提示してもらいましょう。予算や利用者・家族の意向などを考慮し、プランを決定したら、設置工事が始まります。工事期間は3~5日程度です。

工事にあたっては、事前に建築確認申請が必要となります。所轄行政庁への書類を提出する手続きとなりますが、内容が専門的なため、一般的には施主に代わって業者が行います。

設置工事が終了したら完了検査を行い、検査に合格すると、検査済証が発行されます。引き渡しの際には、操作の説明も受けましょう。一般に点検メンテナンス等はメーカーが実施しますので、その案内も同時にあるはずです。

後付けもできる! 設置の際の注意点

ホームエレベーターを設置する場合、エレベーターホールとなるスペースを確保する必要があります。吹き抜けがあれば、そこに設置します。後から、スペースをあけるのは難しいため、新築時にエレベーターを設置できるスペースをあけておけば、後々、リフォームしたくなったときにスムーズです。

室内に設置できそうな場所がない場合でも、諦めることはありません。室外にエレベーター専用の棟をつくることができれば、設置は可能です。

なお、エレベーターの設置に際して必要な確認申請および設置後の定期点検は、建築基準法により義務づけられています。これらの手続きをせずに工事をしたり、点検をせずに使い続けたりすることはできません。
ただし、ホームエレベーターは業務用と異なり、法定検査報告は不要です。また、修理や改造をした場合、長期的に使用を休止する場合、ホームエレベーターの使用をやめる場合にはそれぞれ、所轄行政庁へ届出が必要です。

自宅内での上下階の移動を助けてくれるホームエレベーター。ケースによって費用が異なるため、見積りは必須です。また、設置にあたっては建築確認申請が必要で、設置後も定期的な点検が必要です。まずは工事会社やメーカーに相談して、概算費用や設置条件などを確認しましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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