転勤族が家を購入するための条件とメリット・デメリット
会社からの辞令で転勤を経験する人も少なくありません。でも、一口に「転勤族」といってもさまざまなパターンがあるのです。東京と地方を数年ごとに行き来する場合もあれば、国内各地を転々とする人もいます。海外などで、長く赴任しなければならないこともあるでしょう。
中には、官舎や社宅が用意されている場合がありますが、そうでなくても借り上げ社宅や住宅補助などといった制度のある会社は多く、転勤族が赴任先で住居に困ることはほとんどありません。それどころか、通常の賃貸住宅よりも大幅に住居費が節約できることも多いのです。すなわち、転勤族になった人がわざわざ住居を購入するのは、経済的にあまりメリットがないと思われがちなのです。
しかし、家族がいて単身赴任をする場合であれば、事情は少し異なります。赴任する本人は会社の制度を利用できますが、残る家族には家が必要です。また、会社を退職すれば自分で住む家を用意しなければなりません。こういった場合には、家を購入するという選択肢も必要になってくるでしょう。
ただ、購入する際に長期ローンを組まなければならないことも多く、返済のことを考えるとできるだけ若いときに購入して返済を始めたいところ。いったん購入してしまうと買い替えは容易ではありませんから、長期間その場所に住み続けるという覚悟が必要です。
賃貸と購入の費用を比較してみる
転勤族の場合、住む家を賃貸にするか購入すべきか、どちらが得なのかは、さまざまな条件によって異なるので一概には言えません。しかし、同様の条件で購入にかかる資金や家賃といった直接的な費用だけを比べた場合、実はそれほど大きな差はないといわれています。
賃貸マンションの場合は毎月管理費や共益費が必要になりますが、分譲マンションはこれらに加えて修繕積立金を支払わなければなりません。転勤の場合、赴任先の住居については優遇を受けることが多いため、賃貸のほうが経済的メリットは大きいように思われます。
しかし、購入には隠れた経済的メリットがいくつかあります。一つは住宅ローン金利です。個人でお金を借りるとき、一番金利が低いローンが住宅ローンです。住宅に関連するお金を極力住宅ローンで賄えば、自動車や家電品などを購入する際に現金を準備する余力ができ、金利が高い自動車ローンなどを利用しなくて済む可能性が高まります。
さらに、住宅ローンを組むと団体信用生命保険に入ることが必要になります。中には三大疾病特約などがついているプランもあるので、別途に生命保険や医療保険に入らないという選択肢もあるかもしれません。
住宅購入後に転勤が決まってしまった場合でも、自宅を賃貸へ出すことができれば家賃収入が得られます。家賃収入が住宅ローンの支払金額を超えれば、経済的にメリットと捉えることができます。ただし、住宅ローン契約者本人が居住していない状態となるため、住宅ローンから金利が高いローンへ借り換えが必要になることも。さらに、住宅ローン減税の対象外となるので、あらかじめ金融機関に相談するとよいでしょう。
そして、購入した家は何といっても資産価値を持っています。売却すれば相応のお金になるのです。賃貸か購入かを決める際には、こういったことを含めてトータル的に検討することが大事なのです。
転勤族が家を購入するならいつがいい?
それでは、転勤族の人が家を買うのは、いつのタイミングがベストだといえるのでしょうか。それにはまず、住みたいと思える場所に出合うことが前提になります。会社に近い場所・子育てがしやすい場所・老後にゆったりと暮らせる場所など、さまざまな好みや希望がありますから、一緒に住む人などとよく話し合っておきましょう。
住宅ローンを組んで購入する場合は、できるだけ早い時期に決断することをおすすめします。なぜなら、定年退職前にローンの返済を済ませやすくなるからです。将来のことはわかりませんが、60歳以降に働き盛りのときと同様の収入を得るのは難しい方が多いでしょう。安定した収入があるうちに、ローンを完済しておくことが望ましいといえるのです。
退職金で購入する場合は、老後の必要資金を確保した上で予算を決めることが大切です。夫婦二人だけなど、住む人数が少なければそれほど大きな家を手に入れる必要はありません。シニアになってからの購入は、無理のない予算内に収めることを優先しましょう。
(最終更新日:2019.10.05)