多くのクレジットカードには、国内旅行保険や海外旅行保険、ショッピング保険、カードの紛失・盗難保険などの保険サービスが、カードの利用を促すために付いています。保険の種類や補償内容、条件などはカード会社によって異なりますが、無料で付いている場合が多いので、手持ちのカードに付いている保険をチェックしてみましょう。カードを複数持っていれば、カードごとに補償が受けられます。
付帯保険ってどんなもの?
「旅行(トラベル)の語源はトラブル」と噂されることもあるほど、旅には予想外の出来事がつきものです。海外旅行保険(海外旅行損害保険)に入っていれば、海外旅行中のケガや急病による治療費の補償、死亡や後遺症が残った場合の補償、デジタルカメラなど携行品に対する損害の補償、旅行中に誤って他人のものを壊したりケガをさせてしまったりした場合の補償、家族などの救援費用(航空券や滞在費など)の補償などが受けられます。
これらの補償のなかで、最も利用されているのが治療費の補償です。国内での治療なら健康保険を使って医療費の1~3割を負担すればよいのですが、海外では全額を支払うことになりますし、医療費そのものが日本より高額です。
医療費が高いことで有名なアメリカの中でも、特に高額といわれるのがニューヨーク。盲腸で入院手術して約350万円、骨折で一日入院し約150万円を請求された例もあるのだとか。日本で盲腸の手術をした場合、全額負担で約60万円程度ですが、海外では数倍になることも。救急車が有料な国もあるので、旅行前にどんな付帯保険があるのかチェックしましょう。
付帯保険での補償額はカードによって異なりますが、上限額以上の補償を希望するなら、治療・救援費用を無制限で補償するプランを選ぶと良いでしょう。
18歳未満の子どもを連れて旅行する場合は、付帯保険の家族特約を利用できる場合があります。ただし、付帯されるのは一般的にゴールドカードに限定されます。また、子どもが18歳以上なら、本会員と同様の補償が受けられる家族カードに申し込んでおきましょう。
また、ほとんどの場合、妊娠や出産、早産、流産などの費用や、これらに関わる治療費は補償の対象外となります。クレジットカードの付帯保険ではありませんが、妊娠や出産に関わる治療も補償対象になる妊婦特約を設けている海外旅行保険もあります。ただし、妊娠22週未満で保険期間が31日までの場合が対象になるなどの条件があるので、妊娠中の海外旅行には注意が必要です。
携行品に対する補償も
海外旅行保険支払い件数で次いで多いのが、携行品の損害に関する補償です。特にヨーロッパへの旅行は、飛行機の乗り換えが多く、スーツケースや荷物の盗難や破損件数が増えるようです。
対象となるのは、バッグやカメラ、パソコン、アクセサリー、時計、衣類、パスポート、乗車券など。対象外になるのは現金、クレジットカード、小切手、コンタクトレンズなどです。ただし、対象の品物でも、置き忘れや紛失など、持ち主に過失がある場合は、補償されない場合もあります。ちなみに、財布の盗難に遭った場合、財布は補償の対象となりますが、中の現金やカードは補償対象外となります。
携行品損害の補償額は20~50万円程度のものが多く、品物1点あたり10万円を上限としているケースが一般的。支払われる金額は、修理費か時価のうち、安いほうになります。
時価とは、新品の価格から年に10%減額した金額。例えば3年前に10万円で購入したパソコンが壊れた場合、30%を引いた7万円が時価になり、修理できる場合は修理費用の見積もりをとって、安いほうの金額が支払われます。
カード会員限定でお得に加入できる火災・家財保険も
クレジットカードの付帯保険は、旅行などでカードの利用を促すために付いているので、クレジットカードの利用に直接つながらない住宅に関する付帯保険はこれまでありませんでした。
しかし、最近では、クレジットカード会員限定で、お得に加入できる火災保険や家財保険もあります。家財に対する「住宅内生活用動産」や借家に住んでいる人を対象にした「借家人賠償責任」といった保険(補償)があり、火災で備え付け家具を消失した場合などに、保険金が支払われます。
クレジットカード会社の中には、カード会員以外でも加入できる保険商品を用意しているところもあり、基本の補償(火災、落雷、破裂・爆発)に、地震、風災、水濡れ、盗難、諸費用などから必要なものを自由に選んで加えることができる保険も。まずは自分が加入する保険はどのような補償が受けられるのか把握し、そのうえで必要なものを選ぶといいかもしれませんね。
(最終更新日:2019.10.05)